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清水裕貴著「海は地下室に眠る」

清水裕貴著「海は地下室に眠る」読了。

千葉県の稲毛あたりが舞台の小説…と知り、興味本位で手に取りましたが、とっても面白かったです。

稲毛海岸近くの古い洋館・伝兵衛邸の地下から、正体不明の絵画が発見された。ドレスを翻し踊る女を描いたその絵は、過去にこの地域で流行っていた“赤いドレスの女”の怪談を思い出させるという。

学芸員のひかりは、絵について調べようとしていたところに映像作家の黒砂からある資料を預かる。千葉一の花街として栄えた蓮池にまつわるインタビューを集めたその資料では、ひかりの祖母が”流転の王妃”として知られる嵯峨浩との戦前戦中期の交流について語っていた。

地下室の絵画と祖母の過去、そして“赤いドレスの女”の怪談。欠片をひとつずつ紐解くと、運命に翻弄された女たちの秘められた過去が明らかになる――。

Amazonの書籍紹介文より

フィクションですが、実在の人物や施設、「千葉日報」などが出てきます。

満州国皇帝の弟(愛新覚羅 溥傑あいしんかくら ふけつ)が戦前に稲毛にいたことがあるとは知りませんでした。

侯爵嵯峨実勝の長女で、昭和天皇の遠縁(父親同士が母系のまたいとこ、八親等)にあたる嵯峨浩との縁談が関東軍の主導でまとめられ、1937年(昭和12年)2月6日、二人の婚約内定が満洲国駐日大使館から発表[4]。同年4月3日に東京の軍人会館(現・九段会館)で結婚式が挙げられた。媒酌人は本庄繁陸軍大将、司祭は靖国神社宮司。当日は結婚を知らせる新聞の号外も配られた[5]

当時溥傑は日本の陸軍歩兵学校に在籍していたため、ふたりは千葉市稲毛に新居(愛新覚羅溥傑仮寓)を構えた後[6]、同年9月に溥傑が、10月には浩が満洲国の首都新京へ渡った。

Wikipediaより

2018年~2020年(コロナ初期!)を生きる主人公と一緒に、戦前の稲毛の人の暮らしを知ることができるストーリーが斬新でした。

「ただの住宅地」にも歴史がある。

自分の家族のルーツや住んでいる土地の歴史を調べてみたくなるような、素敵な小説でした。


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