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曇りの日の鎌倉散歩

写真は晴れている日でないとだめだと思い込んでいたのが、保井崇志さんの写真を見てから変わった。

雨の日こそな色だったりがあって、風景と傘があいまって独特な雰囲気になる。傘をさした人々の写真を見ると、みんな違った傘で違う高さで動いていて、案外この景色って不思議なものなんだなと気がつく。
見慣れているけど瞬間を切り出すと知らなかったようなことを知る感じ。それを写真で伝えられるというのが素晴らしいことで、そんな写真を撮ってみたい。

逗子鎌倉で生まれ育って鎌倉に住んで1年半になる。当たり前のような風景には感じているが、町を散歩するとやはり古く歴史のある街だ。

たまに横浜の元々は人が住んでいなかったところを開発分譲した土地に行くと、感じたことのないような不安な気持ちになる。とてもきれいで住みやすそうなのに、とても不自然に感じる。
鎌倉や逗子にあるとても車が通れないような細い道や、急に道にある苔むした庚申塔や、1000年前からの建築物がないとなんだか落ち着かない。

逗子と鎌倉の間には切通と呼ばれる古い山道が幾つもあり、鎌倉が自然の要塞と言われたのを今でも良く感じられる。
当然舗装されていないのだが何故か道がある。完全な原生林なのだが1000年間人が通り続けてできた道。
その道すがらには原型のないような仏像であったり祠があったりして、石が朽ちて苔むして他にはないような色合いで佇んでいる。
そんな道がすぐそばにあり、その山道を通って逗子に帰ることもできるし、電車で帰ることもできる。両方選べるのが良いところ。

この日の散歩では小町通りを歩いてから扇ガ谷に行き、そこから寿福寺という古い寺院から北条政子の墓の前を通り、源氏山に行って銭洗弁天から降りてくるというコース。

源氏山に行ったのは中学1年のフィールドワークぶりで、あんなに広く感じていた広場が意外と狭いことを知った。
こういう体験をした時に自分が大人になってしまったのだと思う。

源氏山公園には楓が沢山生えており、紅葉もある。紅葉したように見える楓の紅色と、新緑のモミジ、満開の八重桜が重なりあって不思議な景色になっていた。
とてもビビットというか、やたらに原色が重なり合うような色彩であまりきれいとは思わなかった。ある意味西洋的な色彩だった。

デートするカップルの奥にはたくさんの鮮やかな色。

特にヴュルツブルクには八重桜が多く植えられており、ソメイヨシノよりずっも多かった。濃いピンク色の派手な花たち。
ヨーロッパ人はソメイヨシノは地味に感じるのかもしれない。より色が薄く見えているのではないかと思うことがある。虹彩が薄いから?

曇っていて暗い中でも鮮やかな花は良く色が見えた。ツツジも咲いていた。
道ゆくおばあさんたちが
「桜が終わったら今度はツツジね」と話していて
日本人は本当に自然と花を愛でる民族なんだなと感じる。常に休みなく何かが見頃になる。
みんな競い合うように花を見に出かける。あまりヨーロッパでは考えられない発想。


それから銭洗い弁天を通り御成通りに行くと、野良の三毛猫がいた

なにかくれるのではないかと期待するような、訝しむような表情がおもしろい。
後退りするとついてきて、レンズを舐めようとしてきた。ネコ好きではないが、動物と触れ合うのは独特な癒しになる。

その後急に雨が降り、虹がでた。

アーチ状にかかる虹を鎌倉で見たのは初めてだった。
Canonのカメラを持った外国人が夢中で写真を撮っていた。

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