Tomoya

大学教員です。保育と社会福祉が専門。マンガを通して学べる保育と社会福祉を書いていきます。

Tomoya

大学教員です。保育と社会福祉が専門。マンガを通して学べる保育と社会福祉を書いていきます。

最近の記事

保育と社会福祉を漫画で学ぶ 「進撃の巨人」と思春期課題 その2

神話めいた多義的な漫画作品「進撃の巨人」には、思春期の課題が描かれているのではないかと考えて書いてきた書評エッセイ。 前編では摂食障害や引きこもり、大人への忌避感が描かれているのでは、と検討してきました。 今回は後編をお届けします。 赤ん坊は自分を世話してくれる母親を、自分の延長のように捉えます。 「親を喰い殺して巨人化の能力を得る」という設定には、精神分析などで語られる、乳児が母親を取り込んで成長しようとする願望が表れているようにも読めます。 しかし、この物語では喰われた

    • 保育と社会福祉を漫画で学ぶ 「進撃の巨人」と思春期課題 その1

      「名作」と呼ばれる物語は、多義的な内容をもつことが多いものです。 多義的とは、様々な解釈ができるということ。 神話や伝承などは不思議なお話なのに、なぜか心に残りませんか?  諌山創さんの「進撃の巨人」も様々な立場の読者が、それぞれの視点で解釈することができるのに、「正解」らしきものにたどり着くのが難しい名作のひとつです。 謎の多い暗示的な物語の構造が、世界的ヒットの理由のひとつなのでしょう。 筆者は「進撃の巨人」を思春期の課題がたくさん描かれた作品だと考えています。 一種の

      • 保育と社会福祉を漫画で学ぶ 『 アイ’ム ホーム』(石坂啓,1999)と高次脳機能 障害

        石坂啓さんの『アイ’ム ホーム』(上下巻,小学館,1999)は、家族とは何か、高次脳機能障害について、また中途障害者、つまり人生の途中で難病や交通事故などで障害を負った人たちの生き方について考えるきっかけを与えてくれる作品です。1999 年の文化庁メディア芸術祭大賞受賞作で、木村拓哉さん主演のドラマにもなった作品です。 主人公の久は、離婚して家を出たのでした。 妻とスバルと三人で過ごした家は「慰謝料がわり」として妻に引き渡したもの。スバルに最後に会ったのは一年前の誕生日でし

      保育と社会福祉を漫画で学ぶ 「進撃の巨人」と思春期課題 その2

      • 保育と社会福祉を漫画で学ぶ 「進撃の巨人」と思春期課題 その1

      • 保育と社会福祉を漫画で学ぶ 『 アイ’ム ホーム』(石坂啓,1999)と高次脳機能 障害