軽い器が好きですか?_20180904

(この記事は旧「清水裕幸」公式ブログの2018年09月04日の記事です。)

昨今かつてなく軽い器がいい、軽いのがいいという声を頻繁に耳にします。

かつてこんなに重さについて人々がこだわったことはありませんでした。

むしろ昔はごつくて厚みのある民芸調の陶器が流行したものでした。

しかし、流れは軽いこと。

もはや流行です。

どうしてこれまでになくこれほど人々は軽さを求めるのでしょうか?

これは私の憶測ではありますが、恐らく以下の理由が考えられます。

一つは陶器のみならず電化製品や電子機器などは競って軽量化の一途をたどっています。

これはある意味時代の流れが一役買っているように思います。

それで人々はジャンルにかかわらず軽量、コンパクトこれを求めており、このことは商品価値を高めるものとなっています。

この流れが食器にも求めるようになってきたということは十分の根拠と言えるのではないでしょうか。

もう一つは高齢化です。

陶器を使用する年齢層が必然的に引き上げられ、かつての民芸陶器のユーザーも今では老齢となり、軽いものの方が扱いが楽であるとの意見です。

実際、若い人で軽さを求める人はほとんどいません。

若い世代はむしろデザイン性を重視する傾向にあります。

これはやはり年齢的な要素がかなり大きいと考えられます。

まして、若者より団塊の世代などが人口のかなりを占めることからすると逃げようのない事実です。

となるとビジネス的な視点からすると陶器も軽量化を図るというのは普通のこととなるでしょう。

ですから、最近では本当に軽いペラペラの器が出回っています。

しかも陶器でそのような作りなのです。

テーブルの上でカップが倒れるだけでパカと割れるのではと心配になるほどです。

そもそも陶器の良さは厚みがあり、どことなく温もりがある佇まい。

磁器は硬質ですので薄造りが可能で清潔感があるところです。

今はもろい土もので言わば磁器の作りをしてしまっている現状です。

時代は軽さが流行しても私がそれに迎合しない理由はそこにあります。

単に偏屈親父というわけではありません。

つまり陶器本来のぬくもりやその重厚感からくる安心感、またその保温性まで失わせるなら陶器である意味を問いたくなるのです。

なので重いと言われて結構。

でも重い分、保温性に優れています。

必要な厚みがありますからそう簡単には壊れません。

なので長く使っていただけると思います。

いつかその種の陶器と保温性のテストをしてみたいものです。

珈琲を一気飲みする人ならそれでもいいでしょうが、一口一口楽しむ方には保温性は重要な基本スペックではないでしょうか。

わたしはそう信じます。



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