ロースクール(特に未修コース)に入学する方へ

はじめに

もうすぐ4月ということで入学の季節。ロースクールを舞台としたドラマが放送されていることもあり自分のロー生活を思い出すことが増えました。私は他学部卒で未修コースに入学したいわゆる純粋未修でした。この春からローに入学予定の方(特に未修者)に向けて、やっていて良かったことやこうすれば良かったと思うことなどを久しぶりにnoteに書いてみようと思います。

入学前

ローの合格発表があったのが12月中旬だったので本格的に法律の勉強を始めたのは年明けからでした。当時は今ほど書籍も充実していなかったのですが、本屋で立読みしてわりと読みやすいと感じたLECの C-Bookという市販本を購入して読み始めました。ロー入学後は伊藤塾のシケタイ派の方が多かったのですが、自分が読みやすいものであれば何でもいいと思います。今なら呉先生の基本シリーズ等気に入ったものを選べばよいでしょう。ただ未修で入るのであれば入学までに上記のような予備校本を一読しておくべきです。既に三月なので間に合わないという方は一年の夏休みに集中的に通読することをオススメします。ロースクールの授業は一年からかなりハイレベルな内容ですので、薄くてもとりあえず全体を一周しておくと理解に差が出ます。私も予備校本を軽くでも一回転していたことが入学後に役に立ったと思います。ロー入学後は授業が忙しく予備校本をまとめて通読する時間を取るのが難しいです。

入学後

私は京大ローに入学したのですが当時は予備試験もなくロースクールに活気があり入学者も学年200人(既修140未修60)という感じで、新歓コンパ等も先輩方が企画してくれて100人位参加していたと記憶しています。未修の中にも法学部卒や司法試験の勉強をしていた人も多く、純粋未修の先輩から「甘く見てると留年するから気をつけてね』と釘を刺されたことが印象に残っています。

科目別勉強法

民法

民法は昨年お亡くなりになった潮見先生がオリジナルレジュメを使用し授業をされていました。予備校本よりもローの授業の方が良かったので授業メインでした。ソクラテスで毎回ランダムに当てられるので緊張感を持って授業を受けていました。全くの初心者に対して基礎から始めて司法研修所で習うような要件事実の考え方までを叩き込むような授業であり、今思えば凄まじい授業でした。潮見先生はよく『辛いと思うが付いてきてください!付いてこれば司法試験も合格します!』と仰っていましたがその通りだったと思います。今まで受けた授業の中でも一番緊張感があり勉強になったと感じます。

会社法

京大ローは会社法も強いのですが未修一年目の授業は正直微妙だったので、予備校本やリーガルクエスト等を読みながら短答の肢別を淡々とこなしていました。会社法は条文が重要なので条文重視で学習していけばいいと思います。

民訴法

民訴は山本克己先生の基礎から徹底的に考えさせるソクラテス授業でこちらもランダムで当てられるので民法と同様に張り詰めた緊張感で授業を受けていました。民訴も予備校本は使わなくなり授業をベースに基本的な定義や趣旨を固めて徹底的に考えるというスタイルでした。結局司法試験本番までこのやり方で得点源になったので間違いはなかったと思います。

憲法

憲法は授業が判例を読み込んでソクラテスで当てるというやり方でしたが、あまりにレベルが高すぎて司法試験対策という意味では役に立たないものでした。予備校本や判例集、短答の肢別を淡々とこなしていました。

行政法

行政法は授業がそれなりにわかりやすく司法試験向けだったので授業をベースに判例集や短答の肢別を淡々とこなしていました。今は基本行政法等の評判の良いテキストがあるので、授業が微妙なら自分のペースで学習していけばいいかと思います。

刑法

刑法も授業のレベルが高すぎて司法試験対策としては確実にオーバースペックだったので予備校本や短答の肢別を淡々とこなしていました。

刑事訴訟法

刑訴はオリジナルレジュメで授業が行われ評判も良かったので(学者がまとめた予備校本のようなイメージ)授業レジュメをベースに判例や短答の肢別を淡々とこなしていました。

小括

ローの授業は特に未修者にとってはレベルが高すぎるものが多く司法試験にも役に立たないものもあります。その当たりは早く見切りをつけて予備校本や過去問ベースの勉強にシフトした方が司法試験合格は近づくと思います。

成績結果及び反省点

上記のような学習の結果どうだったかというと純粋未修の先輩から脅されていたこともあり前期の成績はドキドキしたものですが概ね平均以上の成績は取れていて安心したのを覚えています。
もっともソクラテスの受け答えではそれほど理解に差がないと思っている同期でも成績に差があることも発見でした。そこは反省点にもつながるのですが私は未修の一年間定期試験以外で答案を一枚も書いたことがなかったのです。これは大きな反省点で答案の型を身につけていないと高評価は得られないということです。答案練習は早めに始める方が望ましいです。

未修一年→二年

一年から二年に進級する春休み学習支援として助教の方が少人数で答案の書き方を教えてくれる機会がありました。私の班は幸運にも京大ローを首席で卒業し司法試験も首席で合格された方(その後30代で京大教授になられたらしい)が担当してくださり、そこで初めて法律の試験問題の検討手順や答案の書き方を学びました。この機会は非常に有益だったと思います。

最後に

よく未修者は最初の一年で法学部の四年分を追いつかないといけないと言われますが私としては三年で追いつけばいいと考えています(正確には一回司法試験に落ちているので四年かかっていますが)。
ロースクールに対してはいろいろと批判も多いですが出会った友人たちとは今でも飲みに行ったり仲良くしているので、気の合う仲間を見つけて適度に息抜きしながら一歩一歩進んでいけば司法試験合格も見えてくると思うので頑張ってください。法曹は素晴らしい職業だと思っているので応援しています。


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