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八日目の蝉(著者:角田光代)

八日目の蝉
著者:角田光代
初版:2011年

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか……。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。(出典: 中央公論新社HP)
http://www.chuko.co.jp/bunko/2011/01/205425.html


「物語のかたち」
長方形の金属のような塊。厚さは5㎜ほどで薄い。でも、驚くほどにずっしりと重い。大きな塊を圧縮させたような密度と重さがあります。近づいて見ると、表面はつるつるしていてピカピカと光っていて美しい。

主人公の感情描写が丁寧で、読み進めるうちに、自分がいけないことをしているかのような気持ちになり息がつまりそうになります。また、登場人物それぞれに対して切ない気持ちになり、喉がキューッと締め付けられます。心臓がドキドキして気持ちがはやり、早く先が読みたくてしかたなくなります。静かで淡々と物語が進んでいくのに、気持ちがはやり、追い立てられていきます。しかし、物語が終盤に差し掛かると、一気に青空が広がったような晴れやかな気持ちになります。満足感と息がつまるような切なさが心に残り、圧倒されて、しばらくその余韻に浸って動けなくなってしまう。


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