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誰かと“乾杯”して、お酒を飲む暮らし。

酒場をやっていて、毎日のように見る光景があります。
それはお客さん同士で乾杯する姿。

乾杯は再会を喜びあったり、お互いの苦労を労ったり、ただ意味もなくするといったり、いろいろなモノがあるなと感じます。
そして、その乾杯の時に“無表情”な乾杯はない。
だいたい楽しそうな笑顔だったり、何か悔しいことがあったのか少し辛そうな顔をしていたりする人もいます。
乾杯をしてから、その楽しいという感情も、辛かったという感情も解放するかのような会話が始まります。その光景を眺めながら、僕は次の生ビールをサーバーからキンキンに冷やしたグラスに注いでいきます。

僕たちが普段過ごしている日々が「ケの日」であるのであれば
お酒を囲む宴は「ハレの日」なのでしょう。
乾杯は「ケの日」から「ハレの日」に移行するために行う儀式的なものっぽく見えてきました。実際、目の前で乾杯をしてからお客さんの雰囲気が酒飲みの席に少しずつ変化していきます、不思議なことに。

楽しいことも、悲しいことも、嬉しいことも、腹立たしいことも
一旦、酒の席に置いていける。
少し違う視点から自分という存在を認識し始めていくのだろうなと多く感じるようになってきました。

別の自分を見つけるための準備運動みたいな役割をもっているのが「乾杯」なんだろうって。

うちの酒場には、誰かと乾杯して
その人を受け止めてくれるお客さんが多いです。
ほんの少しの優しい乾杯で、世界が少し温かく居心地の良いものになりますように。
今日、なにかを伝えたいアナタのご来店をお待ちしています。

記事を読んでいただきありがとうございます。ただいまお店は長期休業中のため、当店のレモンサワーを封印しております。店舗継続のため、もし記事を面白いと思っていただけましたら、サポートをしていただけると嬉しいです。