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『ビッグ ウェンズデー』

マット、リロイ、ジョンの3人は、カリフォルニアのサーファー仲間。シカゴから越してきたリロイの彼女が言う。
「わたしの故郷では、若いことって大人になるまでの状態だった。でもここでは、すべてなの」
60年代初め、3人は町の多くの若者たちと同じように海とパーティの日々を楽しんでいた。

月日は過ぎ、ベトナム戦争徴兵や、就職などで海から離れていく彼ら。町を離れる者もいる。
戦死した仲間の墓で酒を飲みながら思い出を語り合う。
ずっと、と思っていた時代が、過ぎていく。

70年代半ば。かつて夢見て待っていた、水曜日にやってくるという世界最大級の波“ビッグ・ウェンズデー”が数十年ぶりに来ることがわかった。
かつて3人をサポートしていたボードシェーバーのベアーは、伝説のサーファーと言われたマットに大波用の特製ボードを用意する。

水曜日、妻に見送られ久しぶりに海へ向かうマット。ビーチに着くと、何年も連絡が途絶えていたリロイとジョンも来ていた。そして3人揃って沖へ漕ぎ出していった。

初めて見たのは高校1年生のときだった。
僕の世代には少なからずある漠としたアメリカへの憧れは、この映画が伝える雰囲気だった。
乾いた空気と彼の国の若者たちの破天荒ぶりが羨ましかった。

20年ぐらい前に、幼なじみと共にロスでオープンカーを借りてドライブしたことがあった。国境の町ティファナ(メキシコ)では、映画に出てきた店とそっくりのストリップショーが売りの怪しげなバーへ出かけた。潮風と強い日差しを浴びてフリーウェイを南下すると、どこまでもずっと走って行くような錯覚を覚えた。

気の利いた会話はなく場面転換も雑だが、おおげさに言えばこの映画を見たか見なかったかで後の人生が違うのでは、と感じる。
1978年製作アメリカ映画。

※2015年7月


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