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ふたりで木々を


ふたりで木々を - 平方イコルスン/楽園/全1巻(2024)

楽園で連載されてた短編をまとめた平方イコルスンによる短編集。自分の中からじゃ絶対出てこない発想とかちょっとした考えがそのまま物語として昇華されたような不思議な短編が多くて面白い。気難しい女の子がたくさん出てくるけど割と共感できるのが良い。自分自身日記で人に話すでもないような、記憶の反復の中で生まれてくる考えや言葉をばーっと記録に残すのが好きだけど、こういう発露の仕方もあるんだなと結構憧れるものがある。panpanyaみたいな現実とファンタジーの境界が曖昧な、妄想なのか日記なのかわからないエッセイとも形容しがたいあの感じがすごく好きだけど、あの感じと近い読後感があると思う。あとタイトルのつけ方がかっこいい。眼鏡の話で"球形"とか。"脳外不出"も。単行本一冊で短編21話分なのでそれぞれはかなり短いけど、ちょっとした会話につけられてるタイトルからまた色々想像が膨らむ。気難しさを数値化しようとする女子高生二人の"最早"と"偏重"があって(大好き)、これ読んでからそれ以降も面倒くさい女の子しか出てこないし同じように数値化したくなってしまって新しい目線を作者本人によって植え付けられて続きが読めるのが面白かった。淡々としてるわけではないが割とどれも低体温だと思って読んでたけど、後半の"ふたりで木々を"と"かつて"でぶん殴られたような気持ちになった。雑誌に入ってる読み切りとはまた違った、この作品群の中にこの二作が混じっているっていうのが良い。

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