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わたしに会いたい(著者 西加奈子)

わたしに会いたい
著者 西 加奈子
初版 2023年

『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。
この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。
「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。
わたしを生きるための言葉。#Imissme ──わたしに会いたい。
コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。
・「わたしに会いたい」──ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。
・「あなたの中から」──女であることにこだわる「あなた」に、私が語りかける。
・「VIO」──年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。
・「あらわ」──グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。
・「掌」──深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサが手に入れた不思議な能力とは。
・「Crazy In Love」──乳がんの摘出手術を受けることになった一戸ふみえと看護師との束の間のやり取り。
・「ママと戦う」──フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモは、戦うことを誓う。
・「チェンジ」(書き下ろし)──デリヘルで働く私は、客から「チェンジ。」を告げられる。(出典:集英社HP)
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771849-2

 今回、短編集を読みました。各短編ごとに物語のかたちをお伝えします。文章から押し寄せるエネルギー?怒り?の量が多すぎて、窒息しそうになるような感覚がありました。短編のなかでも、かたちが見えたもの、見えなかったものがあります。見えなかったものは、私が窒息してしまった物語なのかもしれません。

□「物語のかたち」
黒い煙が小さく小さく集まって、鼓動を打つように定期的に動いている。

□各短編の「物語のかたち」

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私が本を読みながら見ている「物語のかたち」は、読み終わった時にパッと現れるわけではありません。本を読んでいくなかで、かたちが現れてきて、読み進めるうちに、そのかたちは変わっていきます。
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黒い煙が小さく小さく集まって、鼓動を打つように定期的に動いている。(わたしに会いたい)

黒と深い緑が混じったような色。ヘドロのようなどろっとしたかたまり。まわりがぱぁーっと明るくなって、その光が消えると透明な水のようなかたまりに変わっていた。(あなたの中から)

数センチの低い円柱。深い深い黒にも見えそうな赤色をしている。力強くてとても美しい。(Crazy In Love)

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