見出し画像

1円が100円になったほっこり話

酷暑が続きますが、みなさん体調はいかがですか?
熱中症には十分に気をつけてくださいね。
これは、こんな暑い夏に起こったほんのささいなミラクルなお話です。


転がる1円玉

つい先日のこと。
コンビニで自動レジからお釣りを受け取り、財布にしまう際に小銭を落としてしまった。1枚、コロコロと棚下に入っていくのを確認できた。

お釣りの金額は43円。
10円玉4枚と1円玉が3枚だ。
手の中には1円玉が2枚しかない。

スタッフさんもしっかり見てらっしゃっていて

「1円玉が後ろの棚の下に入りましたね~」

と教えていただいた。

幸い店内は混んでおらず、客はわたし一人。
それをいいことに両手両足をガッと広げ床にへばりついた。
服が汚れないように、手足4点で支え胴体を浮かせた状態。

レジ前のガムやチョコレートなどが陳列されている棚下。
のぞき込むとホコリやゴミがいっぱいだ。

ほお~、棚下はこんな世界が広がっているのかぁ

なんて感慨深い気持ちになりながらも、鈍く光る銀色の物体を発見。
しかし、手を伸ばせど絶妙な位置で届かない。
必死に手を伸ばしているわたしの格好は、汚れることを気にせず、すでに床に寝ころんでいた。

もうそれは、ただただコンビニの床に寝ころぶ人。

防犯カメラから見たら、おじさんが床をゴロゴロ寝転がりながら
必死で手を伸ばしている姿は非常に滑稽だっただろう。

2名いたスタッフさんも笑いをかみ殺しながら

「棚を動かしてみましょう」

「ダメよ~、商品が落ちてしまう」

「それじゃモップでかきだしてみましょうか! 」

とノリノリで1円玉大捜索作戦が始まった。

ミッション完了


モップでかき出してもらうと、さまざまなゴミの中から鈍色に光る硬貨が!

「ありましたよ!」

「よかったですねえ!」

3人でワイワイしながら拾い上げてみると……。

100円玉。

あれ?落としたのは確実に1円玉。
レシートと照らし合わせてもやっぱり100円ではない。
スタッフさんも転がった1円玉をしっかり見ている。

再びモップでかき出すも、出てくるのはホコリばかり。
他のお客さんも入店されてきたので

「恐らく、他のお客さんが落としたものだと思うのでどうぞ」

と、わたしはスタッフさんに返却を提案するも

「いえ、それですとレジの金額が合わなくなりますので……」

「こちら、お受け取りください。1円が100倍になったと思って! 」

とありがたい言葉をいただいたのだが、どうにも気がひけた。

「そうですね……」

しばし思案した後わたしは、いい解決策を思いつき、スタッフさんを見た。スタッフさんも同じことを思いついたらしく、笑顔で目が合う。

「募金しましょう!! 」

こうして、ずっと棚下に眠っていた100円玉は、
募金BOXに収まることに。

ほんの小さなミラクル

恥ずかしながら募金されたお金がどんな形で役立つか知らず、その場で調べることに。
「環境をテーマにした社会貢献活動」に役立つようだ。

100円玉も、ホコリだらけの棚下でくすぶっているより大分イイ身の振り方ができたのではないだろうか?

結局1円玉は見つからず、あきらめて帰宅したのだが
帰路はとても清々しい気持ちでいっぱいだった。
いつもは事務的に接するだけのスタッフさんと、つかの間心が通じ合えた。
募金BOXに硬貨を入れるとき、3人とも笑顔だった。

もし朝の通勤時だったら、もし店内が混んでいたら、きっと硬貨を探すこともせず、すぐに店を後にしていただろう。
ほんのささいなタイミング、ハプニングが偶然にかさなって生まれたミラクル。

日常には小さくても心がほっこりするミラクルが存在する。
わたしはそんなミラクルをキャッチできる人でありたい。
そしてそれを楽しめる人でありたい。

------〈了〉------ 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事をお読みいただき、いいなと思っていただけたら「スキ」をいただけるとモチベーションが上がります。ぜひよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?