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王道だけどちゃんと聴いてなかったシリーズVol.13『Feeling Good:The Very Best Of Nina Simone』

「完璧な日々のために③」

第13回目は、「Nina Simone(ニーナ・シモン)」のベスト盤である『Feeling Good:The Very Best Of Nina Simone』です。

こちらも映画『Perfect Days』で使用されており、ラストの役所広司の長尺の演技時に流れているのが特に印象的なため記事にしました。

「ニーナ・シモン」は1933年アメリカ合衆国生まれのジャズ歌手です。

幼少期からピアノを始め、その後めきめきと実力をつけていきましたが、音楽大学への入学を断られ、厳しい生活を強いられます。

1954年にアイリッシュ・バーにてピアノを弾くことになり、後にそこのオーナーの薦めで歌うようになります。

この頃から本名を改め、現在の「ニーナ・シモン」と名乗るようになります。

50年代後半にヒットを出したことで音楽活動が軌道に乗り、ブルース、ゴスペル、R&B等とあらゆるジャンルの曲を精力的に歌いました。

その後闘病生活を送りながらも活動を続けていましたが、2003年乳癌により70歳で亡くなりました。

今作『Feeling Good:The Very Best Of Nina Simone』は、彼女の長きに渡るキャリアを包括できるベスト盤となっています。

曲目は以下の通り、全20曲です。

1.『Feeling Good』

2.『My Baby Just Cares for Me』

3.『Don't Let Me Be Misunderstood』

4.『Ne Me Quitte Pas (If You Go Away)』

5.『Take Me to the Water』

6.『I Put a Spell on You』

7.『Don't Explain』

8.『Mississippi Goddam』

9.『Don't Smoke in Bed』

10.『I Loves You, Porgy』

11.『Work Song』

12.『Love Me or Leave Me』

13.『Strange Fruit』

14.『Nobody Knows You When You're Down and Out』

15.『I'm Going Back Home』

16.『Other Woman, The』

17.『Sinnerman』

18.『Mood Indigo』

19.『I'm Gonna Leave You』

20.『See / Line Woman』

早速一曲目の『Feeling Good』です。

はい、またいつものこの曲のことを書きたいがために記事にしたやつです。

冒頭でも述べましたが、映画『Perfect Days』のラストで役所広司演じる清掃員「平山」が、夜明け前の車内でこちらの曲をかけていつものように出勤します。

この曲をバックにして2分近くアップのまま演じる役所広司の演技は、観ているものに様々な感情を抱かせます。(ちなみに役所広司は本作でカンヌ国際映画祭にて主演男優賞を受賞しています。)

本曲は出だしにアカペラで始まるのが印象的で、その後絶妙なタイミングで伴奏が入ってきます。

また、彼女がサビで”新しい夜明け、新しい日々、新しい人生”と歌う様は、彼女がいくつもの困難を乗り越えた力強さが感じられます。

まるで「いつでも人生はやり直せる。だから絶望せずに前に進もう」と後押ししているようです。

PVも、黒人女性のダンサーの躍動感と人々の何気ない日常の輝きをフィーチャーしていて、彼女の歌声とマッチしています。

極めつけはラストのスキャットで、圧巻としか言いようがありません。

他に印象的だったのは、14曲目の『Nobody Knows You When You're Down and Out』です。

こちらはジミー・コックスによって1923年に作られた曲で、数多くのアーティストによってカバーされたように、ブルースのスタンダード・ナンバーとして有名です。

自身は元々、エリック・クラプトンの『アンプラグド』に収録されてたことによりこの曲を知りました。

歌詞の内容は、成功した主人公がその後落ちぶれて金も友達も失った悲哀さを歌っているものですが、そこまで悲壮感はなく、どこか自嘲気味に捉えているように私には感じられました。

ニーナ・シモンはこの曲を、出だしはさらっと歌いますが、後半になってトーンを上げていきます。

この静と動の対比を一人で見事に体現しているのが彼女の魅力の一つではないでしょうか。

ちなみに今年7月に映画『Perfect Days』のBDが発売が決まり、自分はもちろん買う予定です。

再びラストの役所広司の演技とニーナ・シモンの力強い歌声の共演を観られるのを心待ちにしています。

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