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スペシャル


スペシャル - 平方イコルスン/トーチ/全4巻(2014~2022)

スペシャルっていうヤバい漫画があるらしいよという噂は前々から聞いてたけど今更買って読みました。衝撃。こんなに素晴らしい漫画と出会わせてくれてありがとうという気持ちになった。あの最終話読んで、とにかく貪るように色んな人の感想や考察を漁ったりとか、イフのルートがあるんじゃないかとか作品について考えを巡らせたり、もう二次創作でもいいからとにかくこの世界の続きの話やその可能性を見たいと思わされた作品って今までどれだけあっただろう。元々この前読んだ同作者の短編集、ふたりで木々を(https://note.com/tomoshibi294/n/n41ffc8de9884)に入ってる日常ものギャグマンガと近い空気で読める作品だったのが、だったはずが、崩壊の音が徐々に聞こえてくる。いや、そもそも崩壊したのではなく最初から地続き、全く同じ世界観であるものを、見過ごしていたものを、気づかないふりをしていたものを覆い隠す囲いがどんどんなくなっていったと言った方がいいかもしれない。転校生のハノサヨは何故かいつもヘルメットを被っているクラスメイトの伊賀こもろと出会い、手にしたシャーペンを粉々にしてしまうほどの怪力を持っている不思議な彼女との日常を描いたのが1~2巻。こういうちょっと不思議な女の子と、一癖も二癖もあるクラスメイト達のほんわかした不思議な日常・・・というギャグマンガの色も強い作品。ガソリンが大好きな女の子や豆を食べて平常心を保つ少年とか、学校に高価な家電を毎回持ち込んでくる富豪の娘とか、あと謎の「槍」と呼ばれるどんな怪力でも破壊できない不思議な物体が山の中にあったりする。色々と不可思議で、でも色々とおかしい日常ギャグマンガなんていくらでもあるじゃないですか。そこに真っ当に、こんなに真っすぐ向き合っていった作品って今まで知らなかった。主に学校が舞台になることが多くて田舎なのもあって閉ざされた地方の閉鎖感みたいなちょっと嫌な側面も序盤からチラつく。急にヤバくなったのではなくて、思えば、最初からその形だった。3巻くらいから徐々に露わになっていくのは少しあさりよしとお作品っぽさもあるかも。あと終わり方がヤバい。衝撃すぎた。何気ない日常って突然終わるんだけど、そんな作品いくらでも見てきたが、本当は何気ない日常がいつの間にか終わってたことにすら気づけないんだよな。あまり経験したことのない喪失感があった。読後感がすごすぎる。自分はもしかしたら前評を知らなかったらこの2巻で切っていたかもしれない。序盤は結構ハトポポコの平成生まれとかと同じ感じで読めると思います。できれば前評ゼロで読んでほしい作品だけど、最後まで読み切ってほしいとここまで人に勧めたくなる漫画あんまりないなと思う。

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