へんなの
私有水田にてアルビノのアマガエルを発見したので持ち帰る。
アルビノ個体は人生で2度目の遭遇だ。
アルビノである事や変態途中でカエルとオタマジャクシの中間の顔付きとなっている事が印象に拍車をかけているのかもしれないが、そもそもカエルという種自体、生物としてあまりにも「へんなの」すぎる。
節足動物でもない生物が短期間の間に活発な活動を続けながら全身の器官を作り変え、著しい変貌を遂げてしまう。
同じ両生類で幼生の構造をある程度維持したまま成熟するサンショウウオなどとは違い、跳躍のために不便な尻尾すらも無くしてしまう。
思えば自分は、カエルの事を脊椎動物の中でトップクラスに特異な進化を遂げた生物だと感じながら生きてきた。
農耕時代に水田で働いていた先人達は自分よりも遥かにカエル及びオタマジャクシを目にしていたと思うが、日夜変貌していくその姿に何を感じ、何を投影していたのだろうか。
ただ、そんな妄想を「水掻きの名残りが残された指」で電子機器に入力し、更には記録撮影した画像を添付して不特定多数が見られる情報通信網に投稿する自分を俯瞰して見ると、カエルよりも「へんなの」に分類される特異さを感じてしまう。
この特異さは自分個人ではなく、インフラを作り上げた先人たちの功績によるものが大きいが…これ以上は猛暑の中で考えるには苦しすぎる哲学の話になりそうなので、やめておく事にした。
せめて冷房と資料が完備された図書館の中で行いたい。
ちなみに、今回発見した個体はアルビノの虚弱性故か発見当時から右半身に水膨れを起こしていたが、カエルの姿となった頃にはそれもすっかり治っているように見えた。
変態による著しい体組織の変化が治癒として働いたのだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?