ハイイロゲンゴロウの飛来
特大深型トロ舟ビオトープにハイイロゲンゴロウが泳ぐ姿を目撃した。
きっと付近の湿地から飛来したのだろう。
ハイイロゲンゴロウは移動性が非常に強く、一時的な水溜まりを含む各地の湿地帯を頻繁に移動している。
一晩でビオトープや水田から姿を消してしまう事などはよく聞く話で、都内・池袋駅前の歩道にできた水溜まりでの採集例すらあるほどだ。(内田ら,2020)
そしてそうした小規模かつ限定的な水域にも飛来する影響か、本種はボウフラを好んで捕食する傾向にあり、なんと24時間で200匹のボウフラを捕食した観察例も存在する。(大庭,2011)
蚊は捕食者から逃れるために天敵が少ない小規模な水域や既にボウフラが発生していて天敵が少ない事が保証されている場所に多く産卵するが、ハイイロゲンゴロウはそれを狙い撃ちするかのように移動を繰り返す。
水中での動きもゲンゴロウ類の中でトップクラスに忙しないが、これは驚いて飛び出すボウフラを探すための進化なのだろうか。
今回ビオトープにて確認した個体は前脚に吸盤を持つオスだった。
本種は秋以降、越冬のために比較的安定した止水域へと移動する習性がある。
ビオトープから程近い溜池では冬季に数百匹以上という夥しい数のハイイロゲンゴロウが集まっている様子を観察した事があるので、最終的にはこの個体もその場所へと旅立っていくのだろう。
参考文献
・内田 大貴、岩田 泰幸(2020)
『JR 池袋駅前の路上で確認したハイイロゲンゴロウおよび SNS の反応についての考察』
・大庭 伸也(2011)
『希少種を含む水生昆虫類に関する生態学的研究; 捕食者一被食者の関係から保全と応用を考える』
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