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3球目攻撃のデータを物理学視点で見てみる

こんにちは、トモヒトです。

今回は、前回までの3球目攻撃のデータを、物理学の視点で見てみます。

検証方法

ポジションの定義

コート上でのポジションは、前後6行×左右6×2列の72エリアを文字で表しています(例:4C-, 5A-+)。
ポジションを表す文字の変換は、次のルールで行います。

前後のポジション

前後のポジションは最初の数字部分で表しています。
前後に関しては、下のルールで変換する。

1: ネットから3.2m
2: ネットから6.4m(サービスライン上)
3: ベースラインから4.114m前方
4: ベースラインから1.371m前方
5: ベースラインから1m後方
6: ベースラインから2m後方

左右のポジション

A-とD-については、ダブルスサイドラインを基準とします。
A, B, C, Dに関しては、シングルスコートを4分割し、それぞれのラインの中間を基準とします。

基準を決めたら、その次に続く文字が+なら右へ0.5m、-なら左へ0.5mへずらした位置が、左右の位置を表します。

例を挙げると、下図の赤破線はC-のラインを表しています。


検証結果

ケース1(自分: 3B- / 相手: 6B- / 3球目: 4D-)

このケースは、リターンが浅くなり、ベースラインとサービスラインの間のエリア前半分から3球目を打つことができたケースです。

このケースで、真横に動いた場合には約4.7m移動する必要があります。
仮に3球目を1.7mの高さで打つとすると、その地点をショットが通過する時間は、ショットスピードごとにおおよそ以下のようになります。

150km/h: 約0.780s
160km/h: 約0.724s
170km/h: 約0.672s
180km/h: 約0.630s

ショットに対する反応時間を0.2sと仮定すると、必要なフットワークスピードは次のようになります。

150km/h: 約8.12m/s
160km/h: 約8.99m/s
170km/h: 約9.98m/s
180km/h: 約10.86m/s

ゾーン3から高い打点で打つことができれば、相手のポジションが良くても返すのは厳しいと考えられます。
リターナー視点でいえば、リターンの深さは3球目攻撃を防ぐうえでも重要な要素であるといえます。


ケース2(自分: 4B- / 相手: 5B+ / 3球目: 4D-)

ケース1と似ていますが、3球目を打つポジションがベースライン寄りとなっています。
また、合理的待機位置よりはサイド寄りとなっているので、D-ラインにオープンコートがあると考えられます。

このケースで、真横に動いた場合には約5.45m移動する必要があります。

仮に3球目を1.7mの高さで打つとすると、その地点をショットが通過する時間は、ショットスピードごとにおおよそ以下のようになります。

150km/h: 約0.823s
160km/h: 約0.765s
170km/h: 約0.710s
180km/h: 約0.667s

ショットに対する反応時間を0.2sと仮定すると、必要なフットワークスピードは次のようになります。

150km/h: 約8.75m/s
160km/h: 約9.65m/s
170km/h: 約9.65m/s
180km/h: 約11.68m/s

ベースライン内でのショット、かつ合理的待機位置に戻れていないことから、150km/hのショットでも追いつくのが厳しいと考えられます。


ケース3(自分: 6B+ / 相手: 6B- / 3球目: 4D-)

今度は、ベースライン後方2mから3球目を打つケースです。

このケースで、真横に動いた場合には約4.39m移動する必要があります。
仮に3球目を1.7mの高さで打つとすると、その地点をショットが通過する時間は、ショットスピードごとにおおよそ以下のようになります。

150km/h: 約1.083s
160km/h: 約0.993s
170km/h: 約0.931s
180km/h: 約0.868s

ショットに対する反応時間を0.2sと仮定すると、必要なフットワークスピードは次のようになります。

150km/h: 約4.98m/s
160km/h: 約5.54m/s
170km/h: 約6.01m/s
180km/h: 約6.58m/s

ゾーン6からだと、180km/hでも比較的余裕があるように見えます。
このケースでノータッチエースを取る場合、次のような条件が要求されると考えられます。

  • 180km/hより速いショット

  • よりライン際にバウンドするショット

  • 相手のポジションが6B+よりの6B-

いずれにしても、ベースラインの2m後方からエースを狙うのは、難易度が高くリスクの高い選択だと考えられます。


ケース4(自分: 5C+ / 相手: 5C+ / 3球目: 4A+)

今度はアドサイドに両プレーヤーがポジショニングしている状態です。

このケースで、真横に動いた場合には約4.42m移動する必要があります。
仮に3球目を1.7mの高さで打つとすると、その地点をショットが通過する時間は、ショットスピードごとにおおよそ以下のようになります。

150km/h: 約0.931s
160km/h: 約0.861s
170km/h: 約0.806s
180km/h: 約0.756s

ショットに対する反応時間を0.2sと仮定すると、必要なフットワークスピードは次のようになります。

150km/h: 約6.05m/s
160km/h: 約6.69m/s
170km/h: 約7.29m/s
180km/h: 約7.95m/s

ベースラインの1m後方からであれば、160km/hのショットでも対応は十分可能だと考えられます。


ケース5(自分: 4D+ / 相手: 6C+ / 3球目: 3A+)

今度は、今までよりもサイド寄りのポジションから3球目を打つケースを見てみます。

このケースで、真横に動いた場合には約4.44m移動する必要があります。
仮に3球目を1.7mの高さで打つとすると、その地点をショットが通過する時間は、ショットスピードごとにおおよそ以下のようになります。

150km/h: 約1.007s
160km/h: 約0.929s
170km/h: 約0.862s
180km/h: 約0.812s

ショットに対する反応時間を0.2sと仮定すると、必要なフットワークスピードは次のようになります。

150km/h: 約5.51m/s
160km/h: 約6.10m/s
170km/h: 約6.71m/s
180km/h: 約7.26m/s

このケースでは3球目がやや浅いため、比較的時間的余裕はあると考えられます。
このケースでエースを取るには、「よりサイドライン寄りに打つ」か「4A+エリアに近いくらいの深さに打つ」のいずれかは必要と考えられます。


まとめ

今回は、3球目攻撃のデータに対して、物理的な観点での考察をしてみました。

3球目をベースラインの内側で打てるかどうか」は、3球目攻撃が成功率を高める要素として重要だと考えられます。
もちろん、前のポジションからある程度の質を担保したショットを打てることは前提ですが、ベースライン後方からだとリスクを負ったショットを打つか、相手のポジションが崩れていないと3球目でポイントを決めるのは難しいと考えられます。
裏を返せば、相手のリターンが深い場合は、5球目以降の展開を考慮した3球目を打つという戦術のほうが、パーセンテージの観点から効果的だといえます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ご意見ご感想あれば、コメントにお願いします。

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