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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年11月26日~12月2日)

ついに息子の結婚関係者5人が顔をそろえ、「超略式の結納」みたいな家族顔合わせのお食事会をやりました!これでもう、いつ婚姻届けを出してもOKです。若い2人で式のこともそのうち考えるそうです。くたびれたけど、めでたかった~。年内にも入籍するつもりだそうですので、お正月に遊びに来てくれる時はもう夫婦かもしれません。「嫁よりお友達になりたいと、おこがましくも思っています」とLINEをくれる素敵なカノジョです。お母さまからも「娘と思ってご指導お願いします」なんて言われちゃいました。こちらこそ、将来もわからない不出来な息子ですが、どうぞよろしくお願いします!

22年11月26日

まずは金曜夜定例ZOOM飲み会の模様をご紹介。
10月に受けた毎年の健康診断で左乳房(「ちぶさ」ではなく「にゅうぼう」と読もう)に「異常あり。精密検査を要する」が出たのでその話を日記に書いたら、ZOOMメンバーの中にも読者がおり、いっとき大騒ぎがくり広げられた。

奥さんが10年ほど前に乳がんで亡くなっている長老がまず口火を切った。
「おまえに言わんといかんことがある。日記読んだが、乳房の影はとにかくすぐに検査すること!あと、〇〇第一総合病院には絶対行くな。あそこはヤブだ。うちのカミさんはそこに通ってたんで死んだ」
いや、お気持ちははわかりますが、あなたが昔住んでたの神奈川県じゃないか。
そんな遠いとこ、行く理由がないからまったく大丈夫だよ。
そうしたらコロナの3年間にいつの間にか奥さんが乳がんにかかってひと月で手術に持ち込み事なきを得た人がカムアウトしてきた。
「やっぱり早期発見、早期手術」なのだそうだ。
20年以上前に自分が舌がんにかかって手術による切除がうまくいって現在は健康な人がいて、その人はがんセンター派。

そういう人々が口々に、
「地元の大病院なんか信用しちゃダメ!」
「とにかく早期発見。すぐ精密検査に行け」
「がんはやはりがんセンターで診てもらうのがいい」と互いに押しのけ合うようにして自説を語りまくっていた。

正直ね、思ってもみなかった大騒ぎだったよ。
まだ「検査に行け」って健診先から言われただけで、当人は全然焦ってなかった。
せいうちくんは「なるべく早く行ってね」とは言ってたけど、そう熱烈ではなかった。
ただ、家からすぐのところに「乳腺外来」があるものだから、
「キミの日頃のツキの良さを考えると、そこのクリニックに何度も通うことになるかもしれない。ホントに引きがが強いからなぁ」と不安そうではあった。

なのに当人の私が「検査は来週に入れますよ。マンモグラフィーと超音波で調べてもらいます」と言っているのになおも続く激震。
病院はどこがいいかと教えられても、何にかかっても隣にある大病院に入院するつもりで越して来たからなぁ。
長老、「築地のがんセンターは入院患者が抜け出して魚市場に行き、寿司が食えるぞ」ってのは昔の話ですからね。
場外卸売市場はもう豊洲に移転しちゃったんだから。

皆が大論戦に入ってるのを聞いてて、こんな死にたがりの命を心配してくれるんだと思ったら少し泣けてきた。
土曜は用事があるので早く落ちます、と言った私に最後までZOOMの向こうから「検査行けよ~!」と叫んでくれた人々、本当にありがとうございます。
人は支えられて生きているんだなーと実感。

さて、乳腺外来には月曜に電話してみることにして、今日は大事な用事がある。
息子がカノジョと住んでいる大宮で、ついに互いの親と子供たちが顔を合わせるお食事会だ。
思えば若い2人がコロナにかかったため延期し、その後ずっと予定が合わず、もう顔合わせ前に入籍してもいいか、と思い始めていたのだ。
しかしカノジョとお母さまは「やはり入籍前に顔合わせをしたいですね」とお母さまの休みの日に都合をつけてくれた。ありがたい。

カノジョのお父さまは早くに亡くなられているので向こうはお母さまとカノジョのみ。
こちらは息子と我々夫婦だ。
せいうちくんが時刻表で調べておいてくれたので、スムーズに乗り継いで待ち合わせ時間ちょっと前に大宮駅の待ち合わせスポット「豆の木」のオブジェの前でカノジョと息子に会えた。

「母はちょっと遅れてしまいます。申し訳ありません。ここは混んでいるから、出口のところで待ちましょう」と言うカノジョに従い、ぞろぞろと駅出口に向かい、小雨が降っていたのでビルの軒下に小さな円陣になってよもやま話をしていた。

そしたら、ちょっと離れてLINEか何かスマホを操作していた息子に、突然話しかけた中年女性がいた。
「ちょっと、それやめてくれる?その、手をひらひらさせるの!」
こちらも何事かと立ちすくんだが、息子は悠然と構えていた。発した言葉は、
「なにゆえ?」。
「 目の前で手をひらひらされると、すっごく気分が悪いの。よそでやってくれる?その、手の動きがイヤなのよ」と、ちょっと危ない人特有のカン高い早口でなおもいろいろ言っていた女性。
対して息子は、「かしこまりました」とスマホ操作をやめ、ポケットにしまった。
それでも気にくわなかったのか、
「もういいわよ。私が他のところに行けばいいんでしょ!ホントにイヤなんだからね!」と言いながらスーツケースを引きずってどこかに行ってしまった。

「今の、なんだったんだろう」
「ちょっと変わった人でしたね」
「いや。けっこういるよ、そういう人」と小声で話し合っていたら件の女性がいつの間にか後ろに立っていた。
「先に私がいたんだし、やっぱりここが気に入ってるから、いるわ」と言っていて、それはまあご自由ですから、と思っていたらさらにそのあとふらふらどこかへ行ってしまった。

街に出るとたまーにそういう人に出くわすことは確かにあるが、息子の対処が抜群だったな。
理不尽だから理由を聞く、こちらで何とかしてあげられるものなら聞いてあげたい、そんな気持ちから質問が出たわけで、しかも「なにゆえ?」。
ケンカになりそうでも止まる面白い言い方だ。
そのあとも「かしこまりました」と相手の要求をのんでいても、決して謝ってはいない。
柔道で鍛えた、突進してくる相手を読んで冷静に対応する能力と、今、お店で重ねている「闇雲に詫びはしないがお客様の要望を取り入れるスキル」が、格段に上がっていると感じたよ。
素晴らしい対応だった!

やがてお母さまが現れ、簡単にご挨拶をすませた後でカノジョの案内でお蕎麦屋さんに向かう。
席を予約しておいてくれたようだ。
しかも膝の悪い私に負担がかからないように掘りごたつ式の和室。
ありがたい。
カジュアルながらも一生懸命おしゃれしてきた甲斐があった。

とりあえずのビールで乾杯。
息子は真剣な顔で生ビールのピッチャーから5つのグラスに注いでくれた。
「この度は遠くからわざわざお越しいただきまして」とお母さまが言うから、
「いえ、乗り継ぎは1回ですし、1時間ほどしかかかりません。大宮はいい街ですね」と答える。

若い2人の結婚の話と言うよりお互いの家族の状況などを話し合った。
特に娘のことで息子に金銭的・時間的な負担をかけることはほとんどない点をよく説明させていただいた。
我々が死んでしまったら予防注射や治療の承認、年に1度の面談に行ってもらうことになるかもしれないが、いずれにせよ娘は娘で障碍者年金ももらって自立しているので、それほど手を煩わせることはないだろう。
カノジョは4人きょうだいの末っ子で、今お兄さんその1の奥さんが具合が悪く子供たちを預かることが多いという。
カノジョも手伝いをしているので多忙だが、いずれは落ち着くだろうからそしたら2人でゆっくり結婚生活を送れるだろうとのこと。

親たちはお互い、かなりざっくばらんであけすけなタイプなので、話はとんとん拍子、お母さまもすっかり息子を信頼して可愛がってくださっているのが見てとれる。
そして言うまでもなく私は清楚で仕事が早くて可愛いカノジョに夢中になっている。
こんな定職もないような男と結婚したいと言ってくれるカノジョにも「まず入籍でいいけど、式はあんまり時間が経つとダレるわよ」とアドバイスしてくださるお母さまにも感謝の念しかない。

「いたらない娘ですが、実の娘と思ってよろしくお願いします」と言われた時は「キター――!」と思った。
こちらも必死で、
「未熟でいたらない息子ですが、今後ともご指導よろしくお願いします!」と返事した。
ううう、結納っぽいぞ!

結納と言えばせいうちくんが、
「本来はこちらでいろいろ縁起の良い品物をご用意したり席を設けたりしなければならないのですが、超簡略版で申し訳ありません」と頭を下げたら、お母さまは面白そうに、
「あら、そしたらこちらもそれなりのお返しを用意しなければいけませんからね。そういうことは抜きで行きましょう」とおっしゃっていた。
かなりざっくばらんな人だ。私でもかなわないかもしれない。

お蕎麦屋さんの昼の部の営業が終わってお店の人が申し訳なさそうに追い出しに来るまで、3時間ぐらい飲んでしゃべってた。
息子は昨夜の仕事がハードでちょっと飲み過ぎたらしく、また今日もこれから仕事に行くんだそうで、やや具合が悪そうだった。
途中で隣に座った私の手をぎゅうっと握ってきたので、私のことを何か心配してるのか?それともまずいことを言っちゃって注意されているのか?と焦ったが、単に疲れて酔っ払ってちょっとエネルギーチャージしたかっただけみたいだ。

お蕎麦屋さんを出て(「結納ですから」とお代は持たせていただいた)仕事に行く息子が抜け、残りの4人でお茶でも飲もうという話になった。
カノジョが息子とよく行くって店に行ってみると、間の悪いことにお休みだった。
ややあわてたカノジョが駅前のビルの中にある不思議な雰囲気の上品な喫茶店に案内してくれた。
コーヒーも紅茶も高めで、メニューに書いてある「高いが旨いお菓子」にはたいそう惹かれたものの、さっきまで飲み食いしていておなかいっぱいだったので次回にチャレンジしよう。
カノジョも初めて入ったそうで、喫煙可なので今度息子と一緒に来ると言って嬉しそうだった。

そこからさらに2時間、しゃべりまくる。
意外かもしれないが、私はけっこうおとなしくしてたのだ。
せいうちくんが新郎の父としてテンション上がり過ぎだったのか、それともお母さまが陽気で話好きなせいか、とても楽しかった。

こういう素敵な方たちとご縁を結ぶのだと思うと感無量。
お母さまは「娘さんにも面会に行きたいですね」とおっしゃる。
今は2人という人数制限があるから、お母さまとカノジョだけでは慣れてなくてどうしていいかわからないだろうし、息子もお母さまをご案内するにはまだまだ不勉強なので、コロナが落ち着いたら皆で報告に行きたいですね、って落ち着いた。
息子は婚姻届けを出したら来年早々にでもカノジョを連れて会いに行きたい、と言っていた。

もう暗くなってから喫茶店を出て、カノジョとお母さまは大宮から電車で15分ぐらいの実家にに一緒に帰ってお兄さんのお子さんたちの面倒をみるようだ。(昼間は一番上のお姉さまがみていた)
美味しそうなカツサンドの店に目をつけていたので夜食にぜひ買って帰ろうとお2人と別れてから行ってみたら、カツサンドもメンチカツサンドも全部売り切れていた。
最初に通った時に買っておけばよかった…orz

それでも帰りの乗り継ぎも良く、大宮から新宿乗り換えで1時間ちょうどぐらいだった。
これなら通勤してる人もいるかもしれないね。
「息子くんは、とても話が面白くて、優しくて一緒に暮らしていて楽しい人です」と正面から言ってくれるカノジョに、我々もできるだけのことをしてあげたい。
気持ちのうえではもう家族だ。
こんなに素敵な人たちと知り合い、縁を結び、絆を作っていくのだと思うと、まったく「息子、GJ!」としか言いようがない。
若い2人がお互いを誰よりも大切に思い、未来を一緒に生きて行こうと思っているのは本当にまばゆくて畏敬の念すら覚える。
彼らが末永く幸せでありますように。

夜中に息子からメッセージが来た。
「お店でちょっと話し合いをしてるから、遅くまでこっちにいるよ」って。
これは「できれば泊めて」って意味かな?と思ってせいうちくんが「タクシー使ってもいいから、うちに泊まりに来たら?」と誘っていた。
しかしめずらしく泊まりのお願いではなかったらしく、「店で寝る。暖かいから大丈夫」だって。
音楽グループでもよく「音楽性の違い」で解散したりするから、経営方針なのか芸術性の違いかわからないけどまわりとの問題はよく話し合って解決してね。
「誰もが楽しくなるパフォーマンスが観られるお店」を目指してるんでしょ。
頑張って乗り越えてもらいたい。

さて、1日1作マンガ紹介、いよいよ手詰まりになってきたのでもうどうしようもなく、「あの方」にご降臨願いたい。
言わずと知れた「マンガの神様」手塚治虫だ。
江口寿史をして「とにかくこの人がマンガを始めちゃったんだから、仕方ない」と言わしめた存在だ。
作品が多すぎて選ぶのは少し苦労したが、個人的なベスト7を順不同に挙げていきたいと思う。


まず最初の作品は「アラバスター」。
これは意外と知らない人も多い、文庫本2冊の短い話だ。
自炊を始める時に手塚治虫全集全400巻を持ってるのをいいことに、秋田書店から出ていた文庫版を処分してしまった自分に今頃になって「大馬鹿者!」と言いたい。
黒人に生まれたことで蔑まれ、投獄された牢の中で知り合った科学者から透明人間になる光線の存在を知らされ、脱獄して自分に照射する男。
しかし実験は失敗で、身体の表面の皮膚だけが透明になり、血管や神経がむき出しになった恐ろしい容貌を持つようになる。
乳白色の鉱物、アラバスターを自分のシンボルにした男は、科学者の人体実験によって目以外の全身が透明で生まれてきた少女、亜美をつけ狙って日本にやってくる。(目が透明になると何も見えなくなる、とSFでは言われているため、目は残したのだろう)
赤ん坊の頃から身体に白粉を塗られ、正体を隠して育てられた亜美は、やがて目に見えるものの美しさだけを評価する世の中を憎む気持ちをアラバスターに利用され、残虐な犯罪に手を貸すようになる。
最後には自分のしてきたことの間違いを悟り、アラバスターと共に命を絶つ。
まあそんな話だ。
最初に読んだ時からなんだかすごく好きで、今回も挙げさせてもらった。
全集持ってる人は読んでみてほしい。

22年11月27日

ものすごく久しぶりに本当に何もなく1日のんびりできる週末(昨日はお出かけだったが)だと思ってひたすらグダグダしていて晩ごはんさえここ2週間ぐらい毎日のように受け取りに行くと半額になるピザを食べてる。

お約束の「鎌倉殿の13人」を観終わって、さあゆっくり読書でもするか、と思ってたら息子から連絡。
「突然で申し訳ないのだけど、今日泊まっても大丈夫かな?」
昨日じゃなくて、今日なの!
お店の床で寝て、さすがに寝心地悪いんで2日続けてはやりたくないってことかな。
「いいけど、ごはんとか何もないよ。買ってきてね」と伝え、どうせ終電になるので明日仕事のあるせいうちくんは先に寝た。
息子が来るからって興奮して寝つけなくなるなんてことが一切ない彼を、心から尊敬する。
そうでなきゃ会社員なんて務まらないんだろう。

息子が来たのが0時半ごろ。終電よりは少し早いか。
自分で買ってきたコンビニのチゲラーメンみたなのを温めながら、お店での困りごとの話を聞いてほしそうだった。
もちろん聞いたが、何かと「集団あるある」だなぁ。
目的も考え方も違う人たちが集まって何かをすれば、最初の興奮の蜜月が過ぎたあとに必ずついてくるようなことだと思った。
お客さんに楽しい思いをしてもらうために、きちんとスタッフ同士で解決しなさい、としか言いようがない。

ここのところ仕事が立て込んでいたらしく、風呂に入ったらさっさと寝てしまった。
カノジョは火曜日まで実家にいるそうなので、
「明日、特に予定がないならもう1日泊まったら?父さんとも話せていいんじゃない?それに、くたびれ切ってるようだからゆっくり休んでいってほしいなぁ」と提案すると、
「じゃあそうさせてもらうよ。どうもありがとう」とぎゅうっとハグして、そのままネジが切れるように布団に倒れ込んでた。

寒いので、リビングの端に出っ張っている4畳ほどの空間に付属のスライドパネルを動かして個室を作ってやった。
床暖房もついてるしエアコンも独立したのがある。
適当に操作して、風邪ひかないように寝てね。

なんだかカノジョのことばかり考えてしまう。
昨日もとても可愛くて、女好きの私としては目が吸い寄せられて仕方なかった。
ピュアで率直で素直で賢い。
息子によれば古着が好きだそうであまり服にお金をかけないみたいだが、アシンメトリなデザインのグレーのワンピースを着ていてよく似合っていた。
にこにこと話を聞いてくれることが多いが、時々ポイントを突いた鋭い質問をしてくれる。

「お母さんは、どうして英語が好きになったんですか?」と聞かれた。
2年も留学経験があって今もペラペラのカノジョと違ってこっちはもうすっかり英語自体忘れてしまっているが、そうだなぁ、最初は中学で習い始めた時に「このわけのわからない文字列が、他の国の人が使っている言語なんだ!」と思ったら猛烈に興味がわいたのかな。
当時好きだったサイモン&ガーファンクルの歌詞をノートに書き取って、「I am Usako」とか「This is a pen」しか習ってないのに辞書と首っ引きっで訳詞を試みた。
当時のノートを見ると「a」まで「ひとつの」と訳してあるような拙いものだ。
それでも単語をつないでいくと意味が分かってくるのが楽しかった。

あと、話しているうちに思いついたが、英語だとストレートに簡潔にモノが言える。
日本語はついしゃべり過ぎてしまうんだが、第一外国語としての英語では限られたボキャブラリしかないし、のちに「英語で考える」感覚がわかってくると頭の中が整理されて必要な本質に切り込みやすいのに気づいた。
カノジョにそう言うと、
「わかります!別の人格になったような感じがしますよね。頭がクリアになります」と賛同してくれた。

また、「お2人はとても仲がよさそうに見えます。結婚して仲良しを維持するコツはなんでしょう?」とも聞かれた。
わりと無難に、
「うーん、お互いに嘘をつかない、理解し合えるように話し合うことでしょうか」と答えたんだが、これもあとから違う答えが出てきた。
家に帰ってからだったのでLINEで伝える。

「基本的で当たり前すぎて言い忘れていましたが、お互いに大好きでいることです。大好きだから結婚しようと思った、その大好きをずっと持ち続けています。『生活の中での慣れ』は親しみに変え、恋する気持ちを忘れないといいと思います。『大好き』の日々の水やりとして、キスと抱擁はとても効果がありますよ。うちでは困るとよく『ベッドに行こう!』と言ってぎゅうっとしています」
カノジョは「一番大切でいて、忘れがちなことかもしれませんね。水やり、いい言葉ですね」と返事をくれた。
こんな人を娘と思っていいなんて、結婚てなんてありがたい制度だろう。
「嫁と姑」ではなく、お互いに信頼し合える年の離れた友達のようになれたらいいな。


今日の手塚マンガは「鳥人大系」全1巻。
1971年から1975年までSFマガジンに連載されていた頃に読んだ。中学生の頃か。
父親がSFマガジンを購読していたのでいつでも読めた。
戦争を繰り返し地球を滅びさせようとしている未熟な人間文明に替わって鳥が主導権を握るよう、宇宙委員会は決定を下す。
鳥の知能をアップさせる薬が与えられ、鳥たちは次第に進化した「鳥人」となり、人間は奴隷以下の家畜のような扱いを受ける。
驕慢で美しい鳥たちの姿が素晴らしい。さすがは手塚治虫。
やがて肉食の猛禽たちと草食の鳥類が争うようになり、再び地球は差別と争いの地となる。
宇宙委員会で「第三惑星は失敗だった」とされ、滅びてゆく鳥人たち。
新しくこの星の主となるのは生命力で群を抜くゴキブリたちだった。
人間と鳥が平和に暮らしていた頃への郷愁、鳥のロミオとジュリエットの話など、涙が出るほど美しい短編がストーリーの進行に手を貸し、見事な文明史となっている。

22年11月28日

朝早く起きてテレワークのせいうちくん向けに「息子は明日も泊まるってさ」とメモを残しておいたら、朝、私が起きた時にはヘルシオホットクックの中にビーフシチューができていた。
いったいいつ作ったんだ!?父親の鑑。

息子も私もトイレには起きたりしながら、結局完全に覚醒したのは15時ぐらい。
せいうちくんはその間ずっと書斎でPCに向かっていた。
会社に行ってれば当たり前のことではあるが、同じ屋根の下で2人の人間が朝も昼もなく惰眠をむさぼっているってのは精神衛生に悪くないんだろうか。

もっとも私はちょくちょく起きてうろうろしてたんだけどね。
乳腺外来の予約も入れなきゃいけなかったし。
幸い明日の15時半に空きがあったので、入れてもらう。
何の進展もないままこの週末ZOOM飲み会に顔を出すのはあまりに申し訳ないからね。
せめて検査には行った、って実績を作らなきゃ、心配してくれた人たちに合わせる顔がない。

息子は起きてシチューを山盛り食べた。
あんまり山盛りに食べたからひと鍋がほとんどなくなって、おまけに彼も晩ごはんのピザがひと切れしか食べられなかったぐらいだった。

17時ごろから散歩に行って、19時40分にピザを受け取ってきてくれるよう頼むまで帰ってこなかった。
少年時代を過ごしたなつかしい隣駅の方にでも足を伸ばしているんだろうか。
「熱々を食べたいから頼んである19時40分より少し早めに行って、お店で待って受け取ってきてね」と頼んだら「りょーかい!」と元気な返事が返ってきたのに、45分ごろに「で、ドミノだっけ、ピザーラだっけ?」と問い合わせしてくるぐらいのんびりだったが。

「さっき食べたばかりだよ」と言って晩ごはんのピザはあんまり食べなかった。
そのかわり夜中にビーフシチューの残りとピザ2切れを食べていた。
その夜型食習慣をあらためないと、そろそろ新陳代謝が下がる年齢だぞ。腹が出るぞ。
一緒に「アメリカサブカルチャー史 分断の2010年代」を観た。
これでアメリカ版は全部観たことになる。
次に来たら「フランスサブカルチャー史 ‘60年代 ヌーベルヴァーグ」を観よう。
それでこのシリーズは全部終わりだ。


今日の手塚治虫マンガは「きりひと讃歌」全4巻。
これも全集のみでオリジナル版は処分してしまった。本当に本当に惜しい。
謎の局地的風土病と言われた「モンモウ病」の原因を突き止めようとする医師、小山内桐人は病院内にはびこる陰謀によって、自らもモンモウ病患者にされてしまう。
犬のような風貌、手足の変形によって人間とは思われない姿になるこの病を逃亡生活の中でも研究し、解明しようと試みるが、どこへ行っても偏見の目で見られ、活動は上手くいかない。
流れ芸人の麗華と知り合い、その死によって、またモンモウ病にかかっても神を捨てないシスターのゆるぎない信仰によって、桐人は救われていく。
最後にはモンモウ病が特殊な鉱物の摂取によって起こることを突き止め、病に勝利する。
しかし彼の姿はもう元には戻らない。
その十字架を背負って、医師・桐人はどこへ行くのか。

22年11月29日

息子は朝10時ごろにピザの残りを温めて食べて出かけた。
「今度会う時は既婚者かもね」と言ったら嬉しそうに「うん!」とうなずいていた。
お正月にはカノジョと夫婦として泊まりに来てくれるかもしれない。

乳腺外来の予約を取ってあったので、出かける。
受付で必要書類を書き、扉の向こうの喫茶店のような待合室へ。
コーヒーやカフェラテが無料で飲め、診察室や検査室に持ち込んでもいいらしい。
正面の大画面ではチャップリンの無声映画(たぶん「キッド」)を流していた。
とても趣味のいい待合室で、予約を絞っているのだろう、女性が2、3人待っているだけだった。
せいうちくんは心配して「一緒に行こうか」と言ってくれたけど、断っておいてよかった。
男性が入れる雰囲気ではない。

まず診察に呼ばれ、若い男性の医師に会う。
健康診断の結果を渡し、心臓の方のクリニックからもこちらを推薦された、と言うと、
「じゃあ紹介状を書いてもらったんですか?」と聞かれたので、
「いえ、健診の結果があればいいだろうと言っていました。ワーファリンをのんでいるので針を刺す検査の時だけ気をつけてほしいそうです」と伝えた。
「気をつけるだけですか」と、あの人らしいなぁ、といった顔でくすりと笑っていたのは、地域の医者同士として江口のりこ似のドクターをよく知っているのだろう。
確かにあの女性医師には大雑把なとこがある。
そーゆーとこも大好きなんだが。

軽く話をしたあと、また待合室に戻り検査を待つ。
すぐに呼ばれてマンモグラフィーだ。
これは健康診断でも毎年やっている、裸になって乳房をプラスチックの板で挟んで「のしもち」みたいに平べったくしてレントゲンのようなものを撮る検査だ。
左右、タテヨコ合わせて4回やる。
長老が「うちのカミさんは貧乳だったから、痛かったとぎゃあぎゃあ言っていた」と回想していたが、私は太ってるせいで肉が余っており、全然痛いと思ったことがない。
ひたすら「平べったくなるもんだなぁ」と感心するばかり。

また待合室に戻って、次に呼ばれた時は超音波検査。
上半身裸で仰向けに寝たところに、湯せんにでもかけているのか温かいジェルを乳房全体に塗り、小さな超音波スキャナで撫でていく。
今回何かあると言われたのは左側だったが、両方ともやってくれた。
スキャンが終わると、寸評が聞ける。
「悪いものじゃありませんね。ぶっちゃけ、ただの水の嚢です。これは身体のあちこちにできたり消えたりします。一応次回マンモグラフィーの結果をお伝えしますが、まったく心配いらないでしょう」だって。
入院とか手術とかの話には全然ならないらしい。さすがにほっとした。

家の近所の大病院にもよく紹介しているし、「乳がんってのはどこの病院でもそう変わったことはしないんですよ。特にがんセンターに行かなきゃいけない、ってことはないです」と言ってくれるので、この先も乳がんに対しては備えができたと安心した。
早期発見、早期治療を心掛けよう。
毎年健診は受けているし、黄色信号が出たらこうして専門クリニックに来ていれば大丈夫だろう。

服を着終わるともう待合室は通り抜けて最初に行った受付で予約を取って帰っていいそうだ。
金曜の午後に空いている時間があったので入れてもらう。
これでZOOM飲み会のメンバーにもいい報告ができそうだ。
その日のうちにメッセンジャーグループでしちゃったけどね。
長老は「よかったです。でも将来ずっと水の嚢だと保証されたわけではないので安心しきらないように」と言ってきた。
他のメンバーも「まずはよかった」とメッセージをくれた。

私としてはあの素敵な待合室にとりあえずあと1回しか行けないのが残念なぐらいだ。
次に行ったらカフェラテ2杯飲んじゃおう。(こういうのを貧乏性と言う)
せいうちくんもたいそう安心していた。


今日の手塚マンガは短編集「空気の底」。大都社から出ている。
実は「鳥人大系」も「きりひと讃歌」も大元は大都社なんだ。
いい本をたくさん作る出版社だった。今はどうなっているのかよくわからないが。
「空気の底」はSFっぽい救いのない話が多い。
そのへんが若い自分の心を揺さぶったのかもしれない。
手塚治虫のダークな部分と生きる希望をやや残酷なシチュエーションで描いたものが多い。
少年少女向けの正義を手放した手塚治虫の手綱を取れる者は誰もいない、って雰囲気だ。
中でも「処刑は3時に終わった」が好きだなぁ。
SF好きはみんな好きなのではないだろうか。

22年11月30日

木尾士目の「げんしけん」第一部二部合わせて21巻の大部を読み返して非常に切ない気持ち。
自分たちの学生時代を思い出すし、こんなふうにいつも一緒にいるくらぶの仲間がいたなぁ、今もつきあえててよかったなぁ、と思う。
社会人になってもサークルに顔を出すマダラメ先輩って、男性版の私じゃん。
と同時にコスプレやBLが大好物な女子部員たちの清々しさに胸を打たれる。
あんなふうに心の底から腐ってみたい。

「腐女子」に憧れてどうしようもないのだ。
「オタクは、なろうとするもんじゃなくてなっちゃうものなんだ」とマダラメ先輩が言う通り、素養のない人間はどう頑張ってもオタクになれない。
せいうちくんには「キミぐらいマンガ読んでたらオタクでしょ」とあっさり言われるが、まわりに超弩級のオタクがうようよいるせいか、この程度ではまだまだ、って思えるんだ。
情熱と記憶力が足りなさすぎる。
塩と胡椒の瓶が卓上にあるだけで「どっちが攻めでどっちが受けか」と妄想できるぐらいに腐りたい。
楽しそうなんだもん。

最近、中村明日美子にハマっているが、あれはかなり綺麗な作品だからだろう。
ガチムチ系とか老け専とか、そこまでディープにはなれない。
人混みだと思うとアルフィーのコンサートすら行きたくないのに、今さらコミケに行ける気もしない。
「沼」と呼ばれる「好きで好きで四六時中そのことばかり考えてしまう」って状態になりたいよ。
そして女同士でキャッキャウフフと「攻め×受け」を考え、逆カプだと言っては怒り、総受けだと言っては喜ぶんだ。ああいいなぁ。

せめて親しい女友達に中村明日美子の「同級生」シリーズを貸してみる。
見事にハマってくれたらしく、いい反応が返ってきた。
これはピュアなお話なので、今度もうちょっと闇の深い中村明日美子で試してみようとダークな計略を練っている。
こういうのが「布教」ってもんかしら。


今日の手塚マンガは知らない人はいないだろう「バンパイヤ」全3巻。
連続テレビドラマで初めて実写とアニメーションを合成させたことで評判。
トッペイ少年が今では押しも押されもせぬ「相棒」の右京さんであるのも隔世の感がある。
これ読むと、手塚治虫は手のつけようのない「ケモナー」なのが丸わかり。
どう考えても人間の女よりも獣女の方が色っぽいんだもん。
しかし「バンパイヤ」には文句をつけたい。
真久部禄郎が死んでめでたしめでたしで終わったと思ったのに、第3巻が出てロックまだ生きてるじゃないか。
おまけに「ウェコ」というバンパイヤの親戚が出てくる。
出てくるまではいいのよ。描き切ってほしかった。
途中で止まった手塚マンガは多いが、これが一番残念。
ロックがウェコを手に入れてどうするつもりだったのか。
手塚治虫が墓場まで持ってっちゃったんだろうか。
それともマコちゃんが隠しているんだろうか。
私にとっては「火の鳥」の完成版より気になるマンガだ。

22年12月1日

早いものでもう12月。師走だ。
今年もあと1カ月しかないのか。
そろそろお正月のことや年賀状のことを考えねばならない。
顔がゆるむのは8連休を思う時。
でも旅行に行くわけにもいかず、ひたすらテレビ見て終わるんだろうなぁ。

せいうちくんの背広ズボンのお尻が大破したらしい。
要するにかがんだ拍子かなんかにビリっと裂けたんだろう。
本人は「歩いていたら『お尻が破れてますよ』って教えてもらった」と言っていた。
ズボンを履きつぶすほど長いこと着ていたのか!
公道ではなく社内だったのは幸いなのかより不幸なのか。

どうしようもないから会社の近くで新しい上下を買ったそうだ。
わりとリーズナブルなお店らしいが、それでも諭吉が10枚飛んで行った、と深謝してきた。
背広はサラリーマンの戦闘服だからな、破れることもあるよ。
最近太ってきたのも無関係ではあるまい。

帰ってきて見せるズボンは、完全に裂けた繊維がびろびろ~と広がっていた。
これじゃトランクスの柄まで見えたろう。
新しい背広上下はいい品物そうだった。
太ったんだし、この辺で新しい背広を少し買っちゃあどうだい?
本人、テレワークが多くなってから背広の必要性をあまり感じないらしい。
前は平日に毎日着てた、むしろ普段着だったからね。
また「特別な服」に昇格してしまったのかもしれない。


今日の手塚マンガは歴史モノ「陽だまりの樹」文庫版全8巻。
歴史には本当に疎いので、せいうちくんの解釈つきでなんとか読んでいる。
徳川幕府が腐りきっていつ倒れるとも知れない大木であるというテーマで、若き侍、伊武谷万二郎の成長を描く。
手塚治虫の祖先とも言われる蘭方医、手塚良庵と美女のおせき殿を争いながら、黒船到来の時代を迎え歩兵隊の長として農民たちを訓練する。
一方手塚良庵も異国船を脅威と感じ、歩兵屯所隊付医師になる決意をした。
戦が始まり、万二郎戦死の方が伝えられるが、最後まで一緒にいた部下によると彼は確かに生きてその場を逃れたのだった。
徳川という大木が中から腐っていても新たな若芽が伸びていく未来を感じさせる、夢と希望、人情と気宇壮大さが混ざった歴史ロマン。

22年12月2日

急に日渡早紀の「ぼくの地球を守って」を読み返したくなる。
昔読んだ時はなんかウザイ話だと思ったんだが、今はなかなか面白く読める。
そうするとコンプリート癖が顔を出し、続編の「ぼく地球(タマ)次世代編 ボクを包む月の光」全15巻と「ぼく地球(タマ)次世代編Ⅱ ぼくは地球と歌う」既刊7巻セットをAmazonでゲット。
続きも面白いじゃないか!
ある種のスピンオフというか、かつて月基地にいた宇宙人たちが地球の高校生たちに転生した「ぼくタマ」を踏まえてみんな大人になっている。
Amazonのレビューでは「作者による同人誌」と思う人もいるようだ。
二次創作やスピンオフが好きな私が面白いと思うんだから、きっとそうなんだろうな。

最近マンガをスキャンする時、かなり高画質で取るようになった。
1冊およそ300メガ。
50メガぐらいで取ってた初期の頃、スキャナの使い方を覚えて線を濃くする方法を知ったり精度を上げて100ぐらいで取れるようになった頃に続いて、今がある。
画質がいいと絵がタブレットから浮き上がるみたいな見やすさがあるから、できれば高画質で取り続けたいな。
せいうちくんに頼んで少なくともクラウドサービスの容量を上げてもらおうかな…

午後はマンモグラフィーの結果を聞きに乳腺クリニックへ行く。
水嚢と脂肪の小さな塊があるけど、全然心配いらないものだって。あっさり終わった。
「今後も健康診断で異常が出たらこちらに伺ってよろしいですか?」と聞くと、
「検診ならこちらでも受けられますよ。年に1度、とかいらしてる方は多いです」
要検査の結果がないと保険診療にならないのかと思っていたが、年に1回の検診であれば保険が効くのだそうだ。
「ということは、健康診断のメニューから乳房検診を外して、こちらでマンモグラフィーやエコーを受ければいいってことですか?」
「はい、二度手間にならずにすみますし、保険診療内です」
そうか、じゃあ来年からそうしよう。
毎年ここでカフェラテが飲める。
今日はチャップリンの「キッド」の続きを少し観られた。
年に1度、ちょっとずつ観進めることになるかも。

牛乳とタバスコ買って帰って、もうすることないから昼寝でもしよう。
今夜はせいうちくんが接待で遅いから、昨日のピザ半分残してあるのをオーブントースターであっためて食べる。
毎日ピザでも、ドーナッツやめたせいか体重も血圧も特に大きく変わらない。
問題は食費だけだ。
常に何かが異常に流行り続けているからなぁ、我が家は。


今日の手塚マンガはこれを抜いては語れない「鉄腕アトム」カッパコミックス版全32巻、朝日ソノラマ版だと全21巻+1、全集版だと全18巻+アトム今昔物語全3巻。
カッパコミックスは5歳ぐらいの時から父親が毎月買ってきてくれた。
SFマガジンと言い、かなり進歩的な父親で、私の青春期に大きな影響を与えていると思う。
見ての通りもうぼろぼろで、中野の「まんだらけ」に持って行っても1冊50円ぐらいにしかならなかったので、仕方なく自炊した。
でもデータ化しておいてよかった。
10年ぐらい前にこれをやっておかなかったら、今頃は端の方からホコリになって崩れていっていただろう。
朝日ソノラマ版は元々せいうちくんが持っていたもので、やはり全集400巻に入っているからという理由でいったんは処分したんだが、あとでどうしても欲しくなり買い直したという究極の無駄。
今では「鉄腕アトム」と言うと浦沢直樹の「PLUTO」の方が名作なのではないかと思ってしまうぐらいだが、やはり手塚治虫の「史上最大のロボット」という下敷きがあってのことだろう。
嗚呼、それにしても「エプシロンの手」…

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