見出し画像

戦争を起こさないためには

20年前に亡くなった祖父はあまり戦争の話をしなかった。
小便も凍る極寒の満州で、手りゅう弾が無くなると石ころを投げたという話ぐらいしか記憶にない。

祖父の誕生日を正しく知らないが、私より60年前に生まれたとして明治37年(1904年)。だとしたら日露戦争開戦の年に生まれ、37歳で真珠湾攻撃を迎えている。

祖父の祖父が同じように60歳離れているとしたら1844年生まれ、もちろん江戸時代だ。

23歳で大政奉還。龍馬暗殺のニュースをどのように知ったのだろう。西南戦争は33歳。1万を超える戦死者が出た内戦の首謀者西郷隆盛をどう見ていたのだろうか。
もちろん彼もちょん髷を結い刀を差し、そして家長として家族を養っていたのだろうか。

彼の時代から現在まで。
庶民の行動手段は徒歩から飛行機まで進化し、火を起こさなくても24時間食にありつけるし、世界中どこにいてもいつでも誰とでも電話で連絡がとれるようになった。

その間わずか150余年。
生き物としての人間が大きく変化するはずの月日ではない。
刀を携えていた当時の人間が、命の重さを今よりずっと軽く思っていたとは信じたくない。

そう考えると一握りの首謀者が扇動する、もしくは意図せずとも湧いてくる危険な空気が恐ろしい。

多くの人は、戦争の必然性など認めないはず。
複数の要因が生み出す空気が、戦争に向かってしまうとしか考えられない。戦争は、争いごとの行きつく先ではない。  

危険な空気に繋がる芽を摘んでいくこと。これしかない。

※2015年8月

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?