フランス留学を終えて
やっと自分の考えを整理して書けそうなのでnoteに言語化を試みます。
※以下に書くことは、所属団体やコミュニティと関係のない個人の感想です。
よくある質問をもとにインタビュー形式で答えてみようと思います。
Q1.留学行ってみてどうでした?
やはりこの質問は一言では答えられないです。
終始キラキラした留学を出来るのは一部のとても優秀な方や前向きで最強なメンタルをお持ちの方だと思っていて、だいたいの留学生は充実しつつも複雑な感情を持って帰ってくるもんだと思います。だからもちろん大変なこともありました。
でもあえてまとめるなら
得たことが2つあります。
①自分と向き合うことができる貴重な時間を作れる機会になりました。そして何をしたいかどんな人になりたいか自分の軸をよりはっきりすることができました。
②異分野融合型の研究として自分の武器や置かれてる立場の重要性・面白さを存分に感じてきました。その中で分野をまたぐ研究者としてのコミュニケーションを学ぶことができました。
留学したいと思っててやりたいことがあるか目的があるならおすすめしますし、何となく留学したいだけなら目的は作れば良いと思います。経験したから実感をもって話せることはたくさんあります。そして仮の目的もやるうちに本物のモチベーションに変わっていくものだと思います。やるから面白い、知るからもっと知りたいといった原理です。
やりたいことを見つけている人は、周囲にアンテナを張って社会を見ながら、自分の小さな興味でも自分で気づいてあげて、日々努力して大きな興味に膨らませてきた結果なんだと思います。
Q2.どうして留学行ったんですか?
きっかけはほんと単純なもので、死ぬまでにしたいことを若いうちにしようというものでした。
その実現の一歩目は「熊本城マラソン」で大学3年の冬でした。特に理由はないけど、死ぬまでにマラソン経験しときたい…経験するならできるだけ若い方がいい…残りの何十年ずっと語り続けられるから、(毎日その経験をした自分が生きてものを考えるみたいなお得感)という気持ちでマラソンを走りました。高校で陸上部長距離や駅伝をやってた身としては遅いかもしれない3時間51分。それでも達成感はすごいものでした。
留学はそれと全く同じ動機で大学4年生になって、研究室の教授に「どこか行きたいです、紹介していただけますか」と尋ねたのがスタートでした。留学の動機としてはあまりにガバガバなもの。それでも教授は海外経験の重要性を知っていたので、専門分野をもう少し理解して研究のスキルを少し身につけてからいこうと時機を窺ってくれていました。
具体的に決まったのは修士1年の夏。
フランスの先生方と連絡を取り始めました。
そこから1年間、キャンパスフランスの申請や面接、トビタテの書類審査やオンラインでの二次審査を乗り越えて留学が実現しました。
Q3.コロナ禍での留学は大変でしたか?
個人的には淡々とこなしていればそれほど大変ではないと今だからこそ言えますが、その時々の自分は焦っていたと思います。
まず、コロナの渡航制限が緩和されたのが6月中旬。実際に渡航したのが8/24なので2ヶ月前に行けることが決まりました。政府と大学に感謝です。
実はその前には一度諦めています。フランスの研究室に「今回は行ける確率が極めて低く、修士論文もこのままでは進まないので残念ですが計画中止します」と連絡していました。まさか、政府の方針が変わって自分の選択に直結するとは想像していませんでした。諦めますメールに対して「何もしなくていいからただ待つだけ、ダメならその時わかるから」と思い踏みとどまらせてくれた返信に今も感謝しています
次に困ったのはワクチン接種。
当時ワクチン接種は学生まで回ってきておらず、文部科学省留学ワクチン推進チームに申請して鹿児島大学で接種できるようになりました。ワクチンだけのために鹿児島に2回行ってきました。
その次は衛生パス。
フランスの公共交通機関を利用するには陰性証明やワクチン接種証明(衛生パス)が必要でした。留学初日はパリのシャルル・ド・ゴール空港の近くに泊まりましたが、翌日朝の列車(TGV)には乗れず、空港内の抗原検査を受けました。
衛生パスはフランス政府に申請しても一向に返ってくる気配はなく、メールでのマニュアル操作から申請フォームのシステムに変わった時に、申請しなおすとすぐに衛生パスをゲットできました。
3回目のワクチン接種はスムーズにできました。
あとは帰国直前のロンドンからパリにユーロスターで渡る時に、数ヶ月ぶりの衛生パスチェックが入り、一瞬焦ったもののなんとか3回目接種の紙を掘り出して通過しました。
総じて、するべきことは増えましたが、精神的に負担がかかった場面はそれほどなかったように思います。
Q4.なんでフランスですか?
これは「Q2.どうして留学行ったんですか?」でも答えたように、自分自身で選んだわけではありません。ただフランスに決まった理由はあります。
土の中をX線CTを用いて可視化し、3次元画像を使って土の変形を調べることが熊本大学の研究では強みとされています。
フランスのグルノーブルでは、【土×X線CT】の研究を世界中の人が集まって高いレベルで行っています。さらに私の場合は【植物の根×土×X線CT】で研究を行なっていまして、これもグルノーブル大学が別の目的で行なっていました。まさに自分の研究を通して留学を行うのにピッタリの場所でした。
また紹介いただいたコース(GCER)は10ヶ月のうち、半年を地盤工学の講義と試験にあてるもので、専門分野の知識をさらに身に付けるのに適していました。
つまりGCERは学ぶ期間と研究する期間が5ヶ月ずつある最高の場所だったと言えます。19カ国の友達が集まっててたくさん話せました。世界中に友達ができました。
Q5. フランス美味しいものありました?
ありましたよ。
やっぱりパンとお菓子は強いです。
クロワッサンと
パン・オ・ショコラ(チョコパン)は
王道でちゃんとうまいです。
フランス料理はレストランと家庭で異なるようで、レストランではお肉のパテが今までに食べたことない味で個人的に美味しかったです。
ただ日本食もめっちゃ強いです。
自分が日本人である以上、舌も体も日本人なので平等なジャッジはできませんが、世界的に見ても日本のこまかな味へのこだわりはすごいと思います。また、安い=良いにはなりませんが、安くてもクオリティが確保されてて美味しいのが日本食の凄いところだと思います。
Q6. そういえば就職どうするんですか?
実は決まってたところの内定取消しをお願いして、留学していたUnversité Grenoble Alpesに博士課程で進学することにしました。フランスに2年、共同研究の機関があるイタリアに1年住む予定です。
留学先での研究が始まって1ヶ月程度で、「もし博士課程に進みたかったら、今の研究の延長でポジションはあるよ」と言ってくださり、初めは「いやいやもう就職するんで😅」って言ってたのが徐々に気になりだしました。
これもし博士課程進むってなったらまあまあ凄いことだよな…人生どうなるんだろ…ただ、今でさえギリギリなのにおれなんかに出来るんか…いやでもこんなチャンスもうないぞ…とひとりで自問自答してました。
一緒に実験を進めてくれていた研究者&技術職員の指導員に「やっぱり行きたいかもしれない」と伝えると、「家族と話し合って人生の選択肢としてあと2週間ゆっくり考えて」と伝えられました。兄に電話したり、研究室の先輩、他にも異なる立場の人たちに偏りがないように助言を乞いました。
決め手となったのは、ある歳の離れた先輩からのメールで「動機は大したものじゃなくていい。やりたいと思ったならやろう。」という言葉でした。おそらく私の文面から読み取って背中を押すだけで良いのだと判断してくれたのだと思います。思えば留学にきたのも大した動機ではありませんでした。でも文化の違いも含めて大きな学びがありました。日本の外で、24年生きて初めて知るもの、自分のはじめての感情と出会えた。ここにはまだ学ぶべきものがあると率直に感じて進学を決めました。
また現実的には自分の生活を賄うだけの給料が出ることも決断の助けになりました。とれるかわからない奨学金よりも安心して自立して学びを継続できると思いました。
その先、何になるの?とも聞かれますが
自分でもまだわかりません。
満足したり挫折したりしたら日本企業で働く場所を探すかもしれませんし、個人でひっそり稼げるものを探すかもしれません。うまくいけば研究者を目指してポスドクに進んだり、外国の企業に勤めることもあり得るのかもしれません。まずは目の前のことを一生懸命やって、決めるべき時にしっかり考えようと思います。
Q7. 給料がある、海外にまた3年住める、そのメリットがあったとして研究を続けるモチベーションはありますか?
おそらく思ったより進まないと思います。
研究は時間がかかりますし、没頭すれば3年はあっという間なのかなと思ってます。ステージごとにやるべきことやって、トラブルがないようにコミュニケーションをしっかり取るのと、自分の変化に敏感になっておけばいいかなと思います。
あとモチベーションはやれば後からついてくるという考え方です。"研究の動機"としてのモチベーションはもちろんありますが、10年以上かかりそうな研究なので、焦らずスタート地点として面白いものを見つけたいと思います。まあ、でも本当にきつくなったら普通に帰国します。
フランスでの博士課程は2023年9月からスタートする予定です。これから半年は熊本大学の修士を取る期間で、あとの半年は語学の勉強に集中するのと日本をことをもっと知る機会を作りたいと考えています。
Q8. これから半年で研究以外に何をやりたいですか?
まずやりたいことを明確にするにあたって
自分軸の3つのキーワードを選ぶなら
①家族、②健康、③人間関係です。
①3歳の時に腎臓の手術をして入院していたこともあり、2人の兄と両親に見守られて育てられました。その分、野球や陸上・駅伝で自分を表現するのは嬉しくて、今思えば元気に走ることが最大の恩返しだったのかもしれません。
②健康は全ての土台で、
何を取り組むにしても必要です。
健康である証明書を家族に見せるのも大事です。
③人間関係を選んだのは、これからはこれまで以上に周囲とのコミュニケーションが大事になると思うからです。分野をまたぐ研究に関しても、自分の分野を深く理解して、相手の分野もできるだけ理解して、議論を深める必要があります。研究以外での場面でもこれからの技術やイノベーションには異なるものの掛け合わせが重要になると思うからです。
半年後の理想の自分としては
①②健康である証明を家族に見せる
③異分野の知識を繋げられるコミュニティをもった研究者になりたい
+αで
自分で小さくても事業を起こせるようになりたい
です。
取り組むこと、行動としては
健康である証明は、人間ドックや大学病院での検診を行うだけです。会社等につとめてたら機会があると思いますが、学生の健康診断はわりと自己申告制なので隠れた病気は見つけられなさそうです。ということで予約してきます。
異分野をつなぐコミュニティはトビタテのコミュニティに自分の活動を投稿することが第一歩かなと思います。小さく始めてネットワークを拡げていきます。
事業をおこすには事業をおこしたことがある人に聞くのが一番早いと思います。話が成り立つようにググって予備知識を身につけて、あとは知ってる人に連絡します。なめ腐ってんのちゃいますって言われそうですが、やりたい事業は正直今はありません。相手のきっかけを深掘りして事業の見つけ方からヒントを得たいです。ただ、大学発ベンチャーの流れはありそうなので、自分の武器や周りの人の武器を事業に変えるのは面白いと思います。
あとフランス語の学習は、11月にDELF受けるので(留学先で英語ばかり使ってたのでA1とA2受けます。めちゃ初心者です。)、ただ継続します。
Q9.5000文字超えました。
最後に一言ありますか?
自分の発言に責任もちつつ、一個ずつやることにします。究極、「生きてればいい」ので自分を大事に、周りの人を大事に、頑張ります。
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