読んだ本の話その9

読んだ本の感想を書いています。

今月も10冊くらい読んではいるのですが、なかなか書く方に力が回りません。

とはいえやる気が出てきた時はコツコツ書いていきたいところです。

以下本文です。


目的への抵抗(國分功一郎)

哲学者の教授が学生向けに行なった講和をまとめた本。

2つの講話のうち後編は少し高度で難しい内容だが、前編は高校生向けのわかりやすい内容。

特に哲学へのアレルギー感のある人にはちょうど良い一冊になるかも。

印象に残った節がこちら。

結果として充実感を得ていることと、充実感のために何かをすることとは、外側から見ていると区別ができないかもしれません。何事も性急に判断して良い悪いを決めつけてくる現在のSNSに支配された言論環境では、そのような区別は全く顧みられないでしょう。
しかし、この区別は大切です。現在の言論環境の圧力に負けて、その区別に対して見て見ぬ振りをするようなことがあってはならないと思います。

この節は講和の終盤に差し掛かった部分であり、その前段で行われている「消費」への懸念についての説明を抜きにして引用してしまうと、本質的な理解が十分でないものになってしまうのだが、それでも、ここでいう大切さが何かはなんとなく伝わってくるはず。

本中に出てくる、消費と浪費の区別や目的と手段の概念は、わかるようでわからないくらいの理解度のまま読み進めていたが、この節はその概念をうまく咀嚼できる説明だったと思う。

前編の講話の中で、考えることの大切さを筆者が強調しているが、その意味はおそらく、考えることを通じて自分の在り方を絶えず見つめ直すことにあると思う。考えたことは自分自身を支える支柱になると思う。

生きていると色々なものに目が向くけれど、その中で自分の拠り所になるものを少しでも自分に繋ぎ止めるようにしていきたい。



この本を読むきっかけになったのは他の方が書いたnoteでした。何事においても良いものは積極的に取り入れていく姿勢は続けていきたいです。