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〈to'morrow music〉 NEW ARTISTS OF THE MONTH (November 2022)

神様なんていたとしてもろくなヤツではないので、僕は無神論者なのですが、今回ばかりは少し信じたくなってしまいました。物語がすぎるぜ。メッシワールドカップ優勝、本当におめでとうございます。

この写真、今年一番良い写真だ。

今月もプレイリスト〈TO'MORROW MONTHLY〉から国籍 / ジャンルを問わずに特にお気に入りのニューカマーを厳選し紹介していこうと思います!

Beachside Talks (Tokyo / Japan)

東京を拠点に活動中のドリームポップ / インディーポップ・バンド、Beachside talks。2017年に大学の軽音サークルで結成された4人組で、海外インディーファンにとって2023年一番注目してほしい日本のニューカマーバンド。これまでにDIIVを中心にNo VacationYumi Zouma辺りからの影響を感じさせるドリームポップな楽曲「海辺の話」とThe Cureからの影響を感じさせるイントロからスタートさせるこの「Always」という全体的にはThe Pains of Being Pure at HeartHomecomingsが好きな人に刺さるであろうギターポップ&ネオアコな2曲がリリースされている。どちらもキャッチーで人懐っこいメロディー+日本語でリリックが書かれているのが最高で、For Tracy Hydeとかにも通じるメロディーメイカーとしての素晴らしさが既にこの2曲から伝わってくる。海外インディーサウンドに影響を受けつつも、メロディーも最高な日本のバンドってあんまりいないので、本当に貴重で超最高!

cruush (Manchester / UK)

マンチェスターを拠点に活動中の4人組バンド、cruushはバンド名の通り何かをクラッシュするようなオルタナティブ〜シューゲイズな轟音ノイズを鳴らすバンド。どこかSoft Blue Shimmerとかにも近いヴォーカルワークと彼らよりもオルタナティブよりのヘヴィーなサウンドが特徴的だけど、楽曲毎に聞いていくと、DIIVの3rdとも通じる部分もあるし、ダブリンのJust Mustardのような佇まいも感じることができるし、どこかPale Wavesっぽさもあるのが面白い。US/UK関係なくこの手のサウンドが好きな人にはチェックしてほしいし、リリースを重ねるごとに新たな表情を出しているのでまだまだ何か隠し持っていそう!

mui zyu (London / UK)

アイルランド生まれだがHong Kongにルーツを持ち、ロンドンを拠点に活動中の3人組、Dama Scoutのフロントパーソンとしても知られているEva Liuによるソロプロジェクト、mui zyu。このソロ名義”mui zyu”ではドリーミーでアートポップの要素を持つ中毒性の高い音像を同じくアジアをルーツに持つMitskiとかにも通じる彼女の持つ温もりのあるヴォーカルで歌い上げるスタイル。来年の2月にリリースを控えるデビューアルバム『Rotten Bun for an Eggless Century』のアートワークからも伺えるように、自分自身のHong Kongや中国からのルーツを大事にした自身のアイデンティティやそれによる体験を元に制作された魅惑的でディープなシンセポップ。

Orlando (London / UK)

ロンドンを拠点に活動中のSSW / プロデューサー、Orlando。一度聞いたら忘れることができない甘さと癖を両立したヴォーカルを武器にRex Orange County辺りを彷彿させるインディー&R&Bをミックスしたベッドルーム・ポップを鳴らすアーティスト。どこか花畑を想像させる明るくて愉快なシンセサウンドの使い方とかポップに跳ねるリリックのリズム感とかも素敵だし、mazieとかにも感じさせるカラフルな要素も持ち合わせていると思う。でも何よりやっぱりヘナヘナとしたヴォーカルが最高で、近所の友達が歌っているかのような安心感があるし、普通だったら緩すぎるだろって感じるであろうリズムもこの歌声にマッチしていま。

Ribbon Stage (New York / USA)

NYを拠点に活動中のインディートリオ、Ribbon Stage。このRibbon Stage程にEAST COASTの良さとWEST COASTの良さを合わせ持ってるバンドはいるのだろうか?というくらいにバランスが素晴らしいし、そこら辺にいそうに見えて全然今までいなかった所を突いてきている絶妙なバンドだと思う。ローファイで緩い音作りを軸にしたガレージっぽい事もやるけど、その音像のままBrooklynの変化球のアートロックや少しポストパンクとかのような方向性からの影響も感じさせる楽曲でも同時に勝負してくるの面白い。メンバーの3人はノイズポップを敬愛しているそうで、その辺りの影響も確かに感じることができるし、この感じが絶妙に懐かしさもあるけど、新しさも突いてきている。2020年代のムードを吸い込んだThe Courtneysになってほしい。

SOMOH (London / UK)

僕も大好きなFar Caspianのアルバム『Ways To Get Out』に参加していた謎のシンガーの正体が判明!ロンドンを拠点に活動中の20歳のSSW、SOMOHはSoccer MommySamiabeabadoobee辺りのインディーポップを彷彿させる最新曲「Anything」をリリースしていてコレが本当に最高。これまでにリリースされた他の2曲はもう少し暗くてフォーキーな楽曲でJulien Bakerとかが好きな人に刺さりそうです。どちらにしても美しいヴォーカルを武器にシンプルでメロディーを武器にできる楽曲を鳴らしていてコレはかなり期待ができるソングライターがまた出てきた感じがしますね。

two blinks, i love you (Liverpool / UK)

元々はpizzagirlとして活動していたUKのSSW、Liam Brownによる新プロジェクト、two blinks, i love you。まだ1曲しか公開されていませんが、その公開されている「i love you」という楽曲ではAlex Gを彷彿させるような少し憂鬱さもあるヴォーカルと彼の得意のインディーローファイなサウンドを組み合わせている。間奏とかはHovvdyを彷彿させるし、一気に今まで彼の作る音楽からは特に感じ無かったUSインディー色が強まった印象がありますね。pizzagirlという結構長い間やっていたプロジェクトを終えて心機一転スタートさせただけの変化はあると思うし、これからが楽しみです。

Ugly (Cambridge / UK)

UKはケンブリッジを拠点に活動中のバンド、Ugly。2017年くらいからリリースするシングルはどれも素晴らしく、UKポストパンク系統が好きな人たちにとっては既にお馴染みのバンドだと思うし、Sport Teamを筆頭に彼らのことを称賛していたりと、UKシーンの中でも注目されているバンドの一つだと思う。しかしこれまではメンバーの脱退などもあり、中々表に出てくる機会が少なかったバンドだ。けれど2023年のUKインディーシーンはいよいよUglyの年になりそうだ。Black Country, New RoadのメンバーとクラスメイトだったフロントマンのSamuel Goaterを中心に構成されたUglyは現在の6人に。この構成でリリースされた楽曲はイングランドの歴史を感じさせる少し懐かしい部分を取り入れたインディーロックで、まさにBlack Country, New Roadを更にダウナーにしたような楽曲「I'm Happy You're Here」。そしてバンド唯一の女性メンバーであるJasmineがマイクを握った「Sha」ではポストパンクの気怠い要素にDirty Projecters辺りのナチュラルな部分を足したまた新しい1面を見せている。

Ultracrush (Sydney / Australia)

シドニーを拠点に活動中の5人組のインディーロック・バンド、Ultracrushがリリースした最新曲「Bruise」はとにかく心地良く優しいインディーロックでHovvdy辺りのアーティストが好きな人にマストチェックしてほしい楽曲に仕上がっている。元々は今年以前にリリースしていたシングル曲ではSwimming Tapes辺りに近いドリームポップも混ぜ込んだインディーサウンドを鳴らしていたのだけど、恐らく次のアルバムに収録されるであろう楽曲はオージーから〈Double Double Whammy〉に所属するバンドが出てきたかのような暖かさを感じることができる。少しレトロな懐かしさとそよ風が吹いたあとのような少しの空白とかを楽曲の中に埋め込むのも上手い。

zuni (Tokyo / Japan)

2022年の最後に登場した大注目ベッドルーム・アーティスト、zuni。デビュー曲として公開された「Blue berry tired」はオモチャ箱から飛び出してきたかのようなカラフルな世界観を土台にしているけど、実はその世界観の中にはトゲトゲとしたサボテンがそこら中に置いてあるかのようなオルタナティブな仕掛けがたくさん施されているのが面白い。邦楽も洋楽も関係ないキャッチーさを軸にしていて、SuperorganismとかmazieとかラッパーだけどPaydayとかに近しいモノを感じる楽曲で素晴らしいなと思っていたら、2曲目にリリースされた「JAGUAR」はまた全然違う感じ。どちらにしてもユニークで一度聞いたら耳から離れないタイプの中毒性を持ち合わせていると思うし、全部で6曲シングルを公開する予定があるとのこと。その6曲でzuniというアーティストを理解できるようになるかもしれないし、逆に全くわからなくなるかもしれない。

 上記で紹介したアーティストを含めたマンスリープレイリスト〈TO'MORROW MONTHLY〉も公開してます!

僕が運営している洋楽専門のオンラインレコードショップ〈to'morrow records〉もチェックしてみてください!

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1月26日(木)に下北沢SPREADにて「Humanity #5」というウクライナ難民へのドネーションを目的としたイベントを開催するので、良かったらチェックしてください。

出演はblack boboiやMillennium Paradeのメンバーとしても活躍し、独自のオルタナティブを持った実験的でユートピアのような世界観を持ったエレクトロニックなサウンドを渦のように広げていき、夢と現実の間を駆け巡るよな魅力的な音楽旅行を提供するermhoi。

最新作『春火燎原』が本当に素晴らしくて〈SPIN〉の年間ベストに選出され、Pichforkでは8.0の高得点を獲得。実験的でありつつも爆発力のあるアートパンクなサウンドと社会へのメッセージを叫んだリリックが評価され、世界から注目を集める日本代表するアーティストの一人、春ねむり。

上記の2人によるロングセットの2マンライブが体験できる他、エレポップからノイズミュージックまでを奏でるアーティストとして活躍する一方で、DJとしても様々なシーンで活躍中で〈Boiler Room〉にも出演したテンテンコが参加してくれます。

ermhoi

春ねむり

テンテンコ

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ライブハウスでの飲み代になります! Cheers!!!