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採りたての春

仕事でお客様のお宅にお伺いしたところ、
「今、裏の竹林でタケノコが採れるから、後でお土産用に採ってきてあげる。」
と言って、私が仕事をしている間に、本当にタケノコを掘って来て下さった。

広島の実家にも近くに竹林はあったけど、いつの間にか住宅地になってしまったし、昔イノシシの皮が干してあった裏山も、かなり前に団地になってしまったというのに、まさか東京の住宅街で、採りたてホヤホヤのタケノコをゲット出来るとは思いもしなかった。

タケノコは鮮度が命と聞いた事があるので、疲れていて面倒臭いなと思ったけど、せっかくの採りたてゲット。糠床の足し糠用の糠が残っていたのも後押しとなって、帰って早速アク抜きをした。

正直、タケノコを美味しいと思った事は今までない。煮物に入っていれば食べるけど、なくても構わないくらい。あの市販の水煮の独特な臭さもあまり好きにはなれない理由のひとつかもしれない。
向田邦子さんの料理の本で、タケノコが好きで好きで、、、と書いてあっても、ふーん、という感じで全く共感が出来なかった。

でも、イヤ、そこはさすが採りたてホヤホヤ。
これはウマかった。
上から下まで丸ごと全部が穂先みたいに柔らかくて瑞々しく、ミルキーでほんのり甘くて、エグ味も全くない。
まさに、春の味、という感じ。
あ、なるほど、タケノコの美味いってコレか。
と初めて実感した。

東京はここ数日肌寒く曇天が続いているけれど
春真っ只中なのは間違いない、
そう実感した日でした。

しかし、毎度ながらあのタケノコの皮はどこまで向くべきか、悩みますよね。結局剥いた皮を食べながら確認してたりします。

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