勝手に曲からストーリー

曲:時間よ止まれ(矢沢永吉)


「静かな時間」


とある高校の通学路。

「何だ、てめぇ!
ぐはっ」

三人を殴り倒す人がいた。

その人の名は隼人。

通学路で絡まれている人がいたので、
問答無用で追い払ったところだ。

「大丈夫か?」

隼人はぶっきらぼうに声をかけた。

「う、うん・・。
大丈夫、ありがとう」

ウルウルとした瞳で答えたのは初菜(ういな)。
近くの高校に通っている。

「ああいうときは人を呼べよ。
まったく」

隼人は初菜をきっと睨んだ。

「うん・・。
色々ごめんね。
あの、お怪我はありませんか?」

初菜は心配そうに隼人を見た。

「このぐらい、たいしたことないよ」

隼人は照れ隠しにそっぽを向いた。

「あのぉ、これからお友達のところへ行くんですけど、
一緒に行きませんか。
隼人さんのことも紹介したいので」

初菜はてへっと笑った。

「う・・うん、かまわない」

隼人はまた目をそらして言った。

二人は他愛もない話をしながら歩いた。
初菜は、どうやら友達と遊ぶことに夢中なようだ。
凄く楽しいらしい。

しばらくすると、倉庫のある埠頭に着いた。

「ここで待ち合わせなの?」

隼人は不思議そうに聞いた。

「もうすぐ皆来ると思う」

初菜はワクワクするような目で行った。

すると、遠くからブォンブォンと音がする。
音の方を見ると、バイクに乗った集団だ。

「蓮香〜〜、お〜い」

初菜は満面の笑顔で手を振っている。

バイクの集団が初菜の近くで止まった。

「姐さん!遅くなってゴメンね」

蓮香がバイクを降りて初菜に近づいた。

「うんうん、全然」

初菜が首を横に振って笑った。

「お友達って、この方々が?」

隼人は驚いた顔で初菜に訪ねた。

「うん、みんな仲良しだよ」

初菜は優しい瞳で答えた。

「あん?
誰だてめぇ?
気安く姐さんと話してんじゃねぇよ」

蓮香が鋭い目で隼人を睨んだ。

「この方は、我々レディース 朱雀隊 十五代総長 初菜様だ」

蓮香が隼人に詰め寄る。

「へっ?
えっ???」

隼人は目が点になった。

「やめなよ蓮香、隼人さんは絡まれてる私を助けてくれたんだよぉ。
めっちゃカッコ良かった(てへっ)」

初菜は照れくさそうに言った。

「助けてもらったの?
いつも通りにやればよかったのに」

蓮香が大笑いした。

「昼間はそんなことしないの」

初菜は満面の笑顔で言った。

隼人はキョロキョロしてる。

「いつも通りって?」

隼人は不思議そうな顔で尋ねた。

「この前も70人くらいに囲まれたけどぉ、
蓮香結構強くて、30人くらいを倒しちゃったんだよ」

初菜は純粋な眼差しで楽しそうに言った。

「ちなみに、初菜はあまり争い好きじゃないから。
12〜13人くらいかな。
素手で」

蓮香は豪快に笑った。

隼人は苦笑いを浮かべながら、二人の話を聞いている。

時間が止まったように、埠頭は静かな水面をたたえていた。