愛するカラダ。

自分のカラダが好き。

というと、だいたい勘違いされる。

あなた、細いもの。       とか   
スタイルいいからでしょ?    とか。

そーゆー類の好きではない、と言い返したいのだけれど、だいたいは放ってある。
だいたいあたしは、スタイルが良いわけではないし、スタイルがいいから魅力的だ、とは、全然思っていない。

むしろ、逆。
アンバランスな女体ほど、セクシーだと思う。
だから、公衆浴場ではいつも鼻血が吹きでそーだ。

「セルライト撃退っ!」

ってみんな一生懸命だけれど、あたしは自分のふともものうらの、冷たい脂肪の感触が大好きで、形が悪くても、冷え性でも、少しくらい不健康でも、撃退なんてとんでもない!と、真剣に思っているし、あたしを愛でた男達も、その不要な部位を、とても愛してくれていた。


例えば、

「君のことが好きだ」と言われるよりも、
「君の体が好きだ」と言われることの方が断然嬉しいし、信じられる。

 「君」って言われても、あたし色んな面があるからよく分からないのね。
でも、あたしのカラダは、ここにほら、ちゃんと存在している。

 ねえ、さわって?

あなたの指の動きに、吹きかける息に、こんなにいちいちきちんと反応して、あたしはどんどん姿を変える。

これ以上の信頼がある?
これ以上の安らぎが、ある?

あたしは今夜、靴ヒモのような白い蛇になって、スルスルと貴方のベッドにもぐりこむ。
あなたはきっと気付かない。けれど、夢を見るはず。

すべすべした真っ白い、何かとてつもなく気持ちのイイものに巻きつかれて、天国へ旅立つ夢を。

一人きりのはずなのに、一人ではない、見えない肌を感じる夜は、あたしが貴方のところへお邪魔しています。

目を閉じて、感じて。
冷たいシーツの感触。肌にあたたかくまとわりつく毛布。
もう一つの瞳を閉じたら、あたしはあなたの腕にそっと巻き付いている。

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