見出し画像

非常時に問われる教養

ずっと以前NHKの大河ドラマ「独眼竜政宗」を観ていて、忘れられないシーンがあった。桜田淳子(*)演じる政宗の正妻(めご)のところに、非常に取り乱した様子の側室(猫どの、秋吉久美子が演じていた)がやってきて、とても心配で、不安で、寂しくて、と訴えたのである。それに対して、正妻めごは、「戦の時に女はなにもできない」と諭し、音曲などの嗜みはあるかと問う。猫どのは、戸惑ったような顔で、楽器はできないが舞踊ならば少し心得がある、と答える。めごは、では自分と自分に仕えている者とで筝や鼓の演奏をするから、それにつきあって踊ってくれないかと提案する。

宙ぶらりんな状況に置かれ、積極的に打つ手がなく、不安ばかりが募るとき、人を救うのは芸術である、ということが強く印象づけられた。身の回りの不安材料をこねくりまわさず、真善美の究極に視線や身体を開くことで、気持ちを整える、それが「嗜み」であり「教養」である、と私は理解した。

*めごの少女時代を演じていたのは、当時「美少女」として名声の高かったゴクミ(後藤久美子)で、ゴクミが成長して桜田淳子になるという配役には、違和感がなくもなかったのだが、視聴率は抜群で、渡辺謙がさらに飛躍することになった出世作だった。

写真はhttp://zunko2525409.hatenablog.com/からコピーさせていただきました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?