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その一瞬を撮りたい(2)

その年2017年秋。カープはリーグ2連覇を果たすがクライマックスシリーズで敗退し、日本一の夢はまたも潰える。もっと撮りたかった。消化不良感の残る晩秋、写真を撮れるスポーツは何かないかと探した。
前年2016年から開幕したBリーグ・広島ドラゴンフライズも見に行っており、シーズン真っ只中ではあったが「もっと他のスポーツも撮ってみたい」の欲求が一つの試合を探し当てた。
2017年11月11日土曜日、広島市中区スポーツセンター。広島メイプルレッズ対プレステージ・インターナショナルアランマーレ。

暗いし、荒いし、今見るとなんて写真だ。だが、この瞬間・この表情をこの角度で撮った写真は世界にこれだけだ。いつの写真も大切な思い出となる。

ハンドボールというスポーツが、思っていたのとだいぶ様子が違っていたのも覚えている。ぶつかる。ぶっ倒れる。何がどうなっているのかよくわからない。1点入るごとにお祭り騒ぎ。点が入っても喜ぶ時間もそこそこにすぐ次のプレー。
でもその激しさと、選手たちの溌剌としてひたむきで楽しそうな顔が、また見に来たいスポーツだなと思わせてくれた。思えば近くでしっかり女子スポーツを見に行ったのも初めてだったかもしれない。
第二のターニングポイント。

結局そのシーズンはハンドボールの試合を見に行ったのは3試合だけだった。
明くるシーズンを迎える頃には、スポーツで撮る楽しさを覚えたことや他のスポーツも撮りまくったことも功を奏して、仕事でもカメラを覚えることが楽しくなり、多少はまともにハンドの写真も撮れるようになった。

いや、今見るとこれでも全然まだまだなのだが。それにしてもこのユニフォーム懐かしいな。

試合を見に行って写真撮ってTwitterやInstagramにアップすると、選手から反応もらえるようになった。
他のスポーツではそんなことなかったので、とても嬉しかったのと、こんな世界もあるんだと思ってどんどんハンドボールにのめり込んでいく。

この頃はまだ、日中スポーツを見に行く以外は夜な夜な街に出かけてクラブ行ったり飲んだりして遊んでいた。
2019年頭。夜の街で遊んで家に帰ったあと、大阪でメイプルレッズの試合があったことを思い出す。酔った勢いだったのか今になっては定かではないが、勢いのままに大阪のホテルを取って明朝には広島駅の新幹線ホームにいた。
第三のターニングポイント。遠征狂の始まりである。

その翌週の小松の北國銀行戦も見に行き、知立の名古屋戦にも足を運んだ。
選手の皆にも次第に顔を覚えてもらい、近かろうと遠かろうと試合を見に行くのがとにかく楽しくなった。
当然のように東京・駒沢のプレーオフにも行った。2ndステージで敗れてしまったその試合の後、ひと声かけたいと思って出待ちをしていた(まだ出待ちして良かった頃)。涙の跡がかすかに残る選手たちの顔はもう先を見据えているようだった。
「来シーズンも追っかけしてくださいね」と声をかけてくれ、バスに向かって歩いて行く背中が小さくなっていくのを眺めながら、"このチームを見ていきたい"という心の中の火はそれまでにも増して大きくなっていった。

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