見出し画像

オオスズメバチの猛攻


ニホンミツバチの養蜂箱に、凄まじい数のオオスズメバチが集まっていた。

この養蜂箱は庭の一角に親戚が置いている物で、基本的に自分が何か手出しや見回りに来る事はほとんど無い。

先日、羽毛トラップを仕掛けるために久々にこのエリアに立ち寄った際にこの光景を目撃した。


どうやら巣箱にネジを打ち込んだ部分を起点に、オオスズメバチが執拗に木を齧って大穴を開通させてしまったようだ。巣箱の入り口にも執拗に齧られた痕跡が見られる。

スズメバチの巣は木を齧った後に唾液と混ぜ合わせる事でパルプ状の巣材を生成して建築される。その咬合力がミツバチの巣を破壊する際にも使われるとは思っていたが、実際にその様子を目撃するのは初めてだった。

ニホンミツバチの残骸と齧られた入り口

この猛襲にニホンミツバチは蜂球を作る事も叶わないようで、その多くが成す術もなく殺されていた。
スズメバチの数が少ないうちならば対応できただろうが、ここまで大量に押し寄せてしまうと夜が来るのを待つ他ないだろう。


流石にここまで大きな被害が出ていると巣の存続そのものが危うくなるので、ある程度オオスズメバチを追い払った。
少し経つと双翅目昆虫が巣箱に留まっていたが、これは偶然ここに飛来したアメリカミズアブだろうか。



夜間に巣箱を再確認しに行くと、大穴からは生き残ったミツバチの姿が何匹も確認できた。
後に親戚に連絡したので対策や回収が為されるだろう。

やはりネジ周辺を起点に齧られた痕跡が多く見受けられる。



巣穴の前には何匹ものミツバチの亡骸が散乱していた。
夕方には見られなかったこれらは恐らく、オオスズメバチが去った後に生き残ったミツバチ達が巣内の亡骸を外に出したのだろう。
画像を拡大すると、一番左の亡骸に小さなダンゴムシが齧り付いている。

巣前に散乱するミツバチ達の亡骸



今から6年ほど前の今頃には以下のように入口を齧られないための対策が施されていた。

こうでもしないと巣を守る事は難しいのだという事が今回の観察でよく分かった。
野外では巣箱のように好条件の環境は少ないため、オオスズメバチが自由に侵入できてしまうサイズの洞を使わざるを得ない場面も多い。子供の頃に裏山で作られたミツバチの巣などもその例の一つだった。

そこに棲むミツバチ達がどれほど熾烈な生存競争を生き抜いているのかと考えると敬意を払わずにはいられないし、圧倒的強者であるが油断すれば取り囲まれて殺されてしまうような偵察任務に当たるスズメバチにも同様の敬意が生まれる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?