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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年1月27日~2月4日)

引っ越し前に遊んでいて遅れた分を取り返しての更新です。
眼の廻るような1週間でした。
思ったより早く片付け終わりましたが、9日に倉庫に預けてあった分が来て、それを片づけ終わって初めて引っ越しの完成です。何事もなく終わりますように。

22年1月27日

引っ越しを明日に控えても、「カリ城生演奏上映会」には行ってしまうものなのだ。
もうひと組、やはりカリ城好きのT夫妻とご一緒する。
あとはうらやましがっていた息子と、そしてカノジョも誘った。
我々プラザホテルに泊まるので、まあルームサービスでもとって軽く感想会しますか、とT夫妻と相談し、事前にヨドバシの下の酒屋でワイン類を仕入れていく。

朝のうちにすっかり引っ越しの準備は済んで、あとは今晩の番組を録画したあとのビデオデッキを私が明日の朝手早く外して梱包するぐらいしかやることは残ってない。
昼に家を出て区役所に行き、転出届を出して転出証明書をもらう。
これで、この書類をどこかに出して落ち着くまでは我々「どこの人でもない」のだ。
ワクチン関係もややこしくなっており、めんどくさい時期の引っ越しではある。
あっちに行ったらまず転入届を出さねば。

しかし、今日はとにかく「流浪の人」として上映会を楽しみ、生演奏に酔い、ホテルに泊まる我々。
1年間の旅のつもりで始めた仮住まいの千駄木生活なので、いっそそのくらいやると本当に港に入る前の時間を過ごしているようだ。

ただ、その「港」か「船室」かよくわからない場所で、とりあえずシャワーを浴びておこうと思った私は、先日マンガで読んだばかりの「真上の円盤からの垂直落下シャワー」をそれとは知らず頭から浴びた。
髪を洗いたくないからシャワーだけで済ますつもりだったのに!
ハンディシャワー以外にもこんな腹が立つような、その気になれば滝行のようで簡単に気持ちよくなれるアイテムができてるとは知らなかった。
なまじちょっとだけマンガで読んでいたのでよけいに自分が間抜けに見えたのはもちろんだが。

「ベランダもあるしけっこう広くて、人が集まっても大丈夫そうだね!」とせいうちくんと話しながら、買い物の時点からT夫妻と合流。
夫人のMさんとは実に10年以上の久しぶりだ。
彼女がプログラムの仕事をしていたため2千年問題の時に忘年会を早々に抜けてた覚えだけはあるが、まさかあれから会ってないのだろうか。
いや、下のお嬢さんがお母さんの生態を外で発表してしまう場面にも立ち合ってて(4、5歳ぐらいって、やらかすんだよねー)、それが今高校生になってるんから、15年ぐらい前、つまり2007年か8年のあたりで会ってそう。
昔一緒に美輪明宏を見に行ったことなど思い出して、きゃいきゃい騒いでしまった。
娘さんが予備校帰りに立ち寄るとのことで、コンサートへの参加は無理だがそのあとの懇親会には来てくれるみたい。
生女子高生だ。ドキドキ。
どんなマンガ読んでるのか取材しなくっちゃ。

取っておいたチケットを彼らに渡し、我々は息子たちと合流しに行く。
混雑したフォーラムで、やがて会えた。
チケットを渡し、2枚別々のタイミングで取ったせいで離れた席になってる点を謝ったら、カノジョは、
「そんなこと…こんなにしていただいて、ありがとうございます」とお礼を言ってくれた。
コンサート後の時間もつきあってくれるそうだ。
そこで息子たちとは別れて、Tさん夫妻と4人並びの席へ向かう。

上映会は素晴らしかった。
生オーケストラが入り、指揮者が入り、大野雄二御年取って80歳がピアノの前に座る。
オープニングから導入部まで、一部のズレもなく映像と生演奏が一致して場面を盛り上げる。
やはり生の音の迫力はスゴイ。
劇中曲、BGMはもちろんすべて生だし、効果音までところどころシンセサイザーなどで出していた。
第一部のカリ城上映会が終わった時点で大野雄二の大ファン、ものすごいルパン好きとしてのMさんはスタンディングオベーションに入っていた。
会場内で我々より前では2人しかいなかったスタンディングオベーションだが(後ろは見てないので、知らない)、Mさんがそれほど楽しんでくれたこと、感激を形にして称賛してくれたことは見ていても清々しく、楽しかった。

第二部は大野雄二の映画やドラマの曲をいろいろ(特に角川が力を入れて)生演奏で紹介するコーナーで、松崎しげるが出てきてルパン三世のテーマを歌った。
いきなり1オクターブ上がる難しい曲なのだそうだ。
そんなこと考えないでみんなでアニソンカラオケマラソンしてて、何だか申し訳なかったな。
「大追跡」とか「犬神家の一族」とか全体に古いので、「息子たちはどうだろう、第一部だけで帰った方が幸せだったかな?」とか思っていたのだが、終わってから会った息子は「スペースコブラの歌」をやったと言って上機嫌で、
「でも、オレはやっぱりレディなんですよね」とつぶやくのにMさんが猛烈な勢いで、
「そうよね、やっぱりあそこはレディやってほしいわよね!」と賛同してたよ。
濃ゆい人たちの融合を見てしまった。
何で息子はこんなに古いアニメオタクなんだ?
まあみんなガンダム見てるわけだから、おんなじなのか、今の若い人たちってのは。

タクシー拾ってプラザホテルに戻り、ロビーで待ってたTくんの娘さんYちゃんと会う。
こんなに成長してるとは思わなかった。
まさしく「大きくなりやがって…」である。
部屋での飲み会ではジンジャーエールやアップルジュースを飲んでいた。

「なんか食べましょうか。メニューはテレビで見られるようですよ」とさすが妙なことにくわしい謎の男、Tくん。
メニューの値段を見て息子が小さく「うわー」とつぶやくのが聞こえた。
さっきタクシー拾った時も「タクシー?!」と目を丸くしてたしね。
若い人をこういうことで脅かすのは気の毒かもしれないが、まあちょっと大人の世界を見ていきなさいよ。
大人だって無理して一生に3回ぐらいしかルームサービスなんて取らないもんなんだよ。
少なくとも母さんは生涯2回目だ。

息子がタバコ吸いたくなったらしいが、ホテルはもう全面禁煙だよ。バルコニーもダメだよ。
そもそもタバコを仕事着に入れておいて来てしまったそうで、
「お母さん、1本ちょうだい。申し訳ない!」と拝まれた。
私は新居に移ったら禁煙する、そのために明日の朝最後のタバコを仮住まいで吸おうと2本残してあったんだが、ここで息子と使っちゃうのもいいだろう。
フロントで聞いて案内された「喫煙コーナー」はものすごく遠くてものすごく奥で、ガラス扉の中には椅子すらない。バーベキュー炉みたいな灰皿が3つほどあるだけ。

「これ、母さんの明日の最後のタバコになるはずだったんだからね。それにこれほど嫌煙権が発達して、『喫煙される方は三べん回ってワンと言ってから店員の靴を舐めてお入りください』って扱いなんだからさぁ、やめることも考えたら?お金もかかるじゃん。人の趣味だからうるさくは言わないけど、不利益な面が多すぎて気の毒だ。母さんは明日から清らかな非喫煙者になるよー」
「そんなすぐやめられるもんなの?」
「禁煙には自信ある!」
実際、これまで禁煙で困ったことはないからなぁ。
やめようと思ったらそれだけの話だ。

さて、息子と一緒にエレベーターで部屋に戻ろうとしたが、部屋のカードキーを忘れてきてしまった。
部屋番号忘れたとかそういう話じゃない。
カードキーをエレベーターのセンサーに当てないと目的のフロアに行きつくことができないセキュリティシステムなんだ。
息子と2人、ちょっと焦ってせいうちくんや息子カノジョを電話で呼ぼうとするが、気がつかないのか誰も出ない。

しょうがないからフロントから部屋に電話かけるよう頼んで、と息子に言ってエレベーターわきで休んでいたら、息子がフロントマン連れてやってきた。
「ホテルの人が、やってくれるって」
いやいやまったくお恥ずかしい。

無事に生還しても、みんな、「何、帰れなくなっちゃったの?気づかなかった」的な扱いで、楽しそう。
ちょうどそこへ真っ白なクロスをかけたワゴンに皿やカトラリー、水、氷、ドームをかぶせた料理の皿を乗せて、ウェイターさん登場。
安めだからピッツァにしておいたが、息子はまだビビってた。
いやあ、私も東京に来たばっかりの頃、初めて渋谷のビストロってとこに連れていかれた時は、
「これ、この人がおごってくれるのかな。そんなわけないな」と自力で払える一番安い料理を頼み、実際自己負担だったことがあるので、青春期の金銭感覚の揺らぎは思い出すと楽しいよ。

T夫妻は息子たちにとてもフレンドリーで(何しろお腹の中にいる時から見てるわけで)、
「で、2人はどういうなれそめなの?」とか話題を振ってくれた。
ひと言でいえば硬めのナンパな気がするんだが、きっかけはどうあれ今が良ければすべて良し。

電車組の2人はみんなにお礼を言って「とても楽しかったです」と言いながら先に帰り、T一家は車を呼んで帰った。
いやあ、くたびれたねぇ。
でも楽しい、翌日にやる気の出る快い疲れだったよ。

文書名 _[八十八良] 不死の猟犬 第01巻

今日のマンガは八十八良(やそはちりょう)の「不死(しなず)の稜線」全3巻と「不死の猟犬」全7巻の「不死(しなず)」シリーズ。
人々が寿命以外で死ぬことがなく、体調が悪かったら毒をのんで死んでしまえばすぐに全快、体調ばっちりで甦ることのできる「復活」が普通の世界。
しかし「ベクター」と呼ばれる「復活できない」媒介者からRDS(復活不全症)を伝染させられると、死んだら死にっぱなし。もう復活はしない。
感染源は「ベクターを愛してしまうこと」。
ベクターの組織と警察側の追いつ追われつの激しい銃撃戦が見どころ。
そして意外なラスト。
お話として、非常に面白い。絵も上手い。おススメ。

22年1月28日

引っ越し当日。
プラザホテルで目を覚まし、時間がないので昨日買っておいたおにぎりを食べ、せいうちくんは不動産会社事務所へ新居のカギを受け取りに、私は千駄木に戻って引っ越し屋さんを待ち、というふうに二手に分かれて行動。

幸い、引っ越し屋さんが来る前にせいうちくんが戻ってきてくれて、やれやれ、これで現場指揮権を渡せるぞ。
と言っても向こうは名にしおう0123だから、引っ越しする本人たちは邪魔にならないところに座っていればいい。
時々、「これは向こうでどうするんですか?」とか聞かれるだけ。
ただ、とても狭い家での荷物搬出なので我々にとっての安住の地というものはなく、様子を見て頻繁にいる場所を変え、邪魔にならないようにしていた。

18年前、初めて買ったマンションに引っ越す時は「どこにこんなに荷物があったんだろう。69平米3LDKの社宅恐るべし」と思ったものだが、今回は荷物の量も非常にたかが知れていた。
終わりはすぐに見えてきたよ。
もっとも向こうに越してから別の日に「倉庫に預けてある荷物」がやってくるから、その日はちょっとした戦争かもしれない。

この1年間、まったくなしで過ごせたものばかりなわけで、せいうちくんはもうそのまま全部廃棄してしまいたいらしい。
よくよく物を捨てるのが好きな男だ。
そう簡単には捨てさせないからね!
捨てられない女には捨てられない女の意地がある。

で、荷物を運び出し切って、忘れ物がないか確認して、1年間お世話になった1LDKのマンションにさようなら。
たった1年の間にもいろんな思い出ができていた。
いつもの散歩道、スーパーへの買い出し、真ん前のローソンでタバコ買ったり、各種医者に通ったり、あちこちのお店の人と仲良くなったり。
人生は出会いと別れの繰り返しだね。

トラックの人たちを見送って、トランクや荷物を抱えてお茶の水に出て中央線。
この、西へ西へと向かう電車がとても好きだ。
前に住んでた街を通り越し、やがて「今度の街」に着く。

引っ越し屋さんとちょうど同じタイミングで着いたようで、さっそくマンション会社の係のおねーさんからカギの使い方などを教わる。
なるほど、ゴツいとは思ったが、いろんな機能があるわけね。

そしてさっきまでとは逆のプロセスで荷物を入れていく。
差配さんは新人の男の子が使えないのでやや頭が痛そうだった。
「上持つとね、液晶が歪んじゃうからテレビは下を持って。いいね?いくよ!あああ、そこ持っちゃダメだってば。下持って。両手で。その上の右手は放して!!!」と悲鳴が響き渡っていた。

エレベーターの混雑や駐車場の問題から引っ越しは1日に4、5組と決められており、我々は運よく最初の方に当たったってわけ。
しかも13時からってのは絶妙だったね。
それより早いと前日の夜からトラックに積み込んでおかなきゃいけないし、遅いと夜が地獄。
丁度いい時間でした。
息子の強運を分けてもらって臨んだくじ引きで、こういう時は本当に頼りになるなぁ、あの超ラッキーアイテムとしての息子は。

そして2時間半の間に終わらせなきゃいけないのに、どうしても時間がはみ出してしまい、他のフロアの人の時間を30分借りた格好になったらしい。
3時間かかった、というわけだ。

それでもやがて最後の段ボールが搬入され、これでおしまい、の瞬間が来た。
一基だけ持ってきたエアコンをつけてもらうはずが、建物の構造上複雑な配管になるそうで、無理に高い施工料を払ってつけてもらうより、このマンションを買った時にその一基以外のエアコンを全部オプションで買っているので、そこに新しいのを頼むのが一番手っ取り速いってことになった。

可哀そうに、せいうちくん、3日後からテレワークなのに、書斎には暖房が全然ない。
こんなことならやはり、仕切って作れる4畳半より書斎に床暖房付けるべきだったか。
息子たちが泊まりに来たとき快適なように、としか考えてなかった。
単純に在室時間を考えたら素直に書斎につけるべきだったわ。
まあいい、1年の4分の1ぐらいの話だ!

何より先にパジャマを出して、ベッドを作って寝られるようにする。
晩ごはんは駅前のパン屋さんで買ったくるみパンだけ。
でもこれ、おいしいんだよ。こっちに移ってくるの、楽しみにしてたんだ。
バームクーヘン屋さんのおねーさんとの別れの傷を、くるみパンが癒してくれる。

予定ではすぐに駅前で電動自転車を2台買い、2人で昔からお世話になってる人たちに「ただいまです!」を言っておみやげに「切ってない、長いままのバームクーヘン」をプレゼントして来ることになっていて、だからこそバームクーヘン屋さんに予約して2本頼んで焼いてもらったのを受け取ってきたのだ。

しかし、買いたい自転車が店に1台しかなかった。
しょうがないからせいうちくんの分だけ買って、私のはカタログ注文した。
そして、試しに乗ってみたところ、全然自転車に乗れなくなってた!
前輪がふらふらして、転びそうになる!
「薬のんでてふらつくからだよ。そのうち乗れるようになるよ」とせいうちくんが慰めてくれ、私と家に帰ったあと、夜の街に1人でバームクーヘン運搬人をしに行ってくれた。
更年期の時もめまいで自転車に乗れなくなったから、似たようなものかな?

ものすごくくたびれて、やがて帰ってきたせいうちくんとあっという間に眠りに落ちた。
こんなの久しぶりだ。

文書名 _[近藤ようこ] 五色の舟

今日は、最近仏教に凝っているとしか思えない近藤ようこの「五色の舟」。
若い頃は男女の間の不条理や情念のもつれを日常ベースで描いた作品が多かったが、年をとるとこうなるのか。
同じ系統で、不思議な異国を旅しながらどこか常に抹香臭い高丘親王にシンパシィが持てれば「高丘親王航海記」も面白い。

22年1月29日

まだ新居の機能も覚える間もなく生活が始まる。
せいうちくんは朝から千駄木の仮住まい宅引き渡しのために出かけてくれた。
私は家で家具の配送を待つ係だ。
幸い誰も来ないうちにせいうちくんが戻ってきてくれて心強い。
しかし、賃貸マンションで喫煙生活を送ると、
「あ、こりゃ吸いましたね」と一発でわかり、敷金を倍額払わされたそうだ。
すまん、喫煙だけで30万。

10時前にまずニトリが来る。
どうやらこのマンションへの一斉配送を行っているらしい。
食卓セットとテレビラックを頼んであったので、2人組のおにーさんに組み立てを頼む。
あっという間に組み立てて、風のように去って行った。
今日、このマンションだけで、どれほどの配送があるのだろう。

そういう我が家も、今、様々な通販の品物を選んでいる。
今日はニトリだったが、IKEAやAmazonも頼りにしてるんだ。
いろいろカートに入れ過ぎてわけがわかんなくなり、サイドテーブルを2回買ってしまったことは外聞が悪いからナイショにしよう。(送料こっち払いで返送した)

後は1日中2人して片づけにいそしんだ。
しかしほとんどの作業はせいうちくんがしてくれて、私はベッドで休んでいる方が多かった。
大した夫だ。

文書名 _[吾峠呼世晴] 鬼滅の刃 第10巻

今日のマンガは、あまりに流行ったので紹介というのも気が引けるが、独特のヘタな絵に耐えられず2、3巻で降参してしまった人も多い「鬼滅の刃」全23巻。
今テレビアニメでやっている「遊郭編」を面白く観ているところ。
マンガの絵が駄目だった人はアニメから入るというのもひとつの手だ。
アニメは絵の上手さがすさまじいから、それに慣れてから原作を読むといいかも。
絵がヘタとは言え、何度も読む価値のある、大切なものを訴えかけてくる作品。
これまでに途中でやめてしまった人を3人ほど励ましたが、「読み通してみてよかったです!」と言う方が多かった。
読み通したらそれだけの価値あるものは伝わってくると思う。

22年1月30日

1日中片づけ。
夕方にはスーパーに買い物に行って、晩ごはんは天ぷらうどん。

カリ城コンサートと、何よりホテルで1泊をはさんだおかげで、前の家と今度の家を全然比較しないで新鮮な目で見られる気がする。
くっきりとラインが引かれ、千駄木生活はその向こうにある。
思い出して懐かしむことはあっても、後ろ髪惹かれたり「あっちの方がこういう点はよかった」と思ったりしないですんでいる。
そういう意図でホテルを入れたわけではなく、単純に1年の旅の終わりの象徴としてお泊まりしたんだが、思わぬ効用があるものだ。

同じことが仮住まいにも言えて、なまじ元の家の近くで1年待ってたりしたら前の家への未練が募ったり寂しくなったりしそう。
「ほかの土地を選んでもよかったかな?」と思ったりとか。
でも、千駄木というまったく縁のない場所に1年間住んだおかげで、前とさして場所の変わらない新居がとても懐かしく輝いて見える。
やはり私たちはこの辺が好きなんだ、と納得がいく。

そして1年狭い1LDKですごしたおかげで、旧宅よりずっと狭いダウンサイジング用の新居も、少しも狭いとは思わずにすむ。
むしろ、「のびのびするねー。やっぱり広いのはいいねー」と話し合っている。

文書名 _[諫山創] 進撃の巨人 第34巻

今日のマンガは、これまた絵がヘタすぎて脱落者続出の名作、「進撃の巨人」全34巻。
「ちょっとあれは読めないなぁ」と言う人が多いんだが、ある秘密をささやくと「えっ!読んでみます!」と興奮する仕掛けになっている。
「巨人はね、実は人間なんです」
堂々たるネタバレだが、イマドキ知らない人もいないだろう。
これも、最初の方からは想像できない壮大で人類の尊厳に満ちた話なので、ぜひ読んでほしい。

22年1月31日

朝一番にくるみパンを6個買ってくる。
昼までにほとんど食べてしまったので、せいうちくんがくるみパンを買い足してきてくれた。
それでも足りなくて夕方ふらふらと駅前にさまよい出て、炒め物ができるようになったから焼きそば作ってくれると言う親切なせいうちくんの忘れ物、もやしを3袋買う
そしてくるみパン、実質夕方の購入は無理だと学んだ。

食べてばっかりいたわけじゃない。
とにかく心臓の治療先を確保しようと近所の循環器内科に出かけたのだ。
ところがやっぱり私は道に迷い、おまけにスマホも忘れてきていた。
ググることもせいうちくんにSOSを発することもできない。
うろうろしていたらコンビニのディリーがあったので、中に入って道を聞く。
どうやら場所をよく知ってるおねーさんらしく、てきぱきとわかりやすく説明してくれた。
それでもなお店を離れてしばらくしたら道に迷っていた、ってのはどういう才能だろうか。

しょうがないから通りがかりのおばさんを捕まえて「○○循環器内科ってご存じですか?」と聞いたら、なんと、
「あら、私もそこへ行くところよ。ワクチンなの。あなたもワクチン?」と意外な強い引き。
あいにく私は転居によって自治体の隙間に迷い込んだワクチンゴーストで、たった今は接種券があっても受けられない身の上なのだ。

話好きのおばさんのおかげで、これから行く循環器内科はお祖父さん、お父さん、娘さんと三代目で、娘さんはまだ引き継いで2、3年のお若さだとかいろいろ取材できていて助かった。

当面、まだこちらの市民ですらない「住民票 in my bag」な状態の私はあまり厚遇されなかった。
かかりつけ医になって、ワクチンも保証しましょう、とまでは言ってもらえなかった。
やはり早く転入届を出さなければ。

住民票を引き上げてしまった文京区から新居宛に「ワクチン接種が早くなりましたので、もう予約してもらっていいです」なんて手紙が転送されてきたりする。
この件に関する限り、私はけっこう不運だ。

ただ、若い三代目ドクターはワーファリン値はきちんと測ってくれて、標準を少し下回りすぎているのを発見、薬の増量をしてくれた。
うん、私もここは1.25mgがいいと思うよ。ちょっと低めと感じていたもん。
もう、そのうち「身体の感じ」でワーファリン値がわかるようになってしまいそうな気がする。

帰って昼寝して、夕方またくるみパンを求めて街に出たのは本当は、膝が痛すぎるので迷子の成果で見つけたすぐ近所の整形外科医へ行って注射してもらおうと思ったんだ。
でも、確かリハビリってかかり始めた日から日割りなしの半年なので、今日みたいな月末に行くと全体としてはリハビリが短くなっちゃってもったいないと前にPTさんに聞いたのを思い出したので、今日のところはやめておこう。
保険証も文京区だし、書類をきちんとしてから通うことにしよう。

こうやって歩き回っている間にだんだんこの土地に慣れていく。駅から徒歩10分も慣れて気にならなくなってきた。
いい調子だ。
家の中もとりあえずいったん片づき、2月9日の倉庫からの搬入品を待つばかり。
と言うか、これが終わらないと引っ越しは全然終わらないのでしょうがない。

ぴんとこな

今日のマンガは嶋木あこの「ぴんとこな」。
最初は「ぴんとこない」を途中で略した?とか首をかしげたが、これは歌舞伎用語で姿の粋なカッコいい若者のこと。
代々歌舞伎の家の血を継ぐ少年と、何の後ろ盾もないところから歌舞伎が好きという気持ちと才能だけを支えに階梯を登っていこうとする少年の、技量の競い合いの中から生まれる友情の物語。
歌舞伎に縁のない人でも楽しめるようになっているので、この際、ぜひ。

22年2月1日

引っ越すと(引っ越さなくても)必ず生活についてくる諸届等の事務行為。
今日は1日それに使った。
転入届に始まり、ワクチンの接種届けが最大の難所になったりする。
行政のあほー、なんで急に方針変えるんだー!
従来通り8カ月でいいなら越してきてから落ち着いて待ったし、半年後から打ってくれるんならもうちょっと千駄木にいてでも予約取って打ってたわい。
こっちが引っ越すタイミングを見測られたかのようにワクチンスケジュールの谷間にハマり、文京区の接種券は持ってるけど使えない、今度のとこの接種券は送ってくれるけど予約開始に間に合わないという地獄を見ている。

「駐車禁止除外指定証」というマイナーな書類を持ってき忘れたので住所変更できないとかいくつかの穴はあったけど、朝の8時半に家を出て14時半に帰ってくるまでたっぷり山ほど新住所を書いた。
旧住所もおんなじぐらい書いたかもしれない。

大好きなパン屋さんのくるみロールは1日1回朝しか焼かないと判明した。
昼頃行ってみて、なかったからって夕方もういっぺん「焼いたかも」と考えて見に行くのは愚の骨頂らしい。
泣きながら他店のくるみパンを買ってはみたが、全然美味しくないシロモノだった。
しょうがないから家に残ってる最後のくるみロールべよう。

昼には役所周りの合間に「くら寿司」という大きな看板を見つけ、入ってみた。
せいうちくんがいないとこういう冒険はできない。
なぜか初めての店ってのが異常に苦手なのだ。
そこでしか通用しないしきたりや、知らないと恥をかくような決まりごとがあって、そういう地雷をばしばし踏んでしまいそうで。
たとえば普通の回転寿司屋で黒いボタンを押して熱湯で手を洗ってしまうとか。

「くら寿司」はすごい!ほとんど人に会わずに食事ができる。
人数を入力すると席を案内する紙が出てきて、座ったらあとは好きな皿を取ればいい。
注文はタブレットで行い、たとえば「うに」をたのむと、しばらくしてタブレットに「もうすぐ『うに』がきます」と出て、始まりも終わりもわからない長い長い寿司のレールと並行して走ってる高速道路を「うに」がすべるようにやってきて、私たちの席でぴたりと止まる。

お勘定はタブレットを押すとバーコードのついた紙が出てきて、出口でそのバーコードを自動支払機で読み取ってもらって清算する。
あら、ホントに1回も人に会ってないわ。

空になったすし皿を入れるスリットがあって、片づけ促進のためだろうか、5枚入れるとゲームができてタブレット上で「当たり」が出れば何かもらえるのかな。
「はずれ」ばっかりだったからわかんないや。

高野ひと深の「私の少年」で、親にナイショで友達になったおねーさんに回転寿司に連れてってもらった少年が、のちに父親と同じ店に行った時にいろいろシステムを知っているのを不審に思われ、会っていたことがバレる。
おねーさんは未成年を勝手に連れまわした責任で転勤させられてしまう。
30歳の女性と12歳の少年。
18歳の年の差は恋になる可能性はないのだろうか…

文書名 _[高野ひと深] 私の少年 第01巻

というわけで、今日のマンガはこれにしよう。高野ひと深「私の少年」全9巻。
いわゆる「ショタコンもの」だが、そういう目で見るのもなんかなぁ…
好きになった相手と年が離れてるだけだから。
もちろん子供はいろんな意味で保護されなきゃいけないけど、孤独な少年にサッカーを教えるところから始まるこの関係が必ずしも「不適切」とは言えない気がするんだよね。でも実際に「不適切」なことをする輩も多いからなぁ。
ただ、78歳と60歳になった時、「18歳の差」は意味があるのだろうか。
そういう意味では2人の味方をしてくれるのはただ「時」なのかもしれない。

22年2月2日

せいうちくん、新居から初めての出社。
さて、通勤時間をどう思うか。

くるみパンは朝一番にお店に出て、そのあと焼き足しはしないんだと教えてもらった。
つまり朝ある分がだんだん売れて15時頃には売り切れてるわけで、ならば午前中に行こうじゃないか。
せいうちくんが朝出勤前に買っていくという手もあるが、7時半の開店より早く通過してしまう場合が多いうえ、会社員が1日くるみパンの袋をぶら下げているのもどうかと思う。
なので、私が出動。

今朝はせいうちくんが6時半に家を出てしまったので顔は見なかったが、8時には起きた。
朝の散歩を兼ねてパン屋さんに行ってみると、くるみパンがたくさん並んでいる。
喜んで6つ買う。
どこの街に行ってもお気に入りの食べ物ができてしまうが、ここではどうやらくるみパンらしい。

1日寝たり買い物計画を練ったり荷物を受け取ったりして過ごす。
日中起きてて家の用事をするなんて、すごい、私、今、主婦やってる!

夜は会議が長引いて20時頃電車に乗ったせいうちくんに到着の時間を見てもらって、その時間に駅の改札で待ってた。
私鉄沿線じゃないけど、気分は野口五郎。
とても喜んでもらえた。
「だんだんここが僕らの街になっていくね」としみじみするせいうちくん。
街角からの世界征服でも企んでいるのか?

「通勤時間が倍以上に延びたこと」については特に不満はないそうだ。
「その分本が読めるよ。でも、やっぱり驚くね。遠いもんだね」
ただ、旧宅のように最後バスに乗って近くまで帰ってくる必要がないので、それはすごく気が楽だそうだ。
「駅から遠いとも感じないな。ほどよい散歩って感じだよ。健康になれそう」
仮住まいの終わりとともにせいうちくんの通勤時間が伸びてしまうことが本当に申し訳なかったので、ほっとした。
「あいかわらず世界中の責任をしょっているね。Don‘t carry the world upon your shouldersだよ」と笑われた。

文書名 _[木村直巳] 大空浪漫 4巻

今日のマンガは木村直己の「青春浪漫」全4巻。
大正デモクラシーの中、上京してそれぞれの青春を精いっぱい生きる一高生3人のそれぞれの姿を瑞々しく描いている。
まろやかで躍動感のある線に好感が持てる。
古い作品だが現在も活躍中のマンガ家さんだ。
他の作品も読んでみてはいかがだろう。

22年2月3日

くるみパンを買いに行くついでにローソンで恵方巻を買う。
何を信じてるわけでもないけど、美味しいから好きなんだ。
なので平気で食べながらしゃべったり2つに切って食べたりする。ただのバチ当たり。

今日もせいうちくんは出勤だ。
遠くなってからいきなり出社が増えて気の毒だなぁ。
またお迎えに行ってあげようかな。
イヤホンで音楽聞いていれば大した距離じゃないし、私もこの「徒歩10分」に慣れなきゃいけないからね。

Amazonで買った飾り棚が組み立て前の板の状態で届いたので、嬉々として大工仕事に励む。
こういうの、大好きなんだ。
だから、昔、私が買った電動ドリルのセットをせいうちくんが相談もなく捨ててしまったことはいまだに根に持ってる。
料理好きの人の包丁を勝手に捨てるようなもんだぞ。殺意案件だぞ。

出来上がった棚を置くスペースがまだできていない。
テレビ台を右か左に動かせはいいのだが、左に動かすのはコンセントの位置上難しそう。
右にずらして部屋の隅に置くと、スペース的にはおさまるんだけどせっかくの「見せ本棚」がカーテンの影に入っちゃって見えにくくなる恐れあり。
うーん、悩む。
どっちみちテレビ台を動かすにはまず65インチのテレビを下ろさねばならず、そのあとデッキが3台入ったラックを移動させなければならないわけで、息子が遊びに来てくれた時にでもやらないと私の腰では無理があるだろう。
せいうちくんだって引っ越し中は腰痛を訴えていたからなぁ。

南向きの大きな窓越しの日差しが暖かくて、昼間は暖房がいらないほどだ。
そのかわり北側の部屋は昼日中から電気をつける必要があるうえ、非常に寒い。
面白いもんだなぁ。

節分なのはすっかり忘れて、でも恵方巻は買った。
流行りに乗ってるだけなんだが、とにかくおいしくて好きだ。
年に1回しか食べられないのも「やあやあ、今年も会えたね」って感じがする。
2人で食べるとつい会話しながらになってしまい、しきたりに反するので、アニメ「鬼滅の刃」を見ながら食べた。
テレビは真西に置いてあるので、ちょっと北の方も見るようにしながら、何とか恵方の「北北西」を守り、黙って食べた。
なんかいいことあるかな?

文書名 _[木原敏江] 摩利と真吾 3巻

今日のマンガは昨日に続いて「旧制高校浪漫」と言えばこれでしょう、の木原敏江「摩利と新吾」愛蔵版全5巻。
「ウエットでバンカラな」を意味する造語「ヴェッテンベルク・バンカランゲン」という言葉を少女たちの間に流行らせた。
主人公たち摩利や新吾のハンサム度や関係はもちろん、麗しの四季ビバルディ先輩や妖しい魅力の紫乃先輩を見れば、元祖BLと言ってもどこからも文句は出ないだろう。
大いなるかな友情、高らかなるかな浪漫!

22年2月4日

本来、この市では今日の解禁に先駆けて、基礎疾患のある65歳以下の人を対象に昨日から受付が始まっており、心臓病を抱える私は一般の65歳以下より1日早く申し込めるアドバンテージがあったのだが、引っ越して住民票を移したため、接種券の到着が遅れてしまい、昨日の夜着いた。
アドバンテージ、意味なし。

後々のことや後遺症の可能性を考えると、できればかかりつけ病院にお願いしたいところだが、正午からの受付がずっと話し中で、88回のお話し中を経てやっと出てくれた担当看護師の方によると最短で2月16日になるらしい。
せいうちくんがすでに集団接種に申し込んで2月6日をゲットしてくれているから、早い方がいいだろう。
いつ息子が遊びに来るかわからないから、備えは固めておきたい。

朝からいろんな病院に電話して、たいていのところがとても遅い接種になりそうだったので、この好機を利用しておこう。
昼過ぎにやっと集団接種の決心がつき、他はキャンセルしての2月6日待ちだ。
せいうちくんも職域接種でじきに打ってもらえるだろうから、とりあえずコロナワクチン3回目問題、我々の分は解決した。
娘と息子の接種が遅かったため、まだしばらく接種券が来ないのが悩みのタネかな。

初めてモデルナを打つので、副反応は大いに心配。
インフルエンザでも腕が腫れあがって紫色になったからなぁ。
まあ一度体験しておくか、という気分。
熱が出たらせいうちくんが責任もって看病してくれるそうだから。
堂々と病気になれるチャンスは大好きだ。
そう言うとせいうちくんはあきれたように、
「そもそも心臓病だし身体が弱いのに、そこをどう考えてるのかな」と首をかしげる。
私も不思議でならないよ。

文書名 _つる壱子「ゲヘナ(Gehenna)」

今日のマンガはかなり異色な小作品集、つる壱子の「ゲヘナーGehenna」。
最初に読んだのはレディースコミック雑誌だった。
いっとき興味があって月に10冊ほど読んでいたのだ。
安くてありきたりな話の中で、このマンガ家は目立っていた。
登場人物の冷たい瞳と異様な体験が印象的だった。
当時、まとまった作品集は1冊しか手に入らなかったが、今ではKindleで買うこともできるしKindle Unlimitedで読むことのできる作品集が7冊ある。
後味の悪さが好きだ、などと言うと悪趣味だが、一種悪魔的な魅力があって目が離せない。


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