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記録 10月7日・面会

10月7日。相変わらず早朝覚醒。

予定より少し早い新幹線に乗る。
すごく久しぶりの新幹線。

普段なら乗りテツ全開で楽しいけど、今日はさすがに気が重い。
どんな変わりはてた姿になっているのかと思うと、それだけでもう泣けてくる。

あーあ、落ち着かないうちに着いちゃった。
いつもならまず駅で一杯。今日はそういうわけにいかないし、病院のシャトルバスの時間まで少し駅前をフラフラ。
ちょっと来ない間に、少しずつ変わっている。
変化は、毎日見てたら気が付かないんだよね。

病院。相変わらずデカい。
場所がわからずうろうろしてたら、親切なおばちゃんが教えてくれる。
たどり着いた入り口で、検温とか問診とか。緊張のせいか気持ち体温高かったw

ナースステーションで受付。追加問診あって、消毒とかビニールグローブとかエプロン(?)とか装着。もっとPCRとかやらされるかと思ったわ。

案内された病室は、そのすぐそばだった。
ICU的な環境を想像してたけど、普通の病室だった。

昏睡してると思ってた父は起きていて。
すぐに私とわかって。よっ、て感じで手を挙げた。
いつも、駅で出迎えてくれるときにやるのと同じ仕草。

バイタルモニターのコードは着いてるし、点滴の管もついてはいるけど、もっと重体というか危篤手前くらいの状態を想像していたから。
顔色含めて思っていたよりもだいぶ状態が良くて、嬉しいほうで泣きそうになった。

私もいつも通りの普通の挨拶をして。たわいない話をいくつかする。
新幹線はまあまあ人がいた、とか
昨日の静岡はまだ30度もあったんだよ、とか。
このポーチ、ランバ・ラルなんだよ、とかw

部屋が明るくて綺麗で良かった。
以前面会に来たときは、古くて暗くて、自分の不安と相まって、とても怖かったから。
光が射し込むだけでだいぶ違う。

話しながら、安堵感が、少しずつ広がる。

見当識障害はあるけど、私もわかる範囲での近年の話だったし、相槌を打てるくらいの内容ならかわいいもんだ。
楽観バイアスをかけたいわけではないけど、とりあえず今は。

そろそろ…と看護師さんに促され。
ほんじゃ帰るね、また来るね、と言って取った父の手が病人の冷たさで。安心できるわけではないこともわかっているけれど。

まだ父はこの世にいる。

帰路の新幹線のことはあまり覚えていない。
気が抜けたんだな。
乗り換えの時にウニ飯を買った。帰ってつまみにするつもりだったけど、思ったよりぜんぜん食べられなかった。
少しだけホッとはしたけど、緊張が解けたわけではないんだと人ごとのように思った。

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