我が家のささやかな性教育

月に一度、私はポンコツになる。そう生理だ。

貧血に加えて刺すような頭痛、たまに内臓を絞るような腹痛、起き上がれなくなるほどの全身倦怠感。そして生理開始前日、私のメンタルは荒れに荒れる。せまりくる限界。

リビングに子を置いて、私は寝室へ駆け込む。駆け込んで枕に顔を埋めて、ウワーッと泣く。(いまのところ怒鳴って子を泣かせたことはない。すごくがんばってるから誰かほめて……。)

心配した子どもたちが寝室にやってくる。1歳次男は私の頭をポンポンして顔を覗き込み「イッ!」とほほえみ、3歳長男は私の腰をさすりながら「大丈夫?おなかがいたいの?」と声をかけてくれる。優しい子たち。書きながら思い出して泣いちゃう。


我が家の2人兄弟は、生理(月経)を知っている。なぜかって?トイレで使用済み生理用ナプキンの処理をしている私を見ているからだ。

「異性がトイレしている姿を見せるって、それ子どもに対する性的虐待なんじゃないのー?!」と思った人、正直に手をあげて。お客さん、子育ては未経験か子育て経験半年以内の初心者ですね。大丈夫ですよ、どうして男の子にとって異性である母のトイレ姿を見せるのか、理由をちゃんと解説しますから。

トイレ全開の理由1 母の姿が見えないと泣く
後追いが激しい時期は、ちょっと親の姿が見えなくなるだけで子は全力で泣く。長男はそこまで後追いしなかったが、次男はすごかった。0歳のときの次男は肌が弱く、泣くと顔を掻きむしり血まみれになる。できるだけ次男を泣いたまま放置しないように気をつかった結果、家にいるのが私と子どもだけのときは常にトイレのドア全開、好きなだけ見なさい状態を保持するのが習慣となった。

トイレ全開の理由2 トイレトレーニングのお手本
子どもは時が来ればいきなりトイレで排泄できる生き物ではない。オムツ外れを目指す、2歳前後にはじめるトイレトレーニングの前段階として、おしっこウンチはトイレでするものだという認識を育てる必要がある。絵本などで教える手段もあるが、わかってもらうのにライブパフォーマンスに勝るものはない。

そういうことで、生理中も例外なく我が家のトイレのドアは全開だ。長男も次男も、さらりとトイレについてくる。(夫が在宅のときは閉めます。)


使用済み生理用ナプキン、特に量が多い日のビジュアルは強烈である。お股で何か動物をシメたのかな、というぐらい鮮血でヒタヒタになる。さすがに最初は子どもに使用済みナプキンを見られるのは抵抗があった。できるだけ見せないようにささっと処理していた。
しかし、子どもは好奇心のかたまり。生理中のある日、ちょっと見たい、見せて、と言って、ナプキンを処理しようとする私の手を制し、長男がパンツを覗き込んできた。

「うわー、いっぱい血。……いたい?」
ちょっとおなか痛い。
「どうして、血?ケガしたの?」
女の人は赤ちゃんを産む臓器があるの。そこからときどき血が出るの。
「そっかぁ。赤ちゃんのぞうきんがあるからかぁ。」

Eテレのスペシャル番組『バビブべボディ』のおかげで、長男は臓器を理解しているため話が早い。

↑スペシャル番組なのでたまにしか見られませんが。面白いですよ。

自宅のトイレでナチュラルに生理を知った子どもたちは、生理中の私にとても優しい。出血が多い日のお風呂場の床が殺人現場のようになってもドン引きせずに「はやく止まるといいね。」と言ってスムーズな入浴に協力してくれるし、体調が悪くてソファに横になっている私をいたわってくれる。

そのまま大きくなって、女の友人や同僚やパートナーに理解のある男になってくれたら、生理用ナプキンを見られた甲斐もあると母は思うのだ。

♡を押すと小動物が出ます。