贅沢な時間

「この雨だからてっきりやらないと思ってたけど、ふくちゃんがメールくれたからさ、好きだよねえ」
 「いやいや、最初送ったのは『今日はどうしますか?』ってやつで、そうしたらハマダさんから即『私は向かいます』って皆に返していたから、そのあとで『フクダも行きます』って送ったんですよ」
 
前夜からも雨で、その日も一日中雨模様の予報だった先週の土曜日朝10時。いつもの芝生広場に50代6人、60代1人の7人の男たちが集まった。
誰かが「こんな天気に集まるのはジジイだけだね」。
同感だ。30歳代の仲間は誰も来ない。

「もうやりましょうよ」とオレ。
水捌けの良さそうな場所を探して、プラスチックのマーカーを置くだけのミニサッカーコートを作る。
最年長が赤のビブスを独断の人選で3人に配る。赤いウインドブレーカーを着た自分を含めて4人のチームだ。

それぞれのスタイルで入念にウォームアップを終えてコートに集まる。
もう15年以上になる週末の遊び場。言わずもがなの段取りでサッカーゲームが始まる。
時に強い雨が頬を打つ。全身びしょ濡れ。それでもオヤジサッカーは熱い。

3人対4人のゲームの3人チームはかなりハードだから、10分インターバルで、最年長がいつも4人側になるようメンバーを変えて5セット、6セットと続ける。

よっしゃあ、
そこ、走らなきゃ!
ボール追わないでヒトをマークしないと!
さながら部活。皆息が荒い。
昼過ぎに雨は上がった。

帰り支度の紅潮顔のオヤジたち。
じゃあ、お先に。
なんとも贅沢な時間だ。

※2015年4月

この記事が参加している募集

#サッカーを語ろう

10,961件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?