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初めての結婚式

日曜日に自宅にいたら、都内で一人暮らしの長女から「バッグを忘れちゃったんだけど、今家?」という電話が入った。
今日は、21歳の長女が初めて出席する友人の結婚式だということは知っていた。何とかご祝儀を工面してドレスを買い、今日美容院から結婚式場に向かう予定らしい。

「いいよ。バッグはどこにあるの?駅まで届けてやるよ」

昨年まで一緒に住んでいた長女の部屋に置いたままのバッグ。僕は、クローゼットの一番上にあるプラスチックのケースから、小さ目のチェーンバッグを手にして車で出かけた。
駅前のパルコの駐車場に停めて、1階で待ち合わせてバッグを手渡した。

「ありがとう。あと靴も買わなきゃならないんだよね」

パルコに入っている靴屋で買おうとしているらしく、何となくついていくことにした。

「これいいじゃん」
「ダメ、ヒールが低い」
「何だよ、今履いているのとあまり変わらないじゃん」
3店同行したけど、気に入ったデザインがあってもサイズがない。
「もう、いいや。間に合わない。渋谷で美容院行ったあと、少し時間があるから。ここでは諦める」
「あ、そっ」
「じゃあ」
「お、気を付けてな」
「オッケー!」

エスカレーターの上りと下りに分かれた。

ご祝儀に3万、ドレス1万?靴?美容院?二次会も出るのか?アイツの給料でやばいだろと、無性に心配になってきた。

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