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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年2月19日~2月25日)

一家全員、3回目のワクチンの当てができたりすでに済ませたりで、やることはやりました。よかったよかった、これでとりあえず、と思ったらロシアの戦争。昨日、録画してあった北京冬季オリンピックのスケート「エキジビジョン」を観たのですが、この時はまだみんな平和な雰囲気だったんだなぁと不思議な気持ちがしました。オリンピックが終わるまでは待てたのに、パラは待てなかったのか?!とかちょっと腹立つ。

22年2月19日

先日作ったメガネを受け取りに、せいうちくんと2人少し都会に出る。
我々の住んでる街にはまだメガネスーパーがないのだ。
でもかつては安かったメガネスーパーもすっかり高くなり、検眼料まで取るありさまだから長老の言うようにこれからはメガネ市場にしておこう。
それだって電車には乗るし次にメガネを作るのはきっと数年は先だろうからそちらも値上がりしているかもだけど。

それでも新しいメガネは近くも遠くもよく見えて、視界が明るくなった感じ。
フレーム調整してもらったから2人ともいつになくメガネが顔にフィットしてる。
そうすると自然とフレームが顔の上の方にあることになり、お互いやや面長に見えることを発見して面白がった。

ついでにパッ・タイ食べて(せいうちくんはカオソーイ)CAN★DOやニトリで買い物をする。
せいうちくんはこうして家がどんどん完成し、進化していくのが楽しくてしょうがないらしい。
私はそこまでの情熱は持てないな。
少し疲れてるのかもしれない。

TOPS買って帰ろうか、って相談したんだけど、来週息子が来るからその時には絶対買うよね。
毎週TOPSってのも贅沢すぎるから、今日はガマンガマン。

その息子の月イチの配信をYouTubeで観たら、髪と髭がずいぶん伸びている。
肌も荒れていて、健康的でない生活をしているのではないかと心配になった。
眼は明るく輝いていたので精神的な状態は心配ないが、身体は疲れているのかも。

「ジョニー・デップを意識してるんでないなら、会いに来るまでに髪と髭はなんとかしてきて」とメッセージを打ったら、
「学期終わり公演の役のためだから」ときた。
事情があるなら仕方ない。
そのあとイベントでやったインプロコントの録画を「よかったら見て」と送ってきてくれたので、せいうちくんと観る。
お題は「クリーム」と「おでん」が出ていた。
両方ともうまくできていた。

特に、やってみたいと挙手してくれたお客さんと一緒にやり、「おでん」を題材にいただいたインプロコントでは、窓の外をたまたま通ったパトカーの音まで咄嗟に取り入れての熱演。
上手になったなぁ。
来週会うのが楽しみだ。
来るのは夜遅くだそうで、翌日は朝の10時には出かけてワクチンだからそれほどゆっくり話す時間はなさそうだけど、顔を見て話をしたい。

文書名 _[板垣巴留] BEAST COMPLEX Ⅰ

さて、今日のマンガは「BEASTARS」で一世を風靡した二世作家、板垣巴留の「BEASTARS」スピンオフ作品集とでも呼ぶべき「BEAST COMPLEX」全3巻。
「ブライト」と呼ばれる真っ白な獣だけが住む「第0地区」、愛のあまりオオカミに指を食べさせてしまうラクダ、ワニとガゼルのお料理番組、治安最悪な街に華々しくたたずむクジャクの警官、久々に登場するハイイロオオカミのレゴシとアザラシのサグワンさん、etc.…
動物はなぜ人間にならなかったのか、考えながら読みたい3冊。

22年2月20日

夜、突然息子からメッセージが来た。
「今夜お邪魔してもいいかしら?」
何なんだ、急に。
今や田舎に住んでるので、近場で都合よく用事があるとも思えないし、だいたい来週ワクチン打ちにくるんじゃなかったのか。
そこを押して今週も来るってのは、何か重大な話でもあるんだろうか。
カノジョにふられた?
お金が足りない?
子供ができた?
ああ、いろんなことが頭の中を駆け巡る~!

念のためせいうちくんが探りを入れてみた。
「今日は何かご用あり?なくてもいつでも歓迎だけどね(心の準備)」
そしたら返事は「ありがとう」のみ。
どうして前半に全く反応しないで後半にだけ返事してるんだ!大事なのは前半なんだよ!

もうこれはお金の話だろう、そうだそうに違いないそうに決まったと腹を据えて、駅からの道順を丁寧に送って待っていたら、さらに予想と違う展開。
「もう着きそう」
うんうん、早く来い。
「自転車で来たんだけど、置き場所あるかな」
自転車!彼の行動範囲からだとどこからでも1時間はかかるだろうに。
そもそもその旨きちんと相談してくれ!
来客用駐輪場とか、まだ全然決まってない、理事会も始動してない新しいマンションなんだってば。

「とりあえずないんだよねー。どうするかなー」と打ったら、
「家の扉前はどうだろう」
いや、前のマンションほどスペースないんだよ。
「それほど場所ない」
「ほー」
とやりあってるうちにせいうちくんが着替えて行ってみてくれるようす。
電話をかけて、
「今父さんが行ったから、相談して」と言ったとたんにブツっと切れた。
後で知ったが、これは充電切れのせいだったようだ。
危なっかしい状態で生きてるな、息子。

ひと晩ぐらい地下駐輪場のうちの自転車スペースの横に置いておいても大丈夫だろう、というせいうちくんの判断でとりあえず置いて2人が戻ってくるまで、すごく長く感じた。
息子は玄関を開けたとたん、
「明るい!白い!なんでこんなに扉があるの?!」と大声で不平を鳴らした。
そりゃ、君が大きくなったマンションの部屋はすごくダークな内装だったからさ、今回は狭くなることだし、真逆に白っぽい内装を選んでみたんだよ。
扉が多いのは部屋が多いわけじゃなくてなぜか戸棚がたくさんあるから。
そんなに警戒色にならずに中に入ってくつろいでおくれよ。

開けてあった部屋の扉をひとつひとつのぞきこんで(つっても書斎と寝室だけしかないが)、
「ああ、ここが書斎だね。落ち着いてるね」とか、
「ここが2人の部屋かぁ。今は一緒に寝てるんだ」などと感想を漏らし、少し落ち着いてきたみたい。
ただね、仮住まいの段階からダブルベッドひとつを入れるのが精いっぱいでこのマンションもそうだからベッドひとつしかないけど、前のマンションの時ダブルとシングルがあったのは単に部屋が広かったからで、母さんはいつでも夜、父さんが寝てからダブルベッドを抜け出してホルダーでiPad Proがついてるシングルベッドに行ってマンガ読み、寝る時はまたダブルベッドに戻っていたんだよ。
朝見たら一緒に寝てたでしょ。
元々一緒に寝るのがスタンダードなんだよ。

そんなことを声を大にして言ってもしょうがないのに、現に大にして言ってる間に息子は洗面所を見て「広いねー」と言いながらすたすたとリビングの方に行ってしまったじゃないか。
人の話は最後まで聞け。

「リビング、細長いねー。でも広いね。窓がすごく大きいね」
「前のうちと違って間に壁がないからね。このマンションの一番素晴らしいところだと思うよ」などと話しつつ、何か飲むかと聞いたら、
「いい。自分でやる」。
新しく買った東芝の冷蔵庫は扉に手を近づけると場所を示す点々が浮かび、そこらあたりに手で触れると自動で扉が開く。
普通に下を持ってグイっと開いてしまった息子に、
「これねぇ、自動で開くんだよ。そもそもマークが浮かび上がるの」と実演してみせると、まるでアメリカ人のように「BEHEEEE!」という顔をして両手を広げる。
「こんなん、自分で開けりゃいいじゃん」とまた扉の下側を持ってグイっ。
「東芝は昔からタッチ扉と野菜中心蔵がウリなんだよぅ」と言っても聞く耳持たず。
君が小さい頃にうちにあった冷蔵庫も同じシステムだったが、普通に使ってたじゃないか!

昨日下北沢でイベントがあって自転車で出かけ、そのまま友達のとこに泊めてもらい、その自転車で来たらしい。
自分のチャリはパンクしてしまったのでカノジョのを借りていて、カノジョは実家の手伝いにしばらく帰ってるから不在なんだって。
ひと言相談してくれよ、チャリで来るって。
明日は慣れ親しんだ実家近くの駅の駐輪場の1日券を使ってチャリ停めてバイトに行き、また取りに来て自分ちに帰るつもりだって。
何だか無駄の多い動線だが、これが若者だ。

「お風呂入る?」
「うん、あとでいただこうかな」
「まだよく使い方がわかんないんだけど、ミストサウナとかあるよ。今度カノジョも来た時、ゆっくり一緒に入ってみたら?」
なぜか息子、猛然となる。
「やだよ!自分のうちならやるけど、なんで一緒に入るのさ。1人ずつにするよ!」

その瞬間、腑に落ちたね。
もう、息子にとって「自分のうち」はカノジョとの部屋なんだ。
家にいた頃、不思議なほど傍若無人にカノジョ連れてきて自室に泊めてて、お風呂だって夜中に2人で入ってたみたいだったのは、そこが彼の家だったからだ。
たった今、ここは見知らぬ場所で、両親が暮らす場所ではあっても自分にはまだゆかりの薄い慣れない家なんだ。

良かったね、そんな風に自分の家と思える場所ができて。
私たちとあなたの関係も、これからだね。

「そうかぁ。でもここがあなたの新しい実家だからね。いつでもカノジョと来てね。ここで4人が仲良くなっていくのを楽しみにしているよ」と言ったら、「うん!」とやっとにっこりした。
子供が家を出るってのはこういうことなんだね。
今まで、まだ半分しか出てなかったんだ。
そうすると、このタイミングで引っ越してダウンサイジングし、旧実家を解体させたのはやはりよかったってことなんだろうな。

ここからもっと話を掘り下げていきたいと思ったのに、お風呂入った息子がおなかすいたと言ってカレーを2皿食べる間お預けを食らい(いや、適当な話はしたけど、感動的なやつはきちんと向き合ってしたかったの!)、さて今度こそ、と私が前のめりになった瞬間にプロジェクターを自慢したいせいうちくんが横槍を入れた。
「なんかサブスクで見たいものない?ちょっと計画と違っちゃって、スクリーン用のクロス貼ったリビング続きの小部屋じゃ距離が足りなくて画面が小さくなっちゃうから、ダイニングの壁を使ってプロジェクターで大きく投影することにしたんだよ」
「ふーん、お2人は『ブルース・ブラザーズ』は当然観てるよね?」
「いや、それがまだ観たことないんだよ。とても有名なのはわかるんだけど」
「えっ、あれ観てないの?!じゃあぜひそれを。オレ、大好きなんだ。また観られて嬉しいよ。Netflixでやってるから」

というわけで、小難しい話をするより映画を観ることになってしまった。
しかしほぼ100インチの大画面はやはり迫力あるし、なにより高いプロジェクター買っただけあって画がすごくきれい。
映画館のよう、と言ってもホントに全然過言でない。
そして「ブルーズ・ブラザーズ」は私が思ってた映画とまったく違ってた。
あんなに大量の車をおシャカにするカーチェイスものだとは。
もちろん音楽映画だが、そこはあれほど単純に描かれてしまうとは。
観てみないとわからないものだ。

映画を観ながら息子が語ったことは主に演劇学校のこと。
みんな、何かになりたがり過ぎる気がするそうだ。
「卒業してどこかのプロダクションに目をつけてもらって、テレビに出て知名度を上げて、って考えてる人が多いんだよね」
「せっかくそういうヒエラルキーの世界を抜け出してきたのに?それじゃサラリーマンみたいじゃない?」と私が問うと、息子は首をかしげながら、
「そうなんだよ。オレは自分が一番気持ちが良くて、お客さんも気持ちが良くて、それがつながる瞬間を創りたい。そのために演劇の勉強もしてるけど、オレがやりたいのはやっぱりコントなんだよね」
最近の君の演技観てるとわかるよ。
どんどん上手になって、そしてお話作りの力が伸びてる。
驚くようなひと言でシチュエーションをがらりと変えてくるもん。

観終わって「面白かったねぇ!いいもの薦めてくれてありがとう。でも映像も綺麗だったでしょ?」と言う頃には息子はもう歯磨きを始めて寝る構え。
せいうちくんが新しく買った布団をかいがいしく敷いてあげてる。
うちで一番あったかいシングルの羽根布団を出してカバーを掛け、息子の寝床の出来上がり。
「あー、気持ちいい!すごい寝心地いい!眠い!お母さん、また明日話しようね」って言ったって、あなた7時前に家を出ちゃうんでしょうに。
私は起きられるかどうかわかんないよ。

息子がこのマンションをなんとなく気に入ってないと言うか、ずっと首筋の毛を逆立てて「フーッ」となったまま警戒を解かない気がするんだ。
彼が気に入ってくれなくても私の家なんだから関係ないかもしれないが、どうにもそこが気にかかる。
相変わらず息子の顔色を窺ってしまう。
怖いから、ってのもないじゃないが、やっぱり可愛いからなんだろうな。

話の途中で、演劇学校の仲間たちと「自分を損得なく心から愛してくれる人は何人いるか」って話になった、と言い、
「僕は6人、って答えた」そうだ。
「けっこう多いね。誰?」と私がうながすと、
「もう亡くなっちゃったけど、おじちゃん(小さい頃よく預かってくれたシッターさんのおうちのダンナさん)、おばちゃんは今でも可愛がってくれるし、それにお父さんとお母さん、それから娘ちゃんとカノジョ」と晴れやかな顔で答えてくれた。

「いいね。母さんは親子家族関係に自信がないから、あなたでさえ私を愛してるって確信はないよ。それで言うと父さん1人しかいないや」とつぶやく私に、屈託なく、
「僕はお母さんを愛してるよ」と言う息子にとって、愛するってどんな気持ちなんだろう。

文書名 _[玖保キリコ] シニカル・ヒステリー・アワー  第14巻

今日のマンガはだいぶ古い。
1984年から「花とゆめ」で始まった玖保キリコの「シニカル・ヒステリー・アワー」全14巻。
当然ビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」とかけてる。
この頃から不思議な描線と世界観は超一流だった。
今は何してるんだろう、と思っていたら、イギリスで生活しててそれに関する生活エッセイマンガも出しているようだ。
いろんな才能がいろんな道をたどるものだ。

22年2月21日

息子は朝早く起き、再びカレーを食べて出かけて行った。
今日は学校の登校日だそうだ。(リモートもそれなりにあるらしい)
最初の年度終わりを前に、グループで進級制作に取り組んでいる。
公演での出来次第で進級が決まるとのことで、3分の1ぐらいが進級でき、その中からは次年度の奨学金がもらえる学生も出るらしい。
もちろん息子も狙ってはいるが、そんなに進級率が低いとは思わなかった。
もしかしたら追試などいろいろ手段はあるのかもしれないが、とにかく一発合格してもらいたい。

息子も帰ったし、さて二度寝だ、とベッドでうつらうつらしていたら、年下の友人ミセスAからLINEが来た。
突然だが今日1時間ほど訪ねてもいいか、とのお尋ね。
いいに決まってるが、いくらバス便の部分が徒歩になったとはいえ遠い西の果てまで、あの忙しい彼女をたった1時間のために来させてしまっていいものだろうか。

でも来てくれた。
駅前のパン屋さんでそれぞれ好きなパンを買い、家までの道を一緒に歩いた。
私立高校のわきを通ったので、
「昨日もせいうちくんとここを通りながら、学校の経営は大変だねって話してたの。どうしたって学力を上げていい大学への進学率を上げることが大切になるじゃない?そうでなきゃスポーツで名を上げるとか。まあやっぱりわかりやすいのは学力的な偏差値だよね。でも、子供にはいろんなパラメーターがあって、学力だけが特に大事なわけじゃないと思うんだよね」などと話す。

ちょうど会社の共通の知り合いの方から昇進祝いのお菓子が届いたばかりだったので、ミセスAときゃいきゃい言いながら開けてみた。
私には名前のわからない高級な名のあるお菓子店らしく、ミセスAは大喜びだった。
昔同じ人からもらったことがあってとても濃厚なチョコレートケーキだとわかっている箱は、
「これ、私大好きだから1人でいただきます」と臆面もなく冷蔵庫にしまい、焼き菓子がいろいろ詰まった箱を前に、
「私、ガリガリしたお菓子苦手なんですよね。あ、マドレーヌがある。この部分だけ好きです」とものすごい偏食を発揮する。
お菓子の値打ちを知るミセスAは、
「えー、だって、これどこどこのあれあれですよー。もったいないことを…」
「ご存じの通り、好き嫌いが激しいんですよ、私は。栗のお菓子はNGとか」と過去の思い出につながる話をして笑い合った。

「じゃあ私が少しいただいてもいいですか?」と言うミセスAに、
「どうぞどうぞ、せいうちくんは何でも好きな人だから、彼の分だけ残しておいてあげてください」とそれぞれに好きなお菓子を楽しんだ。
うちに来る前に「月餅みたいなあんパンを持参したかったんだけど、時間がなくて」とミセスAが言うので、
「あ、私は月餅キライです。せいうちくんは大好きなので持ってきていただいたら喜んだと思うけど」と答えたら、
「はぁ~、やっぱりうさこさんにはいちいちお伺いを立てた方がよさそうですね~」とため息。
申し訳ないけどせっかく喜ばせていただくなら事前に聞いていただけると無駄がないかと。

しかし、年をとったせいか若い頃よりさらに横柄になったな。
ま、それも正しい仕方ない道か。
あと、お子さんの進路でちょっと考え込んでいたミセスAがあとからLINEで伝えてくれた。
「うさこさんが『子供の能力を測るパラメーターは学力だけではないのでは』と言ってくれて、その通りだと思ったので、すんなりと話が進みました。ありがとうございます」
そうか、私、いいこと言ったか。嬉しいなぁ。

そうそう、玄関のカギはあっさり直ってしまった。
扉が開いた状態でなら、シリンダーを替えて一発解決だ。
迅速な対応がありがたい。
大した不便もなく過ぎた故障期間中だった。

あとは循環器内科に行って、他の病院で診てもらうための資料と紹介状をもらう。
「そこの心エコーの機械か本人の腕が悪いので交換した弁の評価ができない」とドクター自身が言っているので、紹介状を書くにも「よそに行かれる」的な気分は少ないだろう。
誠実なドクターなのでできればかかり続けたいのだが、ちょっと私の心臓の程度だと専門に自信のあるクリニックでないと難しいかもしれない。
ありがたく紹介状をもらって、週末に行ってみよう。
15時に行ったら満員だったが、ドクターはわざわざ、
「うさこさん、今日は紹介状だけですか?」「はい」で待合室まで持ってきてくれた。
最後まで誠意のある人だったと思う。惜しい。

文書名 _[東村アキコ] かくかくしかじか 第03巻

今日のマンガは作画が早いことで有名な東村アキコの「かくかくしかじか」全5巻。
この人が一番真面目に描いてるマンガ、って印象。
常々マンガ家というのは「どうやってなる」のか興味があったので、「なるほど、こういうなり方もアリか」も思った。
いや、出版社に持ち込むとかまず描いてみるってのは当然として、どういう気持ちが育つとマンガ家になれるのかな、という意味で。
いい先生に恵まれたんだ。ちゃんとした自分を見てもらいたいと思えるほどの。
そういうオトナって、必要だよね。

22年2月22日

整形外科にリハビリ受けに行って、ついでに診察。
右手人差し指はあいかわらず「腱鞘炎」一歩手前で、手前だから治療はしないで様子を見るって。
膝は次回、2週間後にまたヒアルロン酸の注射をしましょうとのこと。
シップと鎮痛ジェルは両方種類が気に入らなかったので替えてもらってみた。
まだまだいろいろありそうだから、ここでもらうものが落ち着いてやっとひと息だね。
薬局によっておいてるジェネリックが違うなんてこともあるんだけど、ここは珍しい院内処方なんだよね。

リハビリは、歩き方に歪みがあることを指摘され、腰痛や膝痛、ひいては背中や太ももの張りもそのせいみたいだ。
今のところ筋力をつけることが一番効くんだそうで、散歩するよりもゆるい筋トレを生活に取り入れるといいらしい。
筋トレ。響きだけでうぇーとなるぐらい苦手な種目。

今日は2022年2月22日だからって、22時22分22秒にはちょっと盛り上がっていたみたい。
やっぱり200年後の方が派手なんじゃない?

文書名 _[柳本光晴] 響~小説家になる方法~ 第13巻

今日のマンガは柳本光晴「響~小説家になる方法~」全13巻
書いたらいきなり新人賞とって芥川賞と直木賞ダブル受賞、すごすぎるだろう。
映画で欅坂の平手友梨奈が主演したと聞くが、イメージにぴったりだ。

1日1冊本を読む、歩く時も本を読んでいる、私だってそうだった。
いや、1日5冊読んでいた。中学と高校の図書館中の本を読んだ。
響と私の違いはどこだ?
息をするように「おはなし」が浮かんでこないから小説は書けないと思うが、私が書いたものはなんでも小説にもできるんじゃないのか?
この日記で、一人称ではなく三人称を使い、「うさこは…と思った」「うさこはそう言った」と書けばいいのか?
幸い日本には「私小説」というジャンルが確立されていることでもあるし。

でもやっぱりとても面倒。
書くことが苦痛だったり面倒な作家なんてダメだろうな。
きっと「おはなしが書ける」人は書かずにいられないんだろう。
そしてたぶん、「書かずにいられない」のではなく「書いてほめられたい」人は物書きになんてなれないんだろう。
自意識ってのはありすぎてもなさすぎても困ったものだ。

22年2月23日

週なかの祝日は嬉しい。
嬉しすぎて「今日は何の日か」なんて頭からすっかり抜けていた。
夜、ネットを見ていて今日は妙に天皇さん関係の記事が多いなぁと思ってはたと気づいた。
天皇誕生日だったかぁ!
皇室ファンとしての私も相次ぐバッシング記事や風評に、すっかりくたびれてしまったと見える。

将来の天皇が東大に行くのは絶対反対。
わざわざ誰かの椅子を奪って名を上げなくても、超一流の教授を好きなだけ呼んでご進講を受けられる身であることはもちろん、そんな下世話な冠などまったくいらんだろう。
ただただ天皇として立派であっていただきたい、そのために学歴は全然必要ない。
一般人はついこういうことを考え始めるから皇太子妃や宮妃を民間から迎えちゃいかんのだ、と暴論を吐きたい一歩手前だ。
もう吐いてるようなもんだし、そもそも今の日本には「皇族」と「民間」しかいないタテマエになってるからなぁ。
大局をひっくり返す超絶大技は愛子さんと悠仁さんのいとこ同士の結婚しかないのだろうか。

それはそれとして、休日をのんびり楽しんだ。
久しぶりに片づけも整理も何もなく、ひたすらぐんにゃり。
「ミステリと言う勿れ」や「真犯人フラグ」は最新話まで観てしまったので後がない。
土曜ドラマの「恋せぬふたり」という高橋一生と、うちでは朝ドラから「カップヌードルの娘」と呼ばれている岸井ゆきのが出ている意欲作を観始めた。
アセクシャル、アロマンティックという性自認をテーマにしていて、最近のNHKは攻めてるなぁとしみじみ思う。
レズビアンの女友達まで入れて岸井ゆきのがモテすぎなのが少し気になる程度で、立派な良作だ。

しかしこういうゆっくりした時間に映画を観なくなってどれぐらいたつだろう。
息子が中学生ぐらいまでは年間150本ほど観ていたのに、観られていたのに、子育て終わってヒマなはずの今の方が全然観られない。
これは時間の問題ではなく「観る能力」の問題なんだろうか。
そこが老化しちゃったんだろうか。
いや、大人として社会人として中途半端に一番忙しい時期なんだと信じたい。
たとえ身体はヒマでも、心を砕くこと、しかも子育てのように前向きでなく本能的な喜びでもない、心身をすり減らすような何かに取り巻かれている、それがアラカンなのだと思う。

あと、私に関して言えば2年以上にわたるこの引っ越し大プロジェクトの終わりを迎え、緊張の糸がゆるみきらず、また解けることもなく、中途半端に緊張したまま食べて寝て読んで食べて寝て読んでを繰り返すしかないのがもどかしいのだろう。
「休める時はしっかり休んで。キミはとても長いこと頑張ってきた。長いお休みを取ってちょうだい」と言ってくれるせいうちくんに甘えよう。

クラダルマ

今日のマンガは和田慎二の弟子として名高い柴田昌弘「斎女(ときめ)伝説 クラダルマ」全18巻。
ひと言で言ってとってもエロい。
男女和合を教義とする宗教の話だから当然エロいし、それに敵対するのが古来より閨房術を磨いて時勢を動かしてきた斎女(ときめ)の集団である寺なので、もっともっとエロくなるのはもうどうしようもない。
幸い柴田昌弘は絵が上手なので、見ていて不快になることはあまりない(少なくとも私は)。
ひととき、「エローい!」と叫びながらのマンガ鑑賞はいかがだろうか。

22年2月24日

ドラマの「ミステリと言う勿れ」を見ていて、また原作を読み返してみて、「漂流郵便局」という存在に強く惹かれる。
私が思うのは、人を憎む気持ち、嫌う気持ち、誰かを呪い殺したいほどの気持ちを手紙に書いてある種の漂流郵便局に出し、向こうの人が読んでくれて、
「あなたの憎しみや恨みはあなたが抱いて当然のものです。あなたがこの気持ちを持ち続けることを、私(私たち)は認め、支持します」ってポーンとハンコを押して返送してくれる場所だなぁ。

いつでも赦しを求めている。
母を憎んでいいのか、姉を嫌っていいのか、彼女らの事情を無視して自分の気持ちを優先していいのか、姉が死んだら「いい気味だ」と喜びかねないほどの自分のどす黒い気持ちを抱いていてもいいのか、そういったすべてに承認と赦しが必要だ。

「そんなの、自分の心の問題だから自分が自由に決めていい」って意見が多いだろう。
でも、自分で自分のことを決められる装置をつけてもらえなかった、敢えて壊されてきた人は、どうしても自然にわいてくる悪意、特に私の人生を操ってきた人たちへの悪意をどう収めたらいいのだろう。
「貴女は悪くありませんよ」というスタンプをもらうために日記を書いて訴え、自分語りをし、医者にも通ってしまう。
最後は自分でしか決められないはずなのに。

「家族を愛せない」という気持ちは時にせいうちくんや息子との関係も悪くする。
こっちが勝手に警戒してしまうのだ。
「ひどい人間だって思うでしょ、でも、だって、しょうがなかったのよ!」と自分でも聞き苦しいと思うような言い訳と弁解を理屈にくるんで吐き出し始めるところを見られるのもイヤだし、相手の戸惑いや心痛、辟易してるのさえわかる。
それでも毎度言い訳をしながら生きている自分を消したい、でもそうしたら「私の」家族は苦しむだろう、そのぐるぐるを繰り返して、どこへ行くのかハムスター。

文書名 _[黒田硫黄] 茄子 第01巻

今日のマンガは黒田硫黄の連作「茄子」全3巻。
初めてこれ読んだ時は電流が流れたなぁ。
まったく予備知識なしに、マンガ書店で背表紙に惹かれてつかみ、パラパラ見て、せいうちくんを、
「ねえねえ、これってすごくない?」
「うん、すごい!絶対買おう!」と興奮に巻き込み、買って読んだらやっぱりすごかった。

「神の降臨したまいし右手で過たずつかんだ」と言える、たまに起こる現象だが、これほどのクラスのものはめずらしいかも。
せいうちくんが私のどこに感心して好きか、って話になるとほぼ必ず「それに『茄子』をつかんだし」と並べるトピックである。
もちろん黒田硫黄は全部いいので、何買ってもいいけど、私は茄子のお味噌汁が好きなんだ。

22年2月25日

1年ぶりにホームグラウンドの心療内科の先生に会いに行った。
予約の段階から朝一番に面談入れてくれて、ゆっくり話を聞いてくれた。
「やあ、お元気でしたか」って。
ただ、この1年はあまりよくなっていない気がする、希死念慮も薄れていないし何かが不安でたまらない、と言ったら、おくすり手帳をよく読んで、
「それじゃあ向こうの先生もこれだけ出さざるを得なかったわけだ。すごく増えてますね。これからゆっくり減薬しますよ。それでいいですね?」と確認を取っていた。
自分では薬を減らせないので、ドクターがやってくれると助かる。

元々あまり薬を使わない主義の医師なので、千駄木で「不安です」「眠れません」というたびに追加されていく薬を抱えて、「これは元の先生のとこに戻ったら怒られるだろうなー」と思ってたんだ。
思ってたほど怒られてないともいえる。この程度ならば。

姉と話したことを語ったら、
「そりゃお姉さんずるいよ。まず遺産の総額言わなきゃ。うちの兄貴だってそれぐらいは言ったよ。それでも母親が長男に、長男にって考えの人だったから家も土地も持っていかれた上での三等分って妙な分け方になったけどね。それにしたっていちおう家土地がいくらで、それ以外に何がいくらあって、って説明があったうえで、『家と土地はオレがもらうから』だった。お姉さんは中身も明かさないで相談もなしに、相続終えちゃったわけだ。そりゃよくないよ」とドクター自身相続では苦労したらしい。

「もう判もついたことだし今更やり直しはきかないってわかってるし、わかってるってことも姉に言いました。それでも右へ左へ受け流し、話をあちこち持って行って決して総額は教えてくれませんでした。『いろいろあって、私もお金をスっちゃったし、家は売り買いしたし、わかんなくなっちゃってるのよね』って、私が知りたいのはどういう金額で遺産相続の手続きをしたかです。それは消えてなくなったり変わったりしませんよね」
「うん、お姉さんはきっとうしろめたいんだね。ズルしてる、って自覚があるから言えないんだと思うよ」
「それならそれでいいです。私はあの人を憎み、軽蔑し、関わらないことを誰かに認めて許してほしいだけですから」
「きょうだいだからねぇ。つきあいは出てきちゃうかもしれないけど、向こうが悪いってきっぱり思うのは全然問題ないと思いますよ。だって変だもん」

というわけで姉と一方的に絶縁する許可はいただけた。
「うさちゃんのことが心配」「うさちゃんには幸せになってほしい」
それでこれですか、たぬこさん。
もう心配してくれなくていいから、よそでその博愛精神ときょうだい愛を言いふらすの、やめてもらっていいですか。

2週に1回通うことになって、少しミリ数を減らした薬もらって、昨日せいうちくんに言われた買い物をして帰る。
ドラクエのお使いイベントみたいだ。
まずスーパーに行ってカキフライ用のパン粉と小麦粉、あと私の判断で適当に買い物して、TOPS行ってLサイズとミニサイズ買って(Lサイズは明日、息子が来たら食べる。ミニサイズは今晩せいうちくんと食べる)、最後に魚屋さんに行って大粒の牡蠣を買う。
明日の晩ごはんはカキフライだ!
新しいノンオイルフライヤーのテスト運転を兼ねて、久しぶりにカキフライ。

帰り道ではかなりへろへろのぐでぐでになっていたが、とりあえず用事はすませた。
1年後に本当に元の主治医のところに戻れるとはなんとなく感動してしまう。
薬局のおねーさんも私を覚えてくれていて、
「お戻りになったんですか?お引っ越しされてたんですよね?」と声を掛けてくれた。人が故郷に帰りたくなる気持ちが何となくわかったよ。

あと、謎なのはヨドバシの前の大行列と各銀行(特にSMBCが多かった)の前の行列。
前者は今日何かのゲームが発売されるのかもしれず、しかし後者はどうにも説明がつかなかった。
Twitterを見ても「お給料日の金曜だから」ぐらいしかわからず、ただ戦争が不安だから現金を下ろしておく、って説もあったな。
うちはどうしたらいいんだ。
マンション買ったばかりでかつてなく貯金が少ないのがかえって幸いするのか。

文書名 _[鈴木マサカズ] 「子供を殺してください」という親たち 第03巻

さて、今日のマンガは社会派だよ、鈴木マサカズ「『子供を殺してください』と言う親たち」既刊8巻。
引きこもりや家庭内暴力で困り果てた親が外部に助けを求める時、選択肢はそう多くないのを感じる。
怪しい業者に無理やり連れて行ってもらうケースも多いらしい。
うちはイマイマ困ってるわけじゃないが、いつか困るかもなぁといちおうお勉強している。
と言うより、自分が親に謝られたいからかもしれない。
でももう謝ってはもらえないところにいる。

マンガはできるだけ今全部読めるよう完結したものばかりを選んでいたが、せいうちくんに「大縄跳びにタイミング見て入りたい人もいるでしょ」と言われたので、これからは面白いものは終わってなくても載せていくかも。
でも、そんなん今連載中で新巻待ってるコミックスばっかり並ぶことになりそう。
今、待ってる新巻ざっくり80作品。
楽しみにしててね。


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