見出し画像

松下圭一『市民自治の憲法理論』を読もう!②

ということで(?)、次は第Ⅱ部です!

1.戦後憲法学への展望

⭐︎憲法学の理論構成のほとんどを再編の必要性がある!

p.77

憲法学は、ある「社会」を前提にして理論構築が行われています
その「社会」が市民運動によって変わりつつあるため、憲法学の構成を変える必要があると主張しています

憲法と憲法理論、憲法構造はそれぞれ次元を異にして位置づけられるべき

p.81

「憲法」「憲法理論」「憲法構造」の違いはなんでしょうか?
それぞれの違いは、次の通りです

「憲法」=憲法の条文
「憲法理論」=解釈(「樋口学」など専門家による解釈や判例)
「憲法構造」=具体的な制度

これは松下さんの造語です(またか)
松下用語がたーくさんあるので、分からない単語はその都度調べられるといいですね😩

2.国民主権と国家主権

⭐︎国民主権の実質的な保障が必要であり、そのためには日常的な活性化の制度をつくる必要がある(=国民主権の分節化

pp.92-93

今までの憲法学では、選挙の時しか国民主権が行使されなかったり、主権国民と国会代表の意見が同じであることを想定していて、国民主権は国家主権へと形骸化していると批判しました
だから、松下は、市民が日々政治に参加し(参政権)、批判する(抵抗権)必要性を主張します

3.基本的人権と公共の福祉

⭐︎「基本的人権」と「公共の福祉」は、市民の立場から出発する(=共和)必要がある

p.103, 109

基本的人権は、次のような構成になっています

基本的人権の構成
①  市民自由(生命・自由)=自由権
②  市民福祉(生命・幸福の追求)=社会権

p.98

今までは、国家が「自由権」や「社会権」の内容を決めていました
しかし、公害問題をきっかけに、社会権の中に「環境権」を入れたほうがいいという議論が市民から行われました

このように、市民の立場から基本的人権や公共の福祉を考え直すことが必要だと主張し、これは「共和の発想」であるとします

4.自治体と国家統治

⭐︎国の課題は、自治体にどのような権限を与えるかではなく、自治体の課題を都道府県や国がどのように整備するかである

pp.114-115

今まで、自治体は国によって与えられた権限を行使していました
しかしそうではなく、自治体は国と独立した機関として、地域のニーズに応じて政策を決定し、国はそれを補助する役割であるべきだとしました

5.戦後憲法学の問題点

⭐︎戦後の憲法学は、民主主義を原則としているけれども、実質的には中央政府が統治権をもつ「戦前以来の官治的既成政治体質」である

p.117

痛烈批判ですね!😌
「戦後になって、いろいろ制度が整備されたけど、結局中身は戦前と変わってないじゃんw」と批判しました
(結構大御所の名前をあげて批判してるからヒヤヒヤした😇)

たとえば、樋口陽一に対する批判があります

樋口:
憲法が完成したら、市民による憲法制定権(抵抗権)はなくした方がいい!
なぜなら、市民がずーっと抵抗権を行使してたら、安定した政治ができないから

p.122

松下はこれに対して、「それおかしいでしょw」とめっちゃ批判してます

⭐︎都市・公害問題をきっかけとした市民運動によって、「成熟した市民」がつくられている

pp.124-127

市民運動によって、よーくものを考える市民がたーくさん育ちますと主張します
このような社会の変化を受けて、憲法の構造が変わる必要があると主張します

Q&A

みなさんの「公共」のイメージはなんですか?

「公共」というと、どんなイメージがありますか?
公共事業, 公共放送…など、「公共」というと「行政」のイメージが強いのではないでしょうか?

松下の主張する「公共(public)」は「市民」のイメージです
最近は、パブリックコメントなどが流行っている(?)ので、「パブリック」と言った方がイメージに近いかもしれません😉


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?