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水際におけるエンマコオロギの摂食行動及び水中への逃避行動
数日前、新設したトロ舟ビオトープにてシオカラトンボが亡くなっていた。
メスのように見えるが、体全体が柔らかい雰囲気があった事と尾端の形状から羽化後間もない個体のオスであると思われる。
急な大雨が発生した事もあり、落水してしまったのだろうか。
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1日が経過すると、亡骸は赤く色付いていた。
エビ等の甲殻類が死ぬと赤くなる事は有名だが、今回はそれとは異なり亡骸を栄養にセラチア菌が繁殖したケースに見える。
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この菌の仲間は水分を好み、コオロギ等の餌虫を管理している際にも亡骸や水場で繁殖している様子がよく見られる。
セラチアによって虫が亡くなるというより、別の要因で亡くなった(or弱った?)個体を繁殖の場としているような印象だ。
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エンマコオロギ幼虫
さらに翌日にはエンマコオロギの幼虫がシオカラトンボの亡骸を餌にしていた。
比較的大型のタンパク質を独り占めできていたラッキーな個体だが、撮影時に驚かせてしまったために逃走した。
これは申し訳ない事をした。
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しかしエンマコオロギは飛び跳ねる事なく、真っ先に水中へと走り出し、潜水をした。
湿地帯の生物の多くは水中へ潜る事で逃走を図る生態を持つものが多いが、エンマコオロギがそうした行動を起こす事は考えていなかったので少し驚いた。
この潜水は偶発的なものであったと思われるが、生態に由来するかもしれないという仮説の考察を少しだけしてみる。
・湿地が存在しない庭のコオロギに人が近づけば基本的に跳躍を優先した逃走を図っていたが、今回は大型の動物性タンパク質を摂食していた最中であったためにその場から大きく離れてしまう跳躍を優先しなかった事。
・足音や大きな影の動きを伴わず、比較的ストレスの少ない外的刺激であった事。そのために歩行による逃走をした際に偶然、水中へと向かってしまった事。
・水分を多く含む土壌の上であったために、不安定な足場での跳躍を優先しなかった事。
などがすぐに浮かんできたが、コオロギの生態に関する知見をあまり持ち合わせていないのでどれも的外れかもしれない。
しかし数分後には再び陸上へと戻り亡骸を摂食していたので、餌から大きく離れる事を避けるために優先した行動であった可能性は0ではないと考えられる。
そういえば、湿地のコオロギといえば自分の中ではタンボコオロギが確固たる種となっている。
文字通り田んぼや河川敷等の湿地帯を主な生息地とし、卵で冬を越す多くのコオロギとは違い、幼虫のまま越冬を行なって翌年に羽化と繁殖を行うという生態を持つ。
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2023年3月撮影
自分は子供の頃に、春に成虫となったタンボコオロギ成虫を発見して「すごい速さで成長した小さなエンマコオロギだ」「大発見だ」と勘違いしてしまった事を思い出す。
タンボコオロギは完全に湿地帯に依存した生物だが、逃避行動においてもエンマコオロギとの差があったりするのだろうか。
仮にこちらの方が優先的に潜水を行う生態を持っていたら面白いが、そうした場面を見かけた事はないのであまり変わらないのかもしれない。
かつては同種と間違えてしまったタンボコオロギだが、属はエンマコオロギと異なるようだ。
その他、当noteにおけるビオトープ記事に関しては #トモロウ式ビオトープ を参照していただきたい。
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