前触れもなく朝起きて突然失神した結果、幸せが増した

今回の話は、個人的なビックリ体験のシェアになります。

まさかこの自分が、こんなことになるなんて、って感じなんですけど、結果的には良かったと思っている話です。

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目覚ましが頭の上で鳴っていることに気がついた私は、いつも通りアラームを止めた。両脇に寝る子どもたちを一瞥して、さっと立ち上がる。

そのまま三、四歩、歩いて寝室のドアに手を掛けながらもう一度子どもたちの姿を振り返った。二人とも明後日の方向を向いているが、いつものこと。ちょっと微笑ましいなと、心の中で笑顔になった。

と、いう所までは、ハッキリと覚えている。

次の瞬間、何か妻に呼ばれている。

「どうしたの？！」
「ゆう、どうしたの？！」
「ねぇ、起きて！」

ん？　あぁ、寝てた？

目を開けると、顔を覗き込む妻。
そして、もう一度、「どうしたの？！」と声をかけられる。

気がつくと、寝室を出て目の前のトイレの扉に肩から上をもたれかけて、廊下で寝ていた。

あれ？　どうした？　なんで？

さっき起きて、歩いたよな？
子どもたちを振り返って見たよな？

あれ？

妻に説明するにも、自分の状況が飲み込めない。最近は疲れを溜め込んでいたという気もないし、酒を飲んでいたわけでもない。

あら？
少し足首が痛いな。捻った感じ。

あぁ、そうか。倒れたのか、俺は。
どう倒れたかは分からないけど、多分その時に捻ったのだろう。

少し身体の様子を感じてみたけど、何も異常は感じない。妻には適当に応えつつ（ごめんなさい）、立ち上がってみる。

やはり足首はほんの少し捻ったみたいだけど、問題ない。立ち上がっても、異常なし。

一瞬、２年前に飲んでいる時に倒れて、頭を打って入院した記憶が蘇る。あれは妻に悪いことをした。心配をかけた。

アレの後遺症か？　今ごろ？

いや、だとしたら痙攣とかする筈だし。その兆候は一切ない。であれば、なんだ？

普通なら人はここで不安に駆られるのだろうか？　
よく分からないけど、私はこれは大丈夫なやつだと直感した。

今日は金曜日。あと１日だけだし、ただデスクワークするだけなら大丈夫。

念のため、階段の手すりを握り締めながらリビングに降りるが、やはーり、何でもない。

その後、仕事の最中も何の異常も感じることなく、１日が過ぎた。家に着く頃には、足首の痛みはなくなっていた。

２年前に倒れた時は、原因が明確には分からず、状況から判断して排尿性失神だとされた。確かに、後輩とサシで飲んでいたから、話の切れ間がなくて不必要にトイレを我慢していた。

我慢して高まった血圧が、排尿により一気に下がることで起きるらしいから、確かに状況に合致した。

でも、今回は排尿前。理屈に合わない。

立ち眩みはたまにある。立ち眩みの時は、だいたい立ち上がると立ち眩むだろうという前触れの感覚があって、「あ、やっぱりキタキタ」となるのが今までのパターン。

でも、今回は、前触れもなく、プッツリと記憶が途絶えている。似た感覚を思い出すのは、内視鏡検査で麻酔をした時。点滴開始まで記憶があるけど、気がつくと検査後だったあの感じ。

ある種の怖さを感じるくらい切れ味のいいプッツリ感。それと同じプッツリ感が、何も無い日常の中に突然訪れた。もはや、怖さを通り過ぎて、不思議だった。

「人体の不思議だね」と、妻に話したら、怒られた。

念のため、土曜日は循環器内科に行ってみたけど、その場では問診だけで、翌週に検査をすることになった。

検査では、胸に心電図計を付けて、24時間心拍を記録した。血液検査もセットで行い、起立時の血圧も測定した。

結果、異常なし。

だよな。

だって、俺、元気だもん。
ここ最近で身体の感覚には結構敏感になったけど、まったく違和感を感じないもん。

となると、何かのサインか？

と、考えてしまうのは、コーチの職業病か。こちらは不治の病ww

でも、ここまで何も異常を感じないと、あれは何だったのかと、ならざるを得ない。

なので、無理矢理意味づけをしてみると、何となく「ちゃんと生きろ」と言われているように思った。

「ちゃんと」というのは、１日１日を大切にということ。

人生、順風でも、何があるか分からない。
子どもの姿に微笑んだ一寸先は闇、ってこともあるよ。そう思え、と言われている気がした。

だから、今この瞬間を大切にしようと、そう思う。

失神から何週間か時間が経ったけど、今のところ死の予兆はない。代わりに、子どもの肌と肌から伝わる体温が今まで以上に愛おしい。

子どもたちが、今のまま、抱きしめられるサイズのままならいいのにと思うけど、失われるからこそ、抱きしめたいと思うのだと思う。

失うことを自覚しないと、今を大切にできないのは、寂しいことだけど、裏腹なのは面白い。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
何かの参考になれば幸いです。
良き時をお過ごしください。
ゆう

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