パターン類似度を使ったパターン分け
こんにちは、トモヒトです。
今回は、パターン類似度を使ったパターン分けに挑戦してみました。
パターン類似度の算出については、下の論文を参考にしています。
Tennis Patterns: Player, Match and Beyond
算出方法
データ収集
自作ツールで、ショットごとに以下のデータを取得します。
何ショット目か
ヒッティングポジション(ショットを打ったポジション)
ショットの種類
サーブ:1stサーブ、2ndサーブ
フォアハンド:フォアハンド、フォアハンドスライス、フォアハンドドロップショット、フォアハンドロブ
バックハンド:バックハンド、バックハンドスライス、バックハンドドロップショット、バックハンドロブ
ネットプレー:ボレー、スマッシュショットスピード(fast、normal、slow)
バウンド地点
ポイント結果(ポイントを獲得したのはサーバーorレシーバー)
ヒッティングポジション、バウンド地点は目視で位置を確認し、コートキャンパス上でポインティング、ショットスピードも主観による判断で実施しています。
パターン類似度の算出方法
ヒッティングポジション、ショットの種類、ショットスピード、バウンド地点の4項目を使用して、パターン類似度を算出しています。
任意のポイントを2つ抽出し、同じショット数同士(サーブ同士、3球目同士など)で項目ごとにスコアをつけます。
その合計点が任意の数値(ここでは0.6 × 4項目=2.4)以上の場合は合計点を、下回る場合は0を「ショット類似度」とします。
また、ショット類似度の合計を計算し、任意の数値(2.4 × 比較ショット数)以上のときは合計点を、下回る場合は0を「パターン類似度」とします。
各項目のスコア設定基準は、以下となります。
ヒッティングポジション
比較ショットでのヒッティングポジション間の距離を計算します。
その距離に応じてスコアを決定します。
ヒッティングポジション間の距離が
=>1m未満:スコアは1
=>1m以上1.5m未満:スコアは0.7
=>1.5m以上2m未満:スコアは0.5
=>2m以上:スコアは0
バウンド地点
比較ショットでのバウンド地点間の距離を計算します。
その距離に応じてスコアを決定します。
バウンド地点間の距離が
=>0.5m未満:スコアは1
=>0.5m以上1m未満:スコアは0.7
=>1m以上1.5m未満:スコアは0.5
=>1.5m以上:スコアは0
ショットの種類
ショットの種類が
=>同じ:スコアは1
=>フォアハンドとフォアハンドスライス、またはバックハンドとバックハンドスライスの組:スコアは0.7
=>上記以外:スコアは0
ショットスピード
ショットスピードが
=>同じ:スコアは1
=>fastとnormal、またはnormalとslowの組:スコアは0.7
=>fastとslowの組:スコアは0
パターン類似度を算出した結果、類似度のスコアが0でないものを「類似パターン」とみなします。
類似パターンの発生頻度が多かったパターン
今回は、2023年ATPツアーファイナルのラウンドロビン J. Sinner vs N. Djokovicの試合を対象に類似パターンを調べてみます。
パターン類似度を3ショット目までで算出し、類似パターンの頻度が多かったパターンをいくつか挙げていきます。
(図は奥側がサーバーです)
デュースサイド
センター寄りのサーブ=>センターへのリターン=>来たコースへそのまま3球目を返す
センター寄りのサーブ=>センター(バックハンド寄り)へのリターン=>オープンコートへ3球目
センターへのサーブ=>センター(バックハンド寄り)へのリターン=>フォアサイドへ3球目
センターへのサーブ=>センター(フォアハンド寄り)へのリターン=>オープンコートへ3球目
ボディへのサーブ=>センターへのリターン=>オープンコートへの3球目
ワイド寄りのサーブ=>センターへのリターン=>オープンコート(センター寄り)への3球目
ボディへのサーブ=>センター(フォアハンド寄り)へのリターン=>オープンコートへの3球目
アドサイド
ボディへのサーブ=>バックサイドへのリターン=>アドサイド(センター寄り)への3球目
センターへのサーブ=>センターへのリターン=>フォアサイドへの3球目
今後の展望
今回は、1試合のみでしたが、様々なプレーヤーを対象に試合数を増やしていくことで、共通するパターンを検出できるのでは?と考えています。
また、各パターンでのポイント獲得率を算出することで、効果的な組み立てがどのようなものか、ショット選択がどうだったかの判断材料にもなると考えています。
あとは、自動でデータ収集できるようにしたいです(精度、処理時間ともに改善したいところ)。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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