はじめに

私の共感覚のこと、それから、この書評を書き始めることにした経緯についてお話したいと思います。

私は物語性のある文章を読むと、1つの立体的なかたちが見えます。星形だったり丸形だったり、ガラスのようだったり金属でできているように見えたり。そのかたちは、物語を読み進めるうちに変わっていきます。このnoto「物語のかたち」では、それぞれの本ごとにかたちを書いていきますが、そのかたちは物語を読み終えた時点で見えているかたちです。なぜ、そのかたちなのか。その質問にははっきりと答えることができません。私にとって、そう見えたからです。この能力を共感覚と表現して良いのかもわかりません。ただ、私以外の誰かに説明しやすいので共感覚という言葉を使わせていただいています。
私はいま30代ですが、いつから物語を読むとかたちが見えていたのか、はっきりとした記憶がありません。小学生の時から図書館が大好きで、よく通っていました。高校生の時に読書にのめり込んで、多い年は年間700冊近く読んでいました。この能力について初めて誰かに話をしたのは、たしか、高校生の時だったと思います。その時の本は吉本ばななさん著のTUGUMIでした。話を聞いた相手は困ったような顔をしていて、私は「あ、しまった・・・」と焦ったのを覚えています。それ以降、この能力について誰にも話したことはありませんでした。

私が結婚をすることになった時、移動の車のなかで何気なく夫にこの能力について話をしました。変な人だと思われるかもしれないな、と恐る恐る話したのですが、夫は不審がるどころかとても面白がってくれて「それ、すごいよ!書いて公表したらいいよ!」と言ってくれました。「物語のかたち」というタイトルはその時に夫が考えてくれたものです。でも、夫とこの話をしたのはもう3年も前です。ビビりの私はなかなか書き出す踏ん切りがつきませんでした。でも、勇気を出して書くことに決めました。こんな変なことを書いて頭がおかしい人だと思われるかもしれない、変な宗教にはまっている危ない人だと思われるかもしれないとビビりながら書いています。

私は読む本を選ぶ時に、読んだ後にどんな気持ちになりたいかを大切にしています。このnote「物語のかたち」があなたのなりたい気持ちに合う1冊を見つける、そのお手伝いをさせていただける場所になることができれば、とても嬉しいです。そして、その1冊を選ぶ時、宝石を選ぶように、どのかたちがいいかなと物語のかたちを想像しながら楽しんで選んでいただければ幸せです。

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