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ノスタルジック・ゲームコーナー
久方ぶりに、とある駅へ向かった。
子供の頃に何度か訪れたきりの場所へ。
噂には聞いていたが、かつて駅ビル内に存在した小さなフードコートは随分前に無くなっていたらしい。
今ではゲームコーナーと化していた。
むしろ、それを見に来た節もある。
そこは完全に子供向けのぬいぐるみばかりが並ぶUFOキャッチャーや、かなり味のあるレトロ筐体がそれぞれ数個並んでおり、正直言って活気とは無縁のスポットとなっていた。
ぬいぐるみの種類はポケモン、ディズニー、アンパンマン等。
駅ビルのゲームコーナーの中でも特に子供に狙いを定めた、かなり保守的なラインナップ。
しかし中にいるポケモンは最新の種類なので、旅館等に置かれているような『ゲームコーナーとして成り立つ最低限度の品揃え』よりは遥かに人流を感じる。
設置場所の規模から見て、『惰性』と言い切ってしまうには少々忍びない程の手の入り方をしていた。
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並ぶ筐体はポップンミュージック、リズム天国、太鼓の達人等。リズム天国て。
平成の残り香が地縛霊の如く、強固に残留している。
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『前前前世』だとか『Candy Pop』だとか『TT』だとか。
太鼓の達人に張り出されている楽曲タイトルも絶妙に懐かしいものばかりだが、画面に映されているタイトルは比較的新しいものが並ぶ。
いかにも年季が入ってそうな風貌の筐体やポップだが、恐らく今放映しているシリーズであろうプリキュアの楽曲や、2023年リリースのポケモンOP『ドキメキダイアリー』がピックアップされているので、筐体のデータ自体は今年の物にアップデートされているのだろう。
以下は今は亡き商業施設のゲームコーナーの画像だが、ここは昨年までは立ち入る事ができた現役のスポットだった。
「嘘だろ!?」と声が出てしまうようなラインナップのゲームコーナーは今もどこかに存在する。
自分は何種かの絶滅危惧昆虫を追い求め、アマチュアながらに研究をする事で生きてきたが、虫よりもこっちの方が簡単に絶滅してしまう存在なので、商業施設巡りの方を優先させる事もかなり多い。
一月先には無くなっているような場所が多すぎる。
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自分が金銭に余裕を持っていたのならば、こういった場を買い取って保全したいという気持ちでそれを実践するだろう。
しかし建物の維持費用等も含めると、一般的な生涯年収をフル投入してもかなり厳しい事は自明だ。
ギリギリ出来る事といえば閉鎖する商業施設から買い取ったこれら筐体を倉庫に並べるくらいだろうが、これらから得られるノスタルジーは、少ないながらも『人流』が存在する場所でなければ生まれない。
ノスタルジーは建物や環境ごと管理しなければ守れないのだ。
力無き一市民からすると、それがどうにも、もどかしい。
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