2023/10/27

朝から、仕事がめちゃくちゃ積もっていた。
2時間半に及ぶ会議を終えた私は
「生徒が来るまでに終わらない」と悟った。
生徒が教室にくるまで2時間。
今日は思い切って30分休憩することにした。
いつもは休憩なしで働ききるのだが、
あえて今日は休憩をした。
シャキシャキレタスのサンドイッチがおいしかった。

今日は頭の中に仕事を覚えておくことをやめ、
2時間でやることリストを作ってみた。
仕事に大小はあるものの、
13個の業務が洗い出されてきた。
そして、何かしらのビジネス本で目にした
「早く終わる順に並べる」という工夫をした。
抱えていた業務の11個は30分で片付いた。
自分でも驚愕の早さで、デキる男だと確信した。残りの2個も生徒が来るまでに無事に片付いた。

その結果、生徒に全力を捧げることができた。
高校3年生の受験生との三者面談が控えていた。
今振り返ると、今日の行動で一番よかったのは、
この生徒との面談の準備を最後に回し、
最も時間をかけたことだった。
結果的にこの生徒との面談は、
お母様の理解もあり2時間半に及んだ。

三者面談の冒頭で、お母様は私が生徒に尋ねた質問に「そんなことこの子は考えたこともないので、答えられないですよ」と言ってくださった。
私はすぐに「だから今日考えさせないとずっと考えないですよ」と答えた。

私は生徒が自分の人生について考える時間を、 何よりも大切にする。
自分が言葉にできないことを、
現実にすることなどできないからである。
だからどれだけ時間がかかろうと、
言葉を紡ぎ出せるまで待ち続ける。
そこで出た言葉は、
たいてい保護者の方が初めて聞く言葉である。
初めてそこで親子は本音でぶつかり合う。
そのぶつかり合いの果てに、
子どもは大人になっていく。
面談の最後、受験生はこう宣言した。
「今よりも合計得点を110点上げる」と。
私のためでも、親のためでもなく、
他でもない自分自身のために。

生徒が帰ったあと、講師たちに約束した。
俺はこの子の点数を2ヶ月で110点上げると。
そのための方法を全て説明した。
講師たちの目の色が変わるのが分かった。
「そんな先生になりてぇ」と講師は嘆いた。
この気持ちよいセリフを聴くことができたのは、人生を変える決意をした受験生のおかげである。

何も準備なく過ごしていたら、
ありふれた一日になったかもしれない。
しかし仕事に優先順位をつけて、
試行錯誤できる環境を整えたことで、
今日という日はスタート地点になった。
今まで積み上げてきた自分を、
少しはやるじゃんと思える一日だった。

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