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準絶滅危惧種トウキョウダルマガエルが自宅ビオトープに複数匹来訪


地元市産動植物のみを使用した湿地帯ビオトープを造成して2ヶ月未満だが、岸際に水草(特に水上葉となったキクモ)が繁茂して、地表がほとんど見られなくなった。また、土の流出もかなり抑えられているようだ。
画像1枚目上方にはクログワイの先端で休息をしているアオモンイトトンボが見切れて写っている。

アオモンイトトンボ

アオモンイトトンボはすっかりビオトープの常連となった。…というかこの個体はここで発生し成虫になったようだ。
来年も再び世代を繋いでくれるだろうか。



そして、ここ1.2週間ほどの間でビオトープには様々な生物が訪れた。


まずはハグロトンボ

ハグロトンボ

このハグロトンボは主に流水環境で発生する。少し離れた河川や用水路で発生した個体がここまで飛来してきたのだと思われる。
この地では特に夏に河川周辺数百メートル範囲の森林へ移動して主な住処とする様子が多く観察される。


各脚に生える棘は獲物を逃さないために発達した物だろう。
ウマオイ等の肉食性バッタにも同じような構造が見られる。
余談だが、ウマオイとツユムシは外見がよく似ている。
しかし、草食性のツユムシには捕食用の棘がほとんど無い。食性の違いが身体構造に大きく影響している顕著な例なので図鑑等で見比べてみると面白いだろう。




台風やゲリラ豪雨の後はビオトープ周辺のシート上に大きな水溜まりができる。
そして稲刈りの時期は水田地帯の多くが陸地化する。
そのため、水場を求めて周辺の水路へと飛翔する水生昆虫が多いが、その中の一部がこの場所に飛来する事もある。

降雨後に発生したシート上の水溜まり
大抵の場合、2.3日で干上がる

今年最も多く見られたのはコシマゲンゴロウだった。
周辺地域では非常に多く見られ、それなりに移動性も高いようだ。

水溜まりに飛来したコシマゲンゴロウ


かなり小さなコガムシのような昆虫も確認した。
ゲンゴロウ類はすぐにビオトープを去ってしまう事が多いが、この虫は冒頭で紹介した湿地帯ビオトープ内に再移動してシャジクモをよく食べている。


そしてヒメゲンゴロウ。
珍しい種類というわけではないが、自宅ではほとんど見た事のない虫だったので発見した際には驚いた。
水田から離れた場所ではあまり見られない印象だが…ビオトープを見つけて気に入ってくれたのだろうか。

ヒメゲンゴロウ
飛翔するヒメゲンゴロウ


湿地帯から離れた場所ではほとんど見られない生き物といえば、台風後に突然トウキョウダルマガエルが庭に生息するようになった事にはヒメゲンゴロウ発見以上の驚きがあった。
居る場所には大量に居るが、環境省カテゴリでは準絶滅危惧種となっている。

トウキョウダルマガエルを遠目に見た様子
トウキョウダルマガエル

水の気配を感じれば立体行動も行うようだ。
ヌマガエルなどは自身の目線より上にあるこの水場に絶対に辿り着けない。

すぐ側に水田があるならまだしも、自宅はそれなりに距離があるはずだが…。勿論、自分がこの場所に逃したという事は絶対に無い。
自宅の立地から見てもこれはかなり不思議な事で、どうやってここまで来たのかが未だに分からない。
大規模な増水が起きた事で三面護岸の側溝に流され、減水後にそこを起点にしてここまで来たのだろうか…。


また、新たにビオトープを造成した際には上記とは別の個体が姿を現した。

ビオトープ造成直後に姿を現した
トウキョウダルマガエル
緑のラインが入っている個体


さらにはプラ舟に水や雑草を入れただけの簡易的なビオトープでもトウキョウダルマを発見した。初めに紹介したものと同一個体だと思われる。
前述の通り、庭で最も多く見られるヌマガエルはわざわざ跳躍して高台の水場を目指すような生態を持たないので、軽いカルチャーショックのような感覚を味わう。

アマガエルのように木登りが得意な訳ではないだろうに、水を認識して飛び乗っているという事なのだろうか。カエルの生態にもかなり多様性があるようだ。



次回はトウキョウダルマガエルと同様の経路で侵入したと思われるウシガエルについての記録と考察。

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