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7つ目のアオヘリアオゴミムシ新規産地を発見(前編)

アオヘリアオゴミムシ

当noteにて度々登場する絶滅危惧IA類アオヘリアオゴミムシ。

昨晩、アオヘリアオゴミムシを7つ目の新規産地にて発見した。
しかもこのポイントは前例がないほどに局所的に密集している特異な環境だった。

今回のエピソードはそこまで文字数が多いわけでもなく、密度が高いものでもないが、アオヘリアオ採集以外の忙しさがいくつも重なってしまっているため、短めの前後編に分けた記事とさせていただく。



昨年より目星を付けていた某所にようやく訪れる事ができた。Google Mapsにマーキングをした当初から既に10ヶ月以上の月日が経過してしまった。


はじめに訪れたポイントはほとんど何もいなかった。ミイデラゴミムシやセアカヒラタゴミムシばかりだ。アオゴミムシ類そのものがいない。
いくつもの山を越え、数時間かけて運転をして来たが、無駄足だったか…と感じる。
航空写真ではよく分からなかったが、思いの外に水路の構造がよろしくない。三面護岸ばかりだ。
ゴミムシに限らず湿地帯の生物は素掘り水路が存在する環境であれば多様性とその数が増えるが、どこもかしこも三面護岸という状況。
そんな環境でもひょっこりと顔を出す神出鬼没のゴミムシがカエル食のオオキベリアオゴミムシ。今回も突然現れた。

オオキベリアオゴミムシ

里山環境に多いが、里山でなくても出現する。
餌であるカエルが移動してくる範囲であるとはいえ、水田から少し距離がある自宅の裏山や庭を歩いていた時は本当に驚いた。




また、この場所での一歩目を軽い下見にとサンダルで踏み入れた所、そこそこのサイズのカエルが驚いて自分のデニムの中に入り込み、十数回ほど跳ね回った。互いにパニックになってしまった。
すでに帰りたくなる。

デニム内に入り込んだ個体(ヌマガエル?)

ちなみに、湿地帯、特に夜間におけるサンダル散策はマムシ咬傷の事を考えると全くオススメできない。
今回はマムシに注意したつもりだが、カエルに気付けたかったほどの注意力ならば意味は無く、命の危険もあっただろう。


同地域内の別のポイントに向かう。
「いるとするならば、ここかな」と、なんとなく感じた場所に車を停めて降りる。
結果的に今回は予想通りとなったが、そんな事を考えながら外してしまう事の方が遥かに多い。現に何百回と外れている。

その場所は典型的な三面護岸ではあったが、局所的にコンクリートが存在しないポイントがあった。
そうした変化のある場所になんらかの虫が集中している事が多いので、一応確認してからこの場所を後にしようとすると、一歩足を踏み入れた瞬間に3匹のアオヘリアオが散り散りに去っていった。
見紛う事のない前胸の赤が3方向に散っていく。

昨年以降、100匹以上のアオヘリアオを見てきたが、初見のポイントで本種に出会う瞬間は何度経験しても呼吸が止まってしまう。

普段は汚れても構わないようにゴム手袋を装着して採集を行うが、この時は素手のままだった。1つ目のポイントで装着していたゴム手袋は外してしまっていた。

車に戻ってゴム手袋を持ってくるべきかと一瞬だけ悩んだが、気が付いた時にはその手に3匹のアオヘリアオが握り込まれていた。

初見のポイントでアオヘリアオに初遭遇した際にのみ発揮される瞬発力だ。
しかしここでもマムシ咬傷リスクが跳ね上がるため、決してオススメはできない。
アオヘリアオが生息する環境はある程度の生物多様性が保たれているため、マムシの生息する可能性が非常に高い。基本的にはそこにマムシがいるものと考えて行動すべきだろう。
自分もあわやという経験が湿地帯にて幾つもある。

捕獲したアオヘリアオゴミムシ3匹

アオヘリアオが手の中で蠢き続ける。
とりあえずすぐ側にあった空のペットボトル内にアオヘリアオを投入し、手を洗った後に新品のゴム手袋を装置して再び水路に向かった。



後編に続く。


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