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生きるのをやめたくない

「おはよう」

の、時間ではないけれど言いたくなった深夜4:34。


ネクスト イン ファッション

土曜日の夜。仕事から帰宅後ご飯の支度をしていた。しばらくして同じシェアハウスの子が一人帰ってきてTVをつけた。その番組は「ネクスト イン ファッション」どうやらNetflix限定らしい。
ざっくり内容を聞くと、賞金25万ドルとブランド立ち上げをかけて戦うデザイナーによるリアルショー×コンペティションとのこと。
世界各国から名だたるデザイナーが参加し、テーマに合わせて2日間の制限時間内で服をデザイン、カット、縫製、仕上げ、直後にファッションショーを行う。審査員は優勝チームと最下位2チームを発表。2チームのメッセージをシェアしたのち、惜しくも1チーム敗退。この一連の2日間を繰り返して最後まで残った1名のデザイナーが賞金と栄光を手にする。

久しぶりに心が震えた。その世界に頭と心を支配されるのに時間は掛からなかった。デザイナー達はショー開始の1分前まで時間に追われ、全神経を集中させて最高の1着を創り上げる。時にはペアで協力し、力が合わさって最高の作品が創られることもあれば、打ち消し合う作品もある。審査員はプロの視点から様々なものを見抜く。テーマに合っているか、コンセプト・色・形・素材のバランス。チーム間でのズレさえすぐに見抜いてしまう。表現の世界では、それを隠すことはできないんだろう。苦しい世界。同時にその葛藤が非常に美しくて美しくて、TVの前から離れられない。本気の、追い込まれて駆け抜けた人間は、美しい。社会背景や育った環境、人との関わり合い。国も社会も政治も宗教も文化も言語も全て違う。その中で、同じ服作りに魅了された人たち。個々の歴史からなる確固たる意志と「洗練された美」にはただ目を奪われるばかりだった。


セクシャリティと愛情

作中で私が惹かれたのは、彼らのセクシャリティと愛情。感情の表現が爆発する、作業場や別室のインタビューではストレートな愛が飛び交う。手を繋ぐ、肩に頭を乗せる、腕を組む、ハグ、キス。それは、喜び、悲しみ、怒り、焦り、驚きによるもの。心から湧き出るそれらを抑える事なく、はっきりとした言葉で全身を使って表現していた。日本とは大きく異なる点だ。良い悪いではない。真っ直ぐな彼らの瞳に輝く光に惚れ惚れしてしまった。これが人間のあるべき姿なのだと。そして愛する人へのスキンシップを男女平等に表現している。これも日本とは大きく異なる。だが違和感がないのだ。むしろそれが普通なのだと観れば観るほど思い知らされる。
私はこれを求めてるのだろうか。


違和感

審査員やデザイナーにはLGBTの人がいる。それは至って普通だと認識している。そして私はその当事者であるのかと言われると、そうではないと思っているがかけ離れているわけではない気がしている。ふと先日、Twitterで目に止まったマイノリティー診断「anone」では、いわゆる一般的な結果だった。身体は女性、心も女性の心身が一致している「シスジェンダー」。この診断は恋愛指向もわかる。異性に恋をする「ヘテロロマンティック」。女性らしさや男性らしさに恋をする「ガイネ/アンドロセクシャル」。性的指向は、異性に性的な欲求を抱く「ヘテロセクシャル」。知性を愛する「サピオセクシャル」。…なるほど。過去の恋愛体験から、妥協できない点だと痛いほどわかる。笑 そして最後にもう一つ、驚いた。自分が表現したい性。それは男性でも女性でもないアイデンティティ「Xジェンダー」だった。


私は私だった。

「Xジェンダー」
このご時世、中性的な人は少なくない。だからこの結果が出ても割と驚かれないのかもしれない。
ただ私の中では昔からひっかかっていた。自分を表現できるのは服しかなかった思春期。みずきって可愛いよね。と言われると「可愛いだけじゃない。カッコいいところもあるんだ!」って反発して髪を短く切った。しばらくすると、みずきってカッコいいよね!と言われ続ける。今度は「私だって可愛いところはあるもん!髪伸ばすんだから!」って大切にケアをしながら髪を伸ばした。
いつだって、表現の理解を得られたらそれはとても嬉しかった。ただ、ずっとその「どちらかの印象=私」というのが腑に落ちなかった。なぜ一方からしか判断されなければいけないのか。と。その一般的な男女の行き来の経験からすると「Xジェンダー」は確かに私のアイデンティティだった。

(17〜20歳の頃)


生きるのをやめたくない

「ネクスト イン ファッション」を観て、大好きな服で自己表現していた熱い自分を思い出した。ただ、その頃の私は心が悲鳴を上げていた。安定が欲しかった。認めて欲しかった。愛が欲しかった。だから、自分を強く魅せるためにも前衛的なファッション、ヘア、メイクを好んでいた。だが今ではその過去の苦しい私はもうすやすやと心の中で穏やかに眠っている。その過去に罪などはない。私は過去から現在を生きるようになった。そして未来にワクワクできるようになった。3年前に初めて海の向こうへ旅に出て「世界は大きい」とこの身で感じた。国は違えどみな同じ人間であることも今は理解している。

ただ、みんな笑いたいんだ。
心から。腹の奥底から。

答えはいつだってシンプル。


さいごに

私は私だ。
当然のことだが、この身に落とし込むまで時間がかかった。

私は、
「私として生きることをやめたくない。」

私は誰よりも私を信じるし大切にしたい。
もう自分を諦めない。

「ネクスト イン ファッション」

自分の中の過去を認めた私は、今から1秒後を心躍るように生きていく。

忘れていた内なる美がこっちを向いている。
いつだって私らしく。

📷 @ainy #Specialthanks .

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