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テニスプロはつらいよ

「テニスプロはつらいよ」(光文社新書)という本を読んだ。初めて知ったテニスプロの天国と地獄。ATPポイントを巡るドラマチックな選手人生。

たとえば、全仏、全英、全米、全豪、言わずと知れた4大大会。
全豪を例に挙げると、シングルスは128人が出場できる。このうちランキング上位の104人は予選免除。主催者推薦枠が8。残る16枠を競う予選が当地で行われる。4大大会はどれも優勝賞金数億円、本選出場で数百万円、予算出場で数十万円、勝ち上がる仕組みもだいたい同様らしい。
世界で戦うプロ選手が「ランキング100位」を目標にする理由はここにある。

この本で、ジュニア時代からの軌跡を紹介されているのは現在日本人で12番目のATPランキングを持つ関口周一選手。

2014年関口選手がATP288位だった時のエピソード。全豪大会のHPで確認すると280位までの選手は確実に予選出場できると知って、彼はエントリーしてメルボルンに向かった。直前に出場を取りやめる選手もいるはずだからという判断だった。現地のオフィスでサインして最終結果を待つ。1人、2人、3人と現地に来ない選手の情報が届いたが結局、あと2人のキャンセルが出ず出場できなかった。

出場すれば3600ドルを手にして指定のホテルに割引で泊まれた。期間中会場内のコートで練習できた。
しかし数百万円に満たない年収から渡航費も滞在費も捻出することになった。

海外転戦といっても、帰国日がわからないから格安券といってもオープンチケットを買う必要があるし、資金的に厳しい選手同士で安宿をシェアするが、自分だけが試合を勝ち残れば宿泊の負担は増して賞金を手にできなければ大出費。
しかしポイントが取得できれば次に繋がるから、多少のリスクは覚悟しなければならない。

巻末に日本のスポーツ選手の競技別年収ランキングが載っていた。
2015年のテニスの賞金額の1位は錦織選手で約3.5億円、2位の添田選手が2千万円ちょっとで、関口選手は9位でなんと170万円。プロ野球の年棒だと1位が6億円で9位が3.5億円、男子ゴルフは1位が4.5億円で9位が6千万円。Jリーグだと1位が1.6億と9位がレッズ槙野選手で8千万。テニスプロの超格差がはっきりとわかる。


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