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女医ワーママはなぜ働きづらいのか。

こんにちは。女医ワーママのあおです。

育休復帰してから、2ヶ月ちょっと経ちました。
最初は「子育てしながらフルタイムなんて本当にできるだろうか」と戦々恐々としていましたが、たくさんの人の手を借りながら、なんとか毎日をやり過ごしています。

出産前、私はずっと「女医ワーママは働きにくい」という印象を持っていました。

そのため、育休復帰するにあたり、私は「どうやったら自分が心地よく仕事できるのか」ということを必死に考えました。

いったい何が女医ワーママを「働きづらく」させているのか。そしてそれを解消するために何をしたのか、ということを書いていきたいと思います。



働きづらさの原因は『不確実さ』だった


私の職場には、何人もの先輩女医ワーママさんがいます。出産前、私には彼女たちがとても辛そうにしているように見えました。そして自分も同じように「辛い思いをしながら働く女医ワーママ」になるのだろうか、と不安に思っていました。

なぜ彼女たちが「働きづらそう」に見えたのか。そこには、いくつかの要因がありました。


①勤務時間が限られていて、定時に帰る必要がある。
→ 長時間の症例や、居残り仕事ができない。

②子供が理由で、仕事を急に休むことがある。
→ 絶対に休まれるとまずい症例を担当できない。
  重症度の高い症例や、専門性の高い症例が経験できない。

③休日勤務ができない。
→ 職場の同僚や上司の負担が増える。


これらをまとめると、女医ワーママは他の医師と違って『不確実性』の高い労働者である、ということがわかりました。

医療というのは、医療者の思うようにはいきません。
手術時間が予定より長くなることもありますし、緊急手術が入ることもあります。
ですが「予定とは違うので、もう仕事しません」とは言えません。
そこに患者さんがいるかぎり、どれだけイレギュラーな出来事が起こったとしても、誰かが仕事をする必要があります。

そして女医ワーママは、イレギュラーへの対応が弱い。

限られた勤務時間、いつ不在になるかわからない存在。
そんな状況では、突発的な出来事への対応がどうしても難しくなってしまいます。

この不確実性が、「仕事を満足にできない」「職場に十分に貢献できていない」という発想になり、さらには女医ワーママが働きづらい、と感じてしまう一因なのではないかと私は考えました。



『不確実さ』をいかに減らすか。


復帰するにあたり、私はこの不確実性を少しでも減らしたい、と考えました。
不確実性を取り除けば、もっと快適に働ける。「育児をしているから仕事が中途半端になってしまう」という後ろめたさを減らすことができる。そう思いました。

そして私は、次のような復帰プランを立てました。


①勤務時間が限られていて、定時に帰る必要がある。
→ 1週間に1日、夫がお迎えを担当する。
 
そうすればその日は症例が長引いても居残り仕事ができる。

②子供が理由で、仕事を急に休むことがある。
→ 1週間に1日、夫が保育園の呼び出し対応をする。
 
その日は呼び出しの不安を考えず、仕事に集中できる。
 重症症例や心臓麻酔、小児麻酔など、専門性の高い症例を担当できる。

③休日勤務ができない。
→ 1ヶ月に1日、
休日、夫に完全に仕事を休んでもらい、日直をする。
 他の勤務者の負担を減らすことができ、緊急症例も経験できる。


私は、夫を巻き込んで「確実に仕事ができる日」をつくることにしました。そうすることで、不確実性の高い勤務を少しでも「確実な」ものにする。その時間を最大限に利用して、より専門性の高い症例や緊急性の高い症例を経験し、職場にも貢献することができるのではないかと考えました。



たった一日でも、思い切り働けることの幸せ。


先日、私は復帰して初めて『日直』をしました。

日直というのは、休日の日中、病院内で時間外診療に当たることを言います。

この日は夫が休みを取り、息子を見てくれていました。そのため、私は何の憂いもなく、診療にあたることができました。とても有意義で、学びの多い時間だったと思います。

たった一日でしたが、日直をすることで「私はまだまだ仕事ができるし、これからもっと新しいことを学んでいける」と、自己肯定感や自己効力感を高めることができました。



誰かの協力があれば、もっと働きやすくなる。


私は今、週に何日かを仕事に専念することができます。これができるのは、夫が私の代わりに育児を担ってくれているからです。

女医ワーママは皆がフルタイム勤務をすべし、とは言いません。
今は子供との時間を過ごしたい。あるいは、子供とは関係なく、仕事をセーブしたい。そんな時期もあっていいと思いますし、それは個々人の自由です。

ですが、もっと働きたいけれど働けない、働きづらい、と感じているワーママさんがいたら、そのジレンマの中には「不確実さ」が潜んでいるのではないか、一度、探してみて欲しいと思います。


誰かのちょっとした協力で、女医ワーママはもっと働きやすくなる。


せっかく得た「仕事ができる日」を無駄にしないように、明日も全力で患者さんに向き合いたいと思います。





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