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いい音爆音アワー vol.153 “桃弦境”はどこにある?♪

2024年7月17日(水)@ニュー風知空知

 ストリングス・セクションというのは、弦楽器が複数集まった「弦楽合奏楽団」のことですけど、まあ、最小編成がカルテット、いわゆる「弦カル」ってやつで、1st violin / 2nd violin / viola / celloが一人ずつですね。第1も第2もviolinは同じ楽器なんですけど、なんかそう分ける。あとはその4種の人数が増えるほど、まあリッチな音になる。ポップミュージックのレコーディングでよく使われるのは1st violin=6 / 2nd violin=4 / viola=2 / cello=2、で、「6422」なんて呼びます。あるいはさらにcontrabass=2が加わって、「64222」というのも多かったです。

昔の歌謡曲にはストリングスとブラスがお決まりのように入っていましたが、これはまあサウンドが寂しくないようにという程度の扱いで、たいていアレンジも特に面白くはなかったんで、シンセが出てきて、似たような音が出せるようになると、経費削減できるというので、一時、生ストリングスを使うことがかなり減ったと思います。

でもやはり、その音には他のものには替えられない魅力があります。デジタルとコンピューターでほぼ何でもできるようになった以降も、コンスタントに使われますし、今はかえってアレンジに工夫を凝らしたカッコいいストリングスの使い方が多くなってきているような気がします。

今回は主にロック系の曲で、ストリングスが効果的に使われている作品を、古いものから新しいものまでいろいろ聴いていきました。

①T. Rex「Cosmic Dancer」

"T. Rex"になってから2枚目、"Tyrannosaurus Rex"時代から数えると6枚目のアルバム『Electric Warrior(電気の武者)』は世界最初のグラムロック・アルバムと言われています。
グラムロック自体は一過性のブームで、75年くらいには下火になってしまうのですが、T. Rexのサウンドは、なんかむしろ時を経るとともに、いいなーと感じるようになってきました。要因としてはマーク・ボランの個性的な歌唱とカッコいいギターリフはもちろんですが、当時としては斬新だった、ロックにストリングスを合わせるというアレンジも大きいと思います。ストリングス・アレンジはプロデューサーのトニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)が担当していました。

2nd アルバム『Electric Warrior(電気の武者)』(1971年9月24日発売)収録作詞・作曲:Marc Bolan/プロデュース:Tony Visconti
レーベル:Fly (UK) / Reprise (US)
アルバムは全英(通算8週)1位(初)、全米32位

 *ストリングス編曲:Tony Visconti

・T. Rex>Marc Bolan: vocals, guitar / Mickey Finn: congas, bongos, vocals / Steve Currie: bass / Bill Legend: drums, tambourine
・additional musicians>Howard Kaylan: backing vocals / Mark Volman: backing vocals / Rick Wakeman: keyboards on "Get It On" / Ian McDonald: sax / Burt Collins: flugelhorn
・engineer: Roy Thomas Baker

②Stories「Brother Louie」

アーティスト名は知らなくても曲は知っていると思います。こちらはカバーで、オリジナルはUKのソウル・バンド"Hot Chocolate"が1973年の初めに出しました。それを半年後にカバーしたのが、この"Stories"というニューヨークのバンド。見事全米1位に輝いたのですが、このバンドは1972年結成、73年解散という短命で、ヒットはこの曲だけでした。
「ルイ・ルイ・ルイ・ルア」というサビは有名ですね。Hot Chocolateのオリジナルは「ルイー・ルイ・ルア」だけなので、やはり「ルイ」の3度押しの方が耳に残ります。この違いが売上の差につながったかなと思います。
ストリングスはあまり印象なかったのですがしっかり入っていて、ギターソロを繰り返すような感じです。こういう使い方は変わってますね。あと、ベースがだんだん動きが激しくなっていって、面白いです。

5th シングル(1973年6月30日発売)
2nd アルバム『About Us』(1973年発売)収録
作詞・作曲:Errol Brown, Tony Wilson/プロデュース:Kenny Kerner, Richie Wise
レーベル:Kama Sutra
全米1位 アルバムは全米29位

*ストリングス編曲者、演奏者は不明

・vocal: Ian Lloyd
・bass: Kenny Aaronson(73年、一時メンバーになるが、この時はまだゲスト)


ストーリーズ:
Ian Lloyd(本名:Lloyd Buonconsiglio / bass,. vocal / 1947年、Seattle生まれ)
Michael Brown(本名:Michael Lookofsky / keyboards / 1949年4月25日、Brooklyn生まれ)
ロイドとブラウンの二人は、それぞれの父親、Peter BuonconsiglioとHarry Lookofskyが共にセッション・バイオリニストとして長年活動してきた古い友人同士だった。
1972年、二人はビートルズ的なバンドをつくりたいと考え、ニューヨーカーのSteve LoveとBrian Madeyを誘い、Kama Sutra Recordsと契約する。
 同年、1st アルバム『Stories』をリリース。シングル「I'm Coming Home」は全米42位に。
1973年、Eddie Kramerのプロデュースにより、2nd アルバム『About Us』をリリース。
 ブラウンがバンドを抜ける。
 同年初めに"Hot Chocolate"がリリースした「Brother Louie」という曲をカバー、バンドの5th シングルとしてリリースすると、全米1位の大ヒットに。
 アルバム『About Us』に「Brother Louie」を収録して再発売、全米29位まで上がる。
 同年、3rd アルバム『Traveling Underground』リリース。
 ロイドも脱退。

③Sly and the Family Stone「Time for Livin'」

“スライ&ファミリーストーン”の7枚目のアルバム、『Small Talk』。ファミリーストーンというバンドとしてはこれが最後のアルバムです。ストリングスが多用されているアルバムですが、ごちゃごちゃしていて、人間臭くて、すごくファンキーというスライのサウンドは相変わらずナイスです。
「Time for Livin'」はアルバムからの第1弾シングル・カット。ストリングス・アレンジはエド・ボーガス(Ed Bogas)という人です。

 第1弾シングル(1974年発売)
7th アルバム『Small Talk』(1974年7月発売)収録
作詞・作曲:Sylvester "Sly Stone" Stewart/プロデュース:Sly Stone
レーベル:Epic
全米32位、R&B 10位 アルバムは全米15位、オリコン200位

 *ストリングス編曲:Ed Bogas
violin: Sid Page

・cover photography: Norman Seeff 写真はスライと当時の妻キャスリーン(Kathleen Silva)と二人の子供(Sylvester Jr.)
・Freddie Stone: bv, guitar / Rose Stone: bv, piano, keyboards / Cynthia Robinson: trumpet / Jerry Martini, Pat Rizzo: saxophone / Rusty Allen: bass / Andy Newmark, Bill Lordan: drums
・Family Stoneはこのアルバムのあと、1975年1月に解散。

④George Benson「Breezin'」

デビュー年齢はマイケル・ジャクソンの9歳、スティーヴィー・ワンダーの11歳に並ぶ10歳というジョージ・ベンソンなんですが、プロを目指したのはなんと3歳という情報がありまして、私が知ってる限り最も早い。ただ、マイケルとスティーヴィーがすぐに売れたのに対し、ベンソンがブレイクしたのは15枚目のアルバム『Breezin'』、1976年3月発売で、もう33歳になっていました。このアルバムからレコード会社を移籍して、それまでのCTIというジャズ専門レーベルからWarner Bros.に移り、プロデュースをトミー・リピューマ(Tommy LiPuma)に依頼して、音楽性もかなりポップ寄りになると、それまでのアルバムはポップチャートでは最高51位だったのが、いきなり1位に。
ストリングスを含めアレンジを、クラウス・オガーマン(Claus Ogerman)というドイツ出身で20世紀最大の編曲家の一人とされる音楽家が手掛けています。この人のストリングスは動きは少ないのですが、すごい広がりを感じます。

第2弾シングル(1976年9月発売)
15th アルバム『Breezin'』(1976年3月19日発売)収録
作曲: Bobby Womack/編曲:Claus Ogerman/プロデュース:Tommy LiPuma
レーベル:Warner Bros.
全米63位、Easy Listening 13位 アルバムは全米1位、R&B 1位

 *ストリングス編曲:Claus Ogerman

・エンジニア:Al Schmitt
・bass, rhythm guitar: Phil Upchurch / drums: Harvey Mason / flute: Bennie Maupin / e-piano,  keyboards: Ronnie Foster / percussion: Ralph MacDonald / piano, clavinet: Jorge Dalto
・1977年第19回グラミー賞で、アルバムは「Best Pop Instrumental Performance」と「Best Engineered Album, Non-Classical」を受賞、「Album of the Year」にノミネート。シングル「This Masquerade」は「Record of the Year」を受賞、「Song of the Year」にノミネート。

⑤RCサクセション「うわの空」

「うわの空」は1976年リリースのRCサクセションの3rd アルバム『シングル・マン』に収録。74年に制作したのに、事務所とのゴタゴタで、76年4月にやっと発売したこのアルバムは、売れなくて1年も経たずに廃盤。79年に再発売運動が起こって、限定発売したら1,500枚があっという間に売れたので、80年に正式再発売した、というのは有名な話。
このアルバムにはクレジットはないけど“Tower of Power”が参加していますが、やはりクレジット無しで“New York Philharmonic Orchestra”も参加しています。74年に来日した時にお願いしたみたい。アレンジは全体のアレンジをしている星勝ホシカツさんらしいですが、とてもリッチな感じのサウンドになっていると思います。

3rd アルバム『シングル・マン』(1976年4月21日発売)収録
作詞:忌野清志郎/作曲:肝沢幅一/編曲:星勝 & RCサクセション/プロデュース:多賀英典
レーベル:ポリドール
アルバムはオリコン79位

 

*ストリングス編曲:星勝
strings: New York Philharmonic Orchestra

・”NYPO”は1974年、来日している。指揮はピエール・ブーレーズPierre Boulez。クレジットはなし
・”Tower of Power”もたまたま1974年に来日していた時に参加してもらった。クレジットはなし。
・1974年に制作、1976年、RCが「りぼん」に移籍、レコード会社もポリドールに移り、やっと発売に至ったが、1年も経たないうちに廃盤。1979年になり、音楽評論家の吉見佑子を中心に「シングル・マン再発売実行委員会」が設立され、限定300枚買上げという形でやっと再発売が実現、青山のパイドパイパーハウスと国立のレコード・プラントでのみ発売されるが、1,500枚まで売り上げ、1980年に正式に再発売となる。


忌野清志郎:
1951年4月2日 - 2009年5月2日 東京都中野区生まれ
1970年、”RCサクセション”、「宝くじは買わない」で東芝音楽工業よりデビュー。
1991年、”RCサクセション”解散。
2009年5月2日0時51分、癌性リンパ管症にて死去。満58歳没。

⑥Jamiroquai「Cosmic Girl」

「Cosmic Girl」は、ジャミロクワイの中で最も売れた、また世界で最も売れたファンクアルバムとしてギネスに登録されたという3rd アルバム『Travelling Without Moving(トラベリング・ウィズアウト・ムービング 〜ジャミロクワイと旅に出よう〜)』からの第3弾シングル。このアルバムではけっこうストリングスが活躍しています。先程はニューヨーク・フィル、こちらは"London Philharmonic Orchestra"が演奏していて、弦アレンジはサイモン・ヘイル(Simon Hale)(この人もイギリス人)、第1バイオリンはギャヴィン・ライト(Gavyn Wright)(この人もイギリス人、"Penguin Cafe Orchestra"のメンバー、弦アレンジでも活躍)です。 

第3弾シングル(1996年11月25日発売)
3rd アルバム『Travelling Without Moving(トラベリング・ウィズアウト・ムービング 〜ジャミロクワイと旅に出よう〜)』(1996年8月28日発売)収録
作詞・作曲:Jay Kay, Derrick McKenzie/プロデュース:Rick Pope
レーベル:Sony Soho Square (UK) / Work (US)
全英6位、英Club 1位、全米Club 7位 アルバムは全英2位、全米24位、オリコン6位

*ストリングス編曲:Simon Hale
strings: Gavyn Wright and the London Philharmonic Orchestra

・全世界で800万枚(日本で140万枚)売り上げ、世界で最も売れたファンクアルバムとしてギネス登録された。
・Derrick McKenzieは“Jamiroquai”のメンバーでドラマー


 サイモン・ヘイル:
1964年、Birmingham, England生まれ
Jamiroquai, Björk, BT, Duncan Sheik, Madness, Incognito, Supergrass, The Beautiful South, George Benson, Josh Groban, Charlotte Church, Robin Gibbらのレコードにアレンジャーとして参加

⑦スガシカオ「午後のパレード」

先程のJamiroquai「Cosmic Girl」の弦アレンジをしたサイモン・ヘイルが、スガシカオの21枚目のシングル「午後のパレード」でも弦をアレンジしています。こちらの演奏は"The London Session Orchestra"、ギャヴィン・ライトはこのオケのメンバーでもあるので、クレジットはありませんが、彼もいると思います。ドラムを屋敷豪太がやっていまして、彼がジャミロクアイの関係者と親しかったので、サイモンに直接電話で依頼したそうです。弦だけロンドンへ録音しに行ったのかと思ったら、「iChat」で通信しながらロンドンで録音したものを東京へ送って、オーバーダビングしたそうです。
シングルと同日に、これを収録したアルバム『PARADE』もリリースされました。

21st シングル(2006年9月6日発売)
7th アルバム『PARADE』(2006年9月6日発売)収録
作詞・作曲:スガシカオ
レーベル:オーガスタレコード
オリコン23位 アルバムはオリコン3位

 *ストリングス編曲:Simon Hale
strings: The London Session Orchestra

 ・屋敷豪太:drums / 有賀啓雄:bass

⑧ショコラ「もうひとつの雨〜one too many rain」

実は9年前にもストリングス特集をやったのですが、その時と今回で唯一重なっている曲がこれです。それくらい私の印象に残っていて……。自分の知るかぎり、ストリングスがバランス的にもっともでかい作品だと思います。
ショコラという渋谷系の女性シンガー。"Great 3"の片寄明人と夫婦で、今は"Chocolat & Akito"というユニットで活動しているようです。
そのショコラの1st アルバム『one too many Chocolat』からの先行シングルがこの「もうひとつの雨〜one too many rain」です。
弦アレンジは美島豊明(本職はプログラマーらしい)、演奏は“金原千恵子ストリングス”です。

5th シングル(1998年5月21日発売)
1st アルバム『one too many Chocolat』(1998年5月30日発売)収録
作詞:ショコラ/作曲・編曲:神田朋樹
レーベル:NeOSITE DISCS(エピックレコードジャパン)
アルバムはオリコン30位

 *ストリングス編曲:美島豊明
strings: 金原千恵子ストリングス

⑨Carpenters「Lovelines」

カーペンターズの「Lovelines」という曲が、最初に発表されたのは13枚目のアルバム『Lovelines(愛の軌跡〜ラヴラインズ)』ですが、発売日が1989年10月で、カレン・カーペンターの死後6年目です。実はこの曲は1980年に、フィル・ラモーンのプロデュースでつくったカレンのソロ・アルバムのうちの1曲なんですが、リチャードとA&Mの反対でお蔵入りになっていたのを、4曲だけリチャードがリミックスして、このアルバムに入れて発売しました。他の曲はカーペンターズの未発表カバーソング。で、結局ファンの要望で、ソロ・アルバム全体は1996年になって『Karen Carpenter(遠い初恋)』として発売されます。
というわけで、この曲の演奏にはリチャードは参加しておらず、曲とアレンジはロッド・テンパートン(Rod Temperton)、弦アレンジはフュージョン・キーボーディストとして有名なボブ・ジェームズ(Bob James)が担当しています。

13th アルバム『Lovelines(愛の軌跡〜ラヴラインズ)』(1989年10月31日発売)収録
作詞・作曲:Rod Temperton/プロデュース:Phil Ramone
レーベル:A&M
アルバムは全英73位(米日ではチャートインせず)

 *ストリングス編曲:Bob James

・カーペンターズのデビュー20周年記念。カレンの死(1983年)後3枚目のアルバム
・Greg Phillinganes: keyboards, keyboard solo / Bob James: keyboards, orchestration / Rod Temperton: arrangements, vocal arrangements

⑩Marina and the Diamonds「The State of Dreaming」

“マリーナさんとダイアモンズというバンド”ということではなく、"Marina and the Diamonds"というアーティストネームのSSWです。本名はMarina Diamandis、2018年からはand以下をとって、シンプルに"Marina"となりましたが、そんな名前をつけるくらいですから、ちょっと音楽や歌い方もひねくれていまして、そんなところが私は好きです。1985年にウェールズで生まれましたが、お父さんはギリシャ人。本人も16歳から18歳までギリシャで暮らして、ギリシャ語も話せるそうです。そんなギリシャのセンスが音楽にも入っているのかもしれませんね。
「The State of Dreaming」は彼女の2nd アルバム『Electra Heart』から。デイヴィッド・キャンベル(David Campbell)(Beckの実父)が弦アレンジをしています。

2nd アルバム『Electra Heart』(2012年4月27日発売)収録
作詞・作曲:Marina Diamandis, Devrim Karaoğlu, Rick Nowels/プロデュースRick Nowels, Devrim Karaoğlu
レーベル:679 Artists (UK) / Atlantic (US)
アルバムは全英1位、全米31位

 *ストリングス編曲:David Campbell

 ・Devrim Karaoğlu: keyboards, drums, programming, strings / Rick Nowels: keyboards, piano / Dean Reid: electric guitar / Rusty Anderson: electric guitar / Tim Pierce: electric guitar 

⑪星野源「恋」

星野源が大ブレイクした「恋」です。9枚目のシングルで2016年10月発売。自ら主演したTBS系テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌で、ドラマも大当たりでしたね。
彼は他の曲でもけっこうストリングスを使っていますが、この曲のストリングスはギターの速弾きみたいなフレーズも出てきて、演奏テクニックもすごいなと思います。アレンジは星野源本人とバイオリン奏者の岡村美央、演奏は岡村美央が率いる“岡村美央ストリングス”です。

9th シングル(2016年10月5日発売)
5th アルバム『POP VIRUS』(2018年12月19日発売)収録
作詞・作曲・編曲・プロデュース:星野源
レーベル:SPEEDSTAR RECORDS (Victor Entertainment)
Billboard Japan Hot 100(7週連続・計11週)1位(2016年年間3位/17年1位)アルバムはBillboard Japan Hot Albums 4週連続1位、2019年年間1位

 *ストリングス編曲:星野源&岡村美央
strings: 岡村美央ストリングス

岡村美央・伊能 修・加藤玲名・城戸貴代:1st Violin/杉野裕・下川美帆:2nd Violin/菊地幹代・舘泉礼一:Viola/笠原あやの・村中俊之・増本麻理:Cello

・河村"カースケ"智康:drums, percussion / ハマ・オカモト:bass / 伊賀航:bass / 小林創:piano / 長岡亮介:guitar

⑫Official髭男dism「イエスタデイ」

“ヒゲダン”にもストリングスがとてもカッコいい曲があります。「イエスタデイ」という曲で、2ndアルバム『Traveler』から先行配信されました。
蔦谷好位置さんがストリングスも含めアレンジを担当しています。この人のアレンジは、スケールの大きさと繊細さを兼ね備えていて、とてもいいと思います。演奏は“門脇大輔ストリングス”。この人もバイオリン奏者ですね。

先行配信(2019年9月11日発売)
2nd アルバム『Traveler』(2019年10月9日発売)
作詞・作曲:藤原聡/編曲:蔦谷好位置 & Official髭男dism/プロデュース:蔦谷好位置
レーベル:ポニー・キャニオン
Billboard Japan Hot 100 2位 アルバムはBillboard Japan Hot Albums 1位、オリコン1位

*ストリングス編曲:蔦谷好位置
strings: 門脇大輔ストリングス


オフィシャル・ヒゲ・ダンディズム:
藤原聡:vocal, keyboards 1991年8月19日、鳥取県米子市生まれ
小笹大輔:guitar 1994年1月6日、島根県松江市生まれ
楢﨑誠:bass, sax 1989年3月18日、広島県福山市生まれ
松浦匡希:drums 1993年1月22日、鳥取県米子市生まれ

2012年6月7日、藤原聡が、島根大学軽音楽部の先輩だった楢﨑誠、後輩だった松浦匡希、学外で仲が良かった小笹大輔に声をかけて、バンド結成。
2015年4月22日、Lastrumレーベルより、1st ミニアルバム『ラブとピースは君の中』をリリース。
2018年4月11日、Lastrumより1st フルアルバム『エスカパレード』、およびポニーキャニオンより、1st シングル「ノーダウト」を同時リリース。
2019年5月15日、2nd シングル「Pretender」をリリース。映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」の主題歌。
・・・

⑬やくしまるえつこメトロオーケストラ「僕の存在証明」

“相対性理論”のやくしまるえつこ。「僕の存在証明」は現時点での最新シングルで、2022年4月に配信スタート。“やくしまるえつこメトロオーケストラ”名義は、2011年10月発売のシングル「ノルニル/少年よ我に帰れ」以来で、オーケストラっていうくらいなのでストリングスが入っているのですが、曲によって、演奏グループは違います。この「僕の存在証明」では“須原杏ストリングス”というグループが演奏。須原杏もバイオリン奏者です。弦アレンジは特にクレジットがないのですが、編曲がやくしまるえつこ、山口元輝、小田朋美となっていて、この小田朋美さんはピアノも弾いていますが、芸大作曲科出なので、たぶん彼女が譜面を書いているんじゃないかなと思います。

配信シングル(2022年4月29日発売)/CD・アナログは2022年10月12日発売
作詞・作曲:ティカ・α/編曲:やくしまるえつこ、山口元輝、小田朋美/プロデュース:やくしまるえつこ
レーベル:みらいrecords

*strings: 須原杏ストリングス

・やくしまるえつこ: vocal, dimtakt / 山口元輝(相対性理論ドラマー): programming / 植村昌弘: drums / ナスノミツル: bass / 西川進: guitar / 小田朋美: piano / 山田あずさ: marimba
・劇場版「RE:cycle of the PENGUINDRUM」主題歌

⑭Steely Dan「Through with Buzz(いけ好かない奴)」

"Steely Dan"でストリングスをフィーチャーした曲を探しました。3rd アルバム『Pretzel Logic』収録の「Through with Buzz(いけ好かない奴)」。今回は長めの曲が多いんですが、これはなぜか1分半しかありません。
ジミー・ハスケル(Jimmie Haskell)というベテランの編曲家が、弦アレンジを担当したようです。演奏者はノンクレジットです。

3rd アルバム『Pretzel Logic』(1974年2月20日発売)収録
作詞・作曲:Walter Becker and Donald Fagen,/プロデュース:Gary Katz
レーベル:ABC
アルバムは全米8位

 *ストリングス編曲:Jimmie Haskell

⑮Electric Light Orchestra「Poor Boy (The Greenwood)」

"ELO"自体は9年前のストリングス特集でも聴きましたが曲は「Showdown」でした。この曲は1973年の3rd アルバム『On the Third Day(第三世界の曙)』に収録されていて、この頃はまだバンドに所属している弦メンバー(この時はMik Kaminski、Mike Edwards、Colin Walker)+αくらいで演奏していました。人数が少ないので素朴でラフな感じのストリングスで、それはそれでロックっぽくていい感じでしたが、今回聴くのはその次のアルバム、74年9月に発売された4thアルバム『Eldorado』から「Poor Boy (The Greenwood)」。このアルバム、副題として「A Symphony by the Electric Light Orchestra」とあるくらいで、弦アレンジャーを迎えて、ストリングスサウンドをより強化しました。弦楽器奏者のメンバー3人に加えて大編成のストリングスセクションも導入しました。
その弦アレンジャーがルイス・クラーク(Louis Clark)という人。彼はこの『Eldorado』から関わって、9th『Time』で抜けて、10th『Secret Message』で復活、それが最後でしたが、最盛期のELOにはなくてはならない人になりました。 

8th アルバム『Eldorado - A Symphony by the Electric Light Orchestra』(1974年9月発売)収録
作詞・作曲・プロデュース:Jeff Lynne
レーベル:Warner Bros. (UK) / United Artists (US)
アルバムは全米16位

*ストリングス編曲&指揮:Louis Clark
Mik Kaminski: violin / Hugh McDowell: cello / Mike Edwards: cello 他

・オランダではシングルカットされたがチャートインできなかった。USでは1977年5月21日のシングル「Telephone Line」のB面に収録された。

⑯David Bowie「Starman」

本イベントのvol.100「史上最もナイスな100曲」で第4位だったDavid Bowie「Starman」です。
この曲はボウイにとって1969年の「Space Oddity」以来のヒットながら、最初はそんなに目立つ売れ方ではなく、徐々に評判が広まっていくという感じでした。72年4月28日にシングルが発売されて、全英41位になったのが、7月1日。それで英国の人気音楽テレビ番組「Top of the Pops」への出演が決まり、その演奏中、"I had to phone someone so I picked on you ooh ooh" (誰かに電話をかける必要があったので、君を選んだ)という歌詞のところで、カメラに向かって指を差したんですね。つまりテレビ視聴者に直接語りかけたように見えたということですが、それがすごいカッコよかったと話題になって、「この瞬間にボウイはスターになった」と言われています。「Starman」だけに…。
それはともかく、「Starman」のストリングス・アレンジはギタリストで当時の右腕、ミック・ロンソン(Mick Ronson)がやっているようです。演奏者はノンクレジット。ストリングスの音の動きは定石的ですが、サビのエモーションをもう一押し盛り上げてくれますね。 

先行シングル(1972年4月28日発売)
5th アルバム『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(ジギー・スターダスト)』(1972年6月16日発売)収録
作詞・作曲:David Bowie/プロデュース:David Bowie, Ken Scott
レーベル:RCA Victor
全英10位、全米65位 アルバムは全英5位、全米75位

*ストリングス編曲:Mick Ronson

・Trevor Bolder: bass / Mick Woodmansey: drums

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