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たったひとりで開発した麻雀ソシャゲ「少牌マイティ」を遂にリリースします

「ロン。御無礼。12000です。」

行きつけのフリー雀荘のゆるい雰囲気。常連同士だからこそ許される煽りをかましながら手牌を開ける。

対面にいるオヤジはかなりアツくなっているようだ。こちらのやることは変わらない。冷静に一打一打、最も期待値の高いであろう打牌を繰り出し続けるだけだ。
誰よりも早くサイコロボタンを押し次局の配牌をとる。感情を読み取られないように進化した自分の顔には生気がなく、まるで能面のようだ。麻雀のせいで人間らしさまで失ってしまったのだろうか…。

もう、半年ほどずっとこんな毎日を繰り返していた。

妻には「仕事に行ってくる。」とウソをつき、生まれたばかりの最愛の娘に背を向けて朝一でいつもの雀荘に向かう。そのまま夜までぶっ通しで打って帰宅。平均で月300半荘は打っていたと思う。

なぜこんなクズみたいなことになったのかというと、会社からお前は用済みだとばかりに急にクビを告げられたからである。
とあるベンチャー企業で必死に働いていた最中の解雇通告。突然の出来事に目の前が真っ暗になり、惨めさと無力感で再就職どころか何もやる気が起きない。

しかし、麻雀を打っている時だけはそんなツライ現実を忘れることができた。向き合わなければならない人生の課題から逃げ続けた結果、多少腕に自信のあった麻雀だけが残り、麻雀だけが自分を肯定してくれた。卓についたら社会的地位や年齢などは一切関係ない完全にフェアな勝負というのがよかったのかもしれない。
「ずーっとこのまま死ぬまで麻雀して生きていけたらいいな…。」
そんな脳内お花畑な考えも頭によぎる。

ただ、時が経つにつれて楽しさと同時に一種のむなしさ、虚無感がムクムクと湧き上がってきた。心の奥底にあるなにかが満たされない。毎日同じ光景、毎日同じメンバー、特に変わったこともなく狂ったマシーンのように麻雀を打ち続ける。

それで良かった。それを望んでいたはずなのに…。好きなことをして限りなくノーストレスな生活を送って、なぜこんなに満たされないのか…。


自己紹介

はじめまして。個人でゲーム開発をしているともぴと申します。
恥ずかしいですがこれは嘘偽らざる3年前の僕です。当時のことを思い出すと実力不足を棚に上げ破滅願望でもあるの?と言わざるを得ない奇行に走っており、いたたまれない気持ちになります。
そんな自分ですが4月27日(木)に個人開発したオンライン対戦型麻雀ゲーム「少牌マイティ」をiOS,Android向けにリリースします。

「どんなゲーム?面白いの?」
「普通の麻雀ゲームと何が違うの?」

など、知らない方にとってはいろいろな疑問があるかと思いますがゲームの内容についてはいったん置いておきます。
今回は僕がなぜゲーム開発を始めたのか、また素人同然のスキルからどうやって一人で麻雀ソシャゲを開発しリリースするに至ったのかといった経緯や、この作品に賭ける思いなど、開発者のパーソナルな部分を人生の大勝負に挑むにあたって書きましたので最後まで読んでいただけると嬉しいです。

最高の神ゲーとは??

突然ですが、あなたにとっての神ゲーはなんですか?
人それぞれ答えは違うと思いますが、僕にとっての神ゲーは「夢を追うこと」です。
夢を追う楽しさに比べたら、この世のあらゆる娯楽と呼ばれるものの楽しさなんてたかが知れていると思っています。
半年間の雀荘生活に物足りなさを感じたのも、夢や目標を見いだせなくなっていたからです。反対に、何かに夢中になって挑戦しているときは1日15時間働こうが全く苦にならないし、おそらくアドレナリンだかドーパミンだかの脳内快楽物質がドバドバ出てると思います。

「夢とかやりたい事なんてないよ。」という人もいっぱいいるでしょう。そういう人を否定する気はまったくありません。確かに夢なんてなくても、毎日酒を飲んで、膨大な選択肢のあるエンタメの中から好きなコンテンツを消費し、仕事の愚痴を吐きながら友人や家族とそこそこ仲良く暮らせればそれはそれで幸せな人生かもしれません。

ですが不器用な僕にはその生き方はできませんでした。
もちろん夢と挫折はセットで、神ゲーの鬼畜な仕様と難易度に打ちのめされてこれまでに数々の挫折を味わってきたわけですが、どうやら本能がまたあの神ゲーをプレイしたがっているようです。

天牌というレジェンド級の麻雀漫画に6億円を賭けた麻雀対局に挑む奥寺というキャラがいます。家族を人質にとられた状態で絶対にアガりたい超弩級のテンパイをしてるところに当たり牌をつかみ、「だから俺も惚れちまったのかな」とつぶやきながら覚悟を決めて河に捨てるシーンが好きなのですが、簡単に思い通りにならないからこそ神ゲーと呼ぶにふさわしいし、だからこそおもしろいんじゃないでしょうか。

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でも、今の自分にはアツくさせてくれるような夢や目標が見つからない…。家族を食わせていかなきゃいけないのに夢とか言ってる場合かというツッコミはその通りなのですが、このままでは心が死んでしまう…。

そんなことを考えながらモヤモヤしてた頃、コロナが本格的に流行り始めました。行き過ぎた自粛ムードのなかで当然というか行きつけの雀荘も営業をやめ、僕は完全に行き場を失うことになったのです。

ゲーム開発に目覚める

「ヤバい。マジでやる事がない…。」

麻雀打ちから麻雀を取り上げたらどうなるのかというと見事に廃人の出来上がりです。夢や目標なんてそう簡単に降ってくるものじゃないし、アマゾンプライムでアニメや映画を一通り制覇してヒマを潰すがそれにも限界ってもんがあります。

ただ一つ言えるのは自粛期間中、麻雀が打ちたくて打ちたくて仕方ありませんでした。人類の3大欲求に麻雀欲も加えてほしいぐらいあのゲームには中毒性があり過ぎます。

「そんなに麻雀やりたけりゃネット麻雀やったら?」
そう思う人も多いでしょう。
でも、これは個人的な意見なのですがネット麻雀にどうしてもハマれなかったのです。アプリをダウンロードしてプレイしてみたもののどういうわけか長続きしませんでした。

お気持ちのやりとりがないからではないかと最初は考えたんですがそれだけではなさそうです。なぜならネット麻雀の段位戦ポイントにそれこそ命をかけてるような人をたくさん見てきたし、自分もどちらかといえば自分の強さを証明したいと思う戦闘民族タイプだからです。

これは僕が昔の人間だからかもしれないですが、ネット麻雀が物足りなく感じた最大の原因は対人勝負なのに対戦相手の姿が見えないところだと思います。

「目の前の相手を打ち負かしたい!」
「勝負所で競り負けて悔しい!」

こういった感情は相手の姿が見えていてこそフツフツと湧いてくるものじゃないでしょうか。炎上した元プロ格闘ゲーマーのたぬかなさんがこんなことを言ってましたが、割とリアル麻雀でも当てはまる真理じゃないかなと思います。

リアル麻雀で味わう臨場感や興奮度にネット麻雀は及ばないと勝手に決めつけていたのですが、そんなとき、

「やりたい麻雀ゲームがないなら、自分で作ればいいじゃん」

ふと頭の中で誰かにそう言われた気がしました。あれは人生の目標を失い、生きた屍になっている私を見かねて神様が声をかけてきたのかもしれません。

そこで、リアル麻雀に近いネット麻雀を作ろうと最初に思い付いたのがVR麻雀でした。確かにVRの技術を使えば、リアル麻雀さながらの全く新しい麻雀ゲームができるかもしれない。
このアイデア自体は特にめずらしいものではないですが、よく調べてみるとまともなVR麻雀アプリをリリースしてる人や会社は見当たりませんでした。

さいわい麻雀が死ぬほど好きだったので、ゲームの中で実装したいことはポンポン出てきました。イメージ的にはウヒョ助先生の漫画「鉄鳴きの麒麟児」に出てくるネット麻雀の描写が一番近いかもしれません。

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こんな感じでプレイヤーそれぞれのアバターがVR空間の中に召喚されて、オンラインで牌を握りながら麻雀を打つわけです。麻雀漫画も大好きなので、好きな漫画のキャラを3D化してVR空間で対決させてみたい。そんなことを妄想してはニヤニヤしていました。

ゲーム開発の難易度

VR麻雀ゲームを作ると決意してからというもの、空いた時間のほぼ全てをゲーム開発に費やすようになりました。一度やると決めたら周りが見えなくなり、没頭してしまう性格は相変わらずです。

家族にはいきさつをすべて話し、業務委託の仕事をしながら最低限の生活費を入れる約束でゲーム開発をやることを認めてもらいました。本当に感謝してもしきれません。あれだけ通っていた雀荘にもめっきり顔を出さなくなり常連のお客さんやメンバーからは「あいつ死んだんじゃ…。」と思われていたらしいです。

ここで、麻雀ゲームを開発するときの難易度を独断と偏見でランキングしてみます。

麻雀ゲームには大きく分けて、

①対CPUの1人プレイ用麻雀ゲーム
②ネット越しに生身の人間と対戦するオンライン対戦型の麻雀ゲーム

がありますが、①と比べて②は100倍くらい作るのが難しいです。①がタンヤオドラドラの3900点だとしたら、②は3倍満を出すくらいの難しさをイメージしてもらえるとちょうどいいと思います。さらにVR要素も加わってくると、もはやダブル役満くらい難しいんですね。

ちなみに、ゲームを作ろうと決意した時点でのスキルは本当にズブの素人で、ゲームエンジンを触ったことすらなかったしITやプログラミングの知識も初心者に毛が生えた程度のものでした。
はたから見たらきっと無謀だと言われるでしょう。スキルなし・資金なし・仲間なしという「ないない尽くし」の素人にこの難易度。99.9%の人間は早々に諦めてしまうはずです。

しかし実体験から断言しますがゲーム開発においてもっとも大切なのはスキルやノウハウではなく熱量であることは間違いないです。狂気の沙汰ほど面白いと赤木しげるも言っていたはずです。

なぜなら今はゲーム開発の民主化が進んでおり、個人でも企業並みのゲームをつくれる環境が揃っている素晴らしい時代だからです。
まず、UnityやUnrealEngineといったゲームエンジンは無料で使えますし、ソシャゲに必要なアウトゲーム部分はPlayFabなどのBaaSを使えば無料でお手軽に実装できます。
開発に必要な情報はネットで調べれば出てきます。
そこそこのスペックのPCさえあれば、あとは手を動かすだけで誰でもゲームが作れるし世に公開できる時代なんです。

作りたいゲーム≠売れるゲーム

ゲーム開発に没頭して2年経った頃、VR麻雀ゲームのプロトタイプが完成しました。
まだまだ粗は多いですが、オンラインで対戦したり牌譜も見れるなどネット麻雀の最低限の要素を詰め込んだデモです。

ただ、結論からいうとVR麻雀ゲームはボツになりました
それなりの成果物にはなったしリアル麻雀の臨場感もある程度は再現できましたが、「これ、誰がプレイするの?」というニーズのなさに問題がありました。

別に趣味でゲーム作っているならいいんですが、ゲーム開発で食っていきたい場合はアツい魂と同時に作品を客観視できる冷静な目も併せ持たなければいけません。
懸命に作ってきたものを否定するのは勇気がいりましたが断腸の思いで企画からやり直すことにしました。予想していたよりVRブームが来なかったのも誤算といえば誤算でした。facebookがmetaに社名を変更しメタバースがバズワードになるなどVR界隈が盛り上がる兆しはあったのですが、まだ時期が早すぎました。
勘違いしてほしくないのが、僕はVR麻雀ゲームの開発を諦めたわけではなく一旦休止にしているだけということです。
技術的制約やハードの普及率などから今は見送るという判断になりましたが、メタバースで麻雀をする未来は確実に来ると思ってますしそのときに備えて最新技術を追っていきます。

さて、ではいったい新しく麻雀ゲームを出して戦える領域はどこなのでしょうか?
巷では雀魂が麻雀ゲームの覇権を握っています。咲コラボの時などはセルラン1位を獲得するなど実績も凄くて、開発からマーケティングに至るまで本当にレベルが違います。
雀魂以外にも歴史ある麻雀ゲームがたくさんしのぎを削っており、一見すると付け入る隙はないように思えます。

実際に、ここ数年で新しくリリースされた麻雀ゲームで上手くいってるのを見たことがありません。
色んな企業が差別化すべく手を変え品を変え斬新なコンセプトの麻雀ゲームをリリースしますがことごとく外しているようにみえます。

※これはあくまで個人の印象なので、ネットやSNSで話題になってないだけでもしかしたら売れてるのかもしれません。

差別化の手法もだいたい決まっていて、「麻雀+〇〇」といった感じで〇〇に全く別の要素をプラスすることで面白くしようというコンセプトでした。この手法について僕はだいぶ懐疑的で、麻雀はそれだけで面白いし麻雀自体が持つ魅力をナメ過ぎだと思っています。麻雀に別要素をプラスすることで麻雀の魅力を逆に薄めてしまってるパターンです。
なかには本当に麻雀のことを愛してるのかなと疑問に思わざるを得ないゲームもあり残念な気持ちになっていました。

そんなとき「少牌マイティ」に出会いました。
少牌マイティとは名古屋発祥の特殊麻雀のルールで、通常13枚の手牌でゲーム進行するところ、全員が1枚少ないいわゆる少牌した状態でゲーム進行します。
そして、少牌した分はオールマイティ牌として好きな牌にとれるというルールです。
実際にプレイした人の感想をSNSでみると、面白いという肯定的な意見がほとんどでした。

はじめてこのルールを知ったとき衝撃が走りました。
なにか要素を足したくなるところを、あえて引き算することで面白くするとは。まさに逆転の発想です。
そして少牌マイティはオールマイティ牌があるという性質上、試合展開がスピーディかつ派手なアガリが出やすくなります。(1半荘にかかる平均時間は約15分で、跳満・倍満は当たり前に出ます)

この特徴が、コンテンツの消費スピードがどんどん速くなり、配信映えするゲームがウケるYouTube全盛の今の時代に完全にマッチしています。

懸念点をあげるとすれば、待ちの把握が難しく初心者にとっつきにくいということですが、そこはネット麻雀にしかできない待ち牌サポート機能でカバーできるだろうということで、さっそく少牌マイティのルールをゲームに落とし込む日々が始まりました。

もちろんリリースして全く売れずに爆死する可能性も十分にありますが、そもそもゲーム開発はそういうものですし、ほかの企業が絶対にやってこない領域に賭けてみようと思いました。
プラットフォームもVRからスマホに変え、より多くの人に遊んでもらえるよう再スタートをきったのです。

リリースにあたってのお願い

そこから1年の時が経過し、ついに少牌マイティのアプリが完成しました。
ボランティアでテスターをしてくれた方々、とくにMKS(麻雀カッコイイシリーズ)リスナーには大変お世話になりました。
オンライン対戦型のゲームをひとりで開発するのに一番ネックになるのはテストプレイなのですが、開発初期の頃からその部分を手伝っていただいたおかげでリリースにこぎつけることができました。
本当にありがとうございます。

4月27日(木)9:00~、iOS,Android同時リリースです。

ダウンロードはこちらから↓↓
※リリース日より前だとリンクが正常に飛ばないので、リリースされてからダウンロードお願いします。


ごたくが長くなりましたがまずはダウンロードして遊んでみてください。
新しい麻雀の世界がみれるはずです。
基本無料で遊べますが、もし気に入ってくれたら課金アイテムを購入するとより一層楽しめると思いますのでぜひお願いします。

課金はちょっと…。という方はストアレビューをお願いします。
もちろん正直に評価していただいて構いませんが、「牌操作がひどい!☆1」みたいな根拠レスなレビューはやめてくださいw

また、YouTubeなどで配信してくれたり、SNSで拡散していただけると泣いて喜びます。
※現状はiOSとAndroidのみですが、PC版のリリースも今後のアプデで対応予定です。

クオリティには限界まで妥協せず頑張りましたが、肯定的な意見も否定的な意見もきっとあると思います。
ざっくばらんにネタにしていただければ、改善すべき点は取り入れてどんどんアプデで改善していきます。

ゲームエンジンがエラーを吐き続け、ひとつのバグを解決するのに丸2日かかって発狂しそうになったこと。
減っていく貯金残高に対する不安と、一年中ずっと家に引きこもってPCと会話する圧倒的な孤独。
友人から「あいつまた変なことやってるよ。もう終わったな…」的な白い目で見られて、腫れものを扱うようにされたこと。

ツライこともありましたが、心の底からやりたいと思える夢を追っているので基本幸せだし、開発してるあいだは最高に楽しかったです。

疾走感あふれる対局を楽しめる新時代の麻雀ゲーム「少牌マイティ」をぜひよろしくお願いします!!











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