妊娠中期

ある日仕事に行く最中。
胃の中身があがってくる感覚があった。

出勤ラッシュの満員電車のなか、ふらふらと目の前がゆらいで、吐き気で頭がいっぱいに。
(悪阻は収まったんじゃないのか…?)
そう思いつつ、ちょうど着いた駅で急いでトイレに向かう。

しばらく経ってだいぶ落ち着き、ベンチに腰かける。
仕事は派遣されている身だから、遅刻はしたくない。呼吸を整えるのに必死。
悪阻は一度終わったらそれで終了だと思っていたが、それは違った。
口の中が何か食べ物を欲してて、胃に物が入ってないとなんだか気持ち悪い。
いわゆる、【食べづわり】だった。

体調はすこぶる悪いが、なんとか職場について仕事をする。
仕事をしている間も、お菓子を食べたりガムを噛んだりして気を紛らわす。
幸い、派遣先の方々は理解してくれて食べ物を食べていても何も言わないでくれた。

満員電車のキツさは、妊娠したら倍以上きつい気がする。
常に来る吐き気、人が集まることでムシムシした車内、匂い、朝だからこそ苛々した空気。
マタニティーマークをみて席を譲ってくれる方もいるが、この人混みの中相手を立たせることに申し訳ない気持ちが勝ち、マークを隠すほどだった。

妊娠してから、気まずさがいつまでもついて回るなと思う。
元々人に気を遣う性格だった私は、より一層気にしてしまい妊娠していると分からないようなぶかぶかの服を毎日着るようになった。
今思えば、それは危ない事だと分かるが、当時の私は周りに気を遣いすぎてお腹の子への気遣いをある意味捨てていたのかもしれない。


コロナもあり、私が通っていたクリニックでは夫と同席等は禁止だった。
エコー写真は毎回もらえていたので、夫にもよく見せていたが、なんとなく想像が出来ない。
実際に動いているのを見るのと、写真だけだと感覚のずれがあるみたい。
ある日ネット予約をする際、メモ欄に夫に見せたいからスマホで動画を撮ることは可能かと記入した。
するとクリニックから電話があり、写真は禁止しているから夫と同席はどうかと言われた。
当時5類に移行するかどうかという話題の最中で緩和したらしく、同席できることになったらしい。

「もうちょっと早く知りたかったー!!」

その後一緒にクリニックにいき、実際にエコーを見て、動いていることに感動したらしい夫。
先生は、「性別わかるよ」とボソッと言い、伝えていいなら今言うけど…と言われ、OKし性別を発表してもらった。

なんとなく、男の子か女の子かどっち!!みたいなケーキをやりたいなぁと思っていたけど…笑

夫も私も、なんとなく性別は想像ついていたので、良かったね◎となった。

性別なんて正直どちらでも良くて、ただただ元気に生まれてきてほしいとだけ思っていた。


続く

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