読んだ本の話 その8

教養力 心を支え、背骨になる力(齋藤孝)

昔から教育関連の本を書いていたり脱力タイムズに出てる先生という印象だったが、他の人のおすすめ本でも度々この人の本の話が出てくるので、とりあえずで選んでみた本。

すばり印象に残った箇所がこちら。

私は教養において、「引用力」を重視しています。物語の中のいいせりふを引用して話せるのは、それが身に付いていることになるからです。とはいえ、『カラマーゾフの兄弟』のすべてを理解できる人は、なかなかいません。(中略)
全部を理解しなくてもいいのです。ほんの一部でも自分の血肉にするのが大事だという考え方で読書をすれば、「教養力とは、引用力だ」ともいえることがわかるはずです。
「教養とは引用できること」というのは、私が考案したのではなく、昔からある当たり前のことです。でも、いまは忘れ去られてしまっています。

この後に「昔からある当たり前のこと〜」について百人一首の本歌取りの技法が説明されるが、なるほど納得のいく事例の説明だった。

普段の生活を見返してみると、他人の発した言葉の本質(意図)を捉えていないがゆえに生じる意思の齟齬はかなり多くある。

なるべくそこをなだらかにやりたいところ。

これは対人のコミュニケーションだけではなく、文章理解を含めた「自分の外をあるものを自分のモノにする力」と考えると多くのことに応用できることになる。

せっかく本を読むのであれば、少しでも書き手の伝えたいことを留められるようにしていきたい。