春の日々(2024/04/01~07)

 あっけなく日記を続けられなくなってきたので、春の日々をダイジェスト版でお届け。

 四月一日、大学院の新入生ガイダンスのため登校する。院の研究室が今年度から新しい場所に移転したそうで、引っ越し途中の段ボールがそこら中に積み上げられていた。自分専用のデスク、ロッカー、パソコン、自由に使えるコピー機やプリンター、本棚に入りきらない本があって、給湯室には冷蔵庫と電子レンジが三つずつ、自分の食べ物には名前を書くこと、というメモがあった。先生に借りていた「誰も知らない」のDVDを、アポロといっしょにお返しする。

 四月二日、入学式。学部の入学式がコロナでなくなった世代、かつ早々に院進を決めてまったく就活に手を出さなかったため、このためにスーツを買った。ボウタイブラウスのリボンがなかなかきれいに結べず苦戦、何度もやり直すうちに奇跡的にうまく結べて、二度とほどかんぞ、と思う。ともに院進する友達に、いつものフェミニンな服と雰囲気が違っていいね、と言ってもらう。シャチのぬいぐるみを連れて行ったらスーツに(たぶん)馴染んでよかった。冠婚葬祭はシャチに任せて!式中ずっとお腹が空いていて、帰りに駅で食べた明太チーズグラタンがおいしかった。明太子があるとぜったい食べてしまうよ。履修登録の相談などもして、式典よりこの時間のほうがたのしかったなと思いながら、解散。

 四月三日、履修登録をばっちり完了。学部の授業もいくつかもぐることにした結果、全休なしで毎日登校することに。生理発生につき腹痛でもだえているうちに、なにもできないまま一日が終了。ゼリーが食べたいと言ったら父がヨーグルトっぽい器のやつを買ってきてくれて、ヨーグルトと間違えちゃったのかなと思ったらヨーグルトっぽい器に入ったゼリーだった。そんなのあるんだー。

 四月四日、まだお腹が痛いので本を読んでおとなしく過ごす。バーナード・ショーの『ピグマリオン』。ギリシア神話のピグマリオンをよい意味で鮮やかに裏切っていて、とってもよかった。

 四月五日、片づけと衣替えをがんばる。自制心のある人間は、統制のとれたお部屋から。ちょっと前に服をがんがん断捨離したので衣替えはするりと終わり、片づけしていたらポケモンのソフビを三十個くらい詰めた箱を発見、マーイーカとかチコリータとかイーブイとか、かわいいお気に入りの子たちばかり一匹ずつ手に取って眺める。あと飾りっぱなしでややほこりをかぶってしまっていたぬいぐるみたちを救出。ほこりを払い、汚れがついていたところを水で拭いてやる。ほわほわかわいいラッコのぬいぐるみも出てきて、こんなにかわいいのにずっと放っておいちゃってごめん、という気持ちがわいたけれどそれって、かわいくなかったら放っておいてもいいってこと?と思う、かわいいは正義、と思うとき、かわいくないは悪になりえてしまうのか? ぬいぐるみはかわいい、かわいくて大事にしたい、と思うとき、かわいくないぬいぐるみのこともちゃんと大事にしたいと思う、愛着、とかではなくて、初対面の、縁もゆかりもない、かわいくもないぬいぐるみを、大事にすることはできるのか? もしできないのだとしたら、ぬいぐるみを大事にする根拠やぬいぐるみに向ける愛(のようなもの)の在処が明確になるような気がする。

 四月六日、名古屋城へお花見に行き、帰りにカフェに寄って苺ジュースを飲む。お気に入りのふわふわ真っ白ブラウスを着たら全面で春の光を吸い込んで、てろてろの布そのものが発光しているようだった。とっても春の日。

 四月七日、バイト。ベテランバイトさんに作業を手伝ってもらった際、そんなに何回もありがとうって言わなくていいのに、と言われる。ありがとうは言えば言うほどいいものだと思っていたけれど、あまりに言い過ぎると一回の濃度がどんどん薄まってしまうのかも。
 家に帰ってから日記を書く。日記?週記?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?